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48杯目 タクノミといつまでも飲める願いを込めて

「わっはっはっはっは。勇者との話は上手くいったみたいだな」

「これで娘が旅に出るのを許そうぞ。しばらくうるさく言う者もおらぬだろう」


ティーナとグィ王が自分の家に飲みに来てるんだ。

ズィ姫の問題が解決したのとパーティー再結成のお祝いだとかで。


それにしても勇者と話がついてるなら最初から教えて欲しかったな。


「言ってなかったか。すまんすまん。でもそのほうがやる気も出ただろ」

「娘を幸せにしてくれるそうだからの」


まんまと乗せられた気がするけど、ズィ姫がパーティー活動に戻れるのならよしとしなきゃね。

ティーナとグィ王がニヤニヤしてるのが少し気に食わないけどさ。


けどこれで晴れて5人が集まったってことだよね。


「タクちゃん。ありがとうだにゃ」

「タクノミ殿。感謝しているでござる」

「タクノミ。ありがとうね」

「タクタク。悪魔的に恩に着るよ」

「タクノミ様。感謝していますわ。」


そんなに言われると照れるね。というか自分は何にもしてないけどさ。

いつも通りお酒と料理を用意するだけだからね。


今日の料理は生姜焼き。

再結成だからってすんごいものを用意するとかじゃないからね。

味付けだって市販のタレを使うからね。自分で味付けするより絶対に美味しいし。


作り方だって簡単。豚肉を炒めて焼くだけ。

ただちょっとだけ工夫したところがあるんだ。ちょっとだけ。


まずは豚肉。普通の生姜焼きって薄切りというよりは少しだけ厚切りで大き目な肉を使うでしょ。

自分は豚バラの切り落としを使うよ。薄いのが良いんだ。つまみだと厚い肉より薄い肉のほうが食べやすいと思う。あと少し短めにカットもしてね。


あとは豚肉と玉ねぎを炒めてタレをからめれば完成。


そして付け合わせのキャベツ。普通は千切りだろうけどキャベツも炒めちゃえば良いさ。

生姜焼きを作ったフライパンにざく切りにしたキャベツを入れちゃうよ。

火が強いと焦げちゃうから焦らずにじっくり炒めて、最後に少しだけタレを絡めるよ。

キャベツは薄味にしておくと、豚肉との味のバランスがちょうど良くなるからさ。

あくまで千切りの代わりとしての役目だからね。


えーい。もう1品。

今度は豚肉とタケノコと白ネギを炒めるよ。タケノコは水煮を食べやすいサイズに切って。

火が通ったらタレを絡めて、そのあとに溶き卵とニラを入れるんだ。

玉子に良い感じに火が通ったら完成。生姜焼きのタレになかなか合うんだよねこれが。


というわけでみんなに運んだよ。


「これは凄いのにゃ。お肉の美味しいと味の美味しいが強烈なのにゃ」

「キャベツが良い感じでござるよ。飽きがこないでござる」

「この玉子も良いわね。濃い味のタレと良く合ってるわ」

「タケノコの歯ごたえが最高だね。悪魔的には食感が楽しいよ」

「素晴らしいですわ。ワタクシが最後に集まることになってしまって、これまで食べられなかったのが残念で仕方がないですわ」


うんうん。みんな満足してるみたいだね。


「こりゃ美味いな。いくらでも食べられるかもしれないな」


ティーナが言うと本当にずっと食べ続けそうだよ。


「このタレは何であるか。強烈な旨味と力強さがあるのにしっかりと味がまとまっておるぞ」


やっぱりグィ王は偉い人だから美味しいものをいっぱい食べてるのかな。

良いものを食べてる雰囲気の感想だよね。


今回作ったのは、楽しんでもらえてる7人とサクラミとウーミと自分で10人前。

それにしても、ずいぶんとたくさんの量を作るようになったね。

みんなと出会う前は、自分の一人分しか作ってなかったのに。

飲んでる最中も賑やかで。本当に生活がガラッと変わったよ。

本当にみんなに感謝だよね。


ゲスト用の飲み部屋で飲んでるからサクラミのピカピカ光るちゃぶ台は無いけど、サクラミはサクラミで忙しいながらも飲んでるみたいだから、いつもの飲み部屋にあるちゃぶ台にお酒もつまみも運んでいるよ。

ウーミも今日はそっちで飲んでるんだ。


『タクノミさんが頑張ってきたから今があるんですよー』

「ウーミウーミ」


サクラミからそんな声を掛けられたけど、自分は特に何をしてるってわけじゃないんだけどね。

日本はお酒も料理も美味しいものが簡単に手に入るからね。

でもそれでみんなが喜ぶなら、一人でお酒を飲んでた日々も無駄じゃなかったのかもしれないね。

ウーミも似たようなことを言ってくれてるのかな。


パーティー活動を再開するって言うから、なんだか自分のことも振り返っちゃったよ。

これからはゴロンニャ、リンコ、グリンナ、テトテト、ズィ姫の5人がいつも一緒に居ることになるんだね。


「パーティーの名前も決めたのにゃ!」


ゴロンニャがそう言って名前を発表したんだけどね。


「この名前にするのであるか。これなら余もメンバーに入れて欲しいぞ」

「わっはっはっは。こりゃ良いや。タクノミもメンバーに入れば良いじゃないか」


ってグィ王とティーナが言う通り、とてもみんならしいなって思う名前だったんだ。


☆★☆★☆


超実力派で超人気のあのパーティーが活動再開するという話が広まるのに、それほど時間はかからなかった。

新しい名前について、ある者はやり残したことを果たす意味だと、ある者は全て無くして新しくやり直す意味だと、ある者は以前からの続きの意味だと、ある者は未知の世界を開拓する意味だと、ある者は全てを支配する意味だと言った。


しかしその名に込められた真の意味を紐解く者はいなかった。

新しいパーティー名。それは・・・・・・



乾きの杯(かわきのさかずき)

『異世界人と宅飲みすることになったので美味いもんを食べさせたい』をお読みくださって本当にありがとうございます。


物語はここで第一章の区切りとさせていただきます。


急に作風が変わって鬱展開になることは・・・・・・無いです。

急に数年後に話が飛んで何が起きたんだって思うようなことは・・・・・・無いです。

急に主人公や登場人物が変わって別の物語になることは・・・・・・無いです。

急にバトルが始まって友情、努力、勝利をゴリ押しすることは・・・・・・無いです。


元々、章立てつもりはありませんでした。

ただこれだけ続けていると、章立てしたほうが分かりやすいのではないかと思い始めました。

今回でゴロンニャたちのパーティーが再結成されてちょうど良い機会だったので第一章の区切りとしました。


なので、第二章は第一章のすぐ後の話から始まります。

これまでと同じように読んでいただけたら嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。


いつも書いていますが、読んでいただけるだけでとても嬉しいです。

評価、ブックマーク、感想、レビューなんでもすべて嬉しいです。

みなさんが読んでくださってることが、自分が話を書くエネルギーになってます。

本当に本当にありがとうございます。

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