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43杯目 旅路のブームで怪しいムーブ

餃子ブーム到来。


休みの街を出発してしばらく経つんだけど、みんなにお願いされて毎日のように餃子を食べてるよ。

いつの間にか統合首都があと1日くらいのところまで来てるみたいだけど、ここまでの道中の思い出といえばほぼすべてが餃子だなあ。


「餃子くらいしか楽しみがないのにゃ!」


休みの街を出発した直後、ゴロンニャがこんなことを言ってたんだ。

なんでも、休みの街から統合首都までは、行き交う馬車が多いんだって。

そりゃいろんな道が休みの街に集まって、そこから先に行くのは統合首都しか無いんだからそうなるよね。


だからこれまでやってきた馬車を追いかけながらの訓練が他の馬車の通行の邪魔になるかもしれないからできないんだってさ。

何日も馬車の中に居るのが続くとさすがにゴロンニャだけじゃなくてみんなが飽きてくるらしくてね。

そうなると夜の飲みだけが楽しみになってくるんだよね。


ちょうどそのときは餃子に出会ったばかりで、パクパクと食べていたらストレスを発散できたみたい。

単純に美味しいだけじゃなくてそういう出来事が重なったから、みんなの身体が餃子を求めるようになったんじゃないかな。


でもね、途中から雲行きが怪しくなってきたんだよね。

普段から餃子のことばっかり考えてるって言われてから何だかおかしいと思い始めてたんだけどね。

とうとう


「餃子!餃子はどこにゃー」

「餃子の幻覚が見えるでござる」

「餃子を食べないと震えが止まらないわ」

「餃子を食べないと餃子的には汗ばかりかいてしまうよ」


なんてことを言いだしてさ。

これ餃子だよね。危ないお薬のことじゃないよね。

テトテトなんて自称悪魔だったのが自称餃子に変わっちゃってるよ。


餃子ブームなんてもんじゃないよ。

餃子中毒だよ。餃子ダメ。ゼッタイ。


とはいえ食べてるのは餃子だし、ヤバい成分なんて入ってるはずがない。

あれ?大丈夫だよね。異世界の人にはヤバい作用があるとかじゃないよね。


今、自分はそんな不安でいっぱいなんだよね。

統合首都まであと1日。こんなんで大丈夫なのかなと思いつつ今夜も餃子を用意してみんなを待っているんだ。


あっ。帰ってきたみたい。

本当に大丈夫かなと心配していたら、いつものメンバーの中に久しぶりの顔を見たんだ。


「わっはっはっは。久しぶりだなタクノミ。最近は統合首都に用事があってな。お前たちが来るって言うんで早く飲みたくて来ちまったよ」

「うわー。ティーナ!良く来てくれたね!!!」

「おっ、おい。どうしたそんなに熱烈に歓迎してくれて。タクノミらしくない。よっぽどアタシに欲情したのか?」

「い・・・・いや。そんなんじゃなくて。何を言ってるんだよ。違う違う。そうじゃなくてさ。何だかみんながおかしいと思わない?」

「そういえばギョーザギョーザっておかしな呪文をブツブツと唱えているようだが」

「それそれ。実はさ・・・・・・」


元パーティーメンバーで現ギルドさんのティーナにこれまでのことを伝えたよ。

なんとか解決してくれると良いんだけど。


「なるほどな。話は分かった。とりあえずは飲もうじゃないか。話はそれからだな」

「大丈夫なの?」

「まずはアタシにもそのギョーザとやらを食べさせてくれよ」


酒の準備をして乾杯。さっそく餃子も出しちゃうよ。


「美味いなこれは。こいつらがこんなんなるのも頷けるぞ」

「みんなは大丈夫なの?」


ティーナに尋ねてみたけど、いつもの4人は餃子を食べながら幸せそうに酒を飲んでるよ。

まるで何かから解放されたかのように純粋に。


「こいつら、こんな感じになることもあるぞ」

「そうなの?初めてだよこんな調子なの」

「よっぽどストレスを溜めてたんだろ。こんな姿を見せるなんてよっぽどタクノミが信頼されてるってことだろ」

「ええ。そうは思えないんだけど」

「甘えてるんだよ。こいつらは。そろそろ目を覚まさせてやりな」

「どうすれば良いのかわからないよ」

「なんでも美味いもんを食わせりゃ戻るぞ。タクノミが出す物はなんでも美味いんだけどな。こうなったのが初めてだっていうなら、ちょっと刺激的な物を用意しな」


刺激的なものねえ。うーん。

餃子にも勝つような刺激といえば・・・・・・あれだ!

早速、みんなに運んでみたよ。


「美味しいのにゃー!目が覚めるのにゃー!」

「いままでぼーっとしていた意識が急にはっきりしたでござる」

「なんだか生まれ変わったようだわ」

「悪魔的には完全復活なんだよね」


おおお。いつものみんなに戻ったみたい。良かった。

刺激的で思いついたカレーを出したんだよね。あの臭いと辛みと味は餃子にも負けないパンチ力があるから。

それにしても本当に良かった。心配したよ。


「ごめんだにゃ。タクちゃんが優しいからつい調子に乗ったのにゃ」


ゴロンニャと同じようなことを残りの3人も言ってるよ。

大丈夫だったのなら何も問題ないよ。たまにはそういう気分のときもあるでしょ。


でもこの後、4人は大丈夫じゃなかったみたい。

それはティーナがね


「わっはっはっは。4人ともずいぶんと運動不足でストレスがたまってたって聞いたぞ。明日の朝からアタシがみっちりとお前たちの稽古に付き合ってやるからな」


って言うから。

それを聞いた4人はお酒を飲んでるのに顔が白くなっているような気がするよ。


「もうすぐ目的地に着くんだにゃ。また今度にするのにゃ」

「わっはっはっは。遠慮しなくて良いぞ。ここまで来たら1日くらい着くのが遅れても問題ないだろう」

「周りに迷惑がかかるでござる」

「道からある程度の距離を離れれば誰にも迷惑をかけないだろう。もうこの距離なら迷子になることもないだろうしな」

「・・・・・・・予定もあるのよ」

「アタシの知る限りじゃ目的の人物との約束はまだ取り付けてないみたいだがな。まあもしそんなもんがあってもギルドさんが調整してやるよ」

「悪魔的にはもう逃れられないんだって悟ったよね」


てなわけで、翌日に4人はティーナにおもいっきりしごかれたみたい。

その日はみんなヘロヘロになって飲んでたからね。ティーナだけは変わらずに元気だったけど。


さあ、みんなも元に戻ったことだし次は統合首都だ。



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