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14杯目 明日、異世界に行きます

異世界と日本を繋ぐ空間に自分の部屋が追加されてから1週間が経った。

これまで住んでいたアパートをすでに引き払って・・・・・・はいない。

突然の話だったのに大家さんは了承してくれたけど、契約は翌月末までということになった。

だから、ゆっくりと少しずつ引っ越ししている感じなんだけど、それで良かったと思ってるんだ。


サクラミは大丈夫だと言ってたけど、もしかしたら電化製品で動かないものがあるかもしれない。

もっと言えば、持ち込めないものがあるかもしれない。

空間に繋がる扉の持ち運びが上手くいかないかもしれない。


今のところ、そのあたりで何か不都合が合ったわけじゃないんだけどね。

それでも少しずつ慎重に進めていくほうが間違いが起きないよね。

それに、ちょっとした問題にも気が付いたしね。


新しくできた自分の部屋では洗濯物を外に干すことが出来ないんだよね。

扉以外の外に繋がってる部分、窓とかベランダとかは白い壁のようなもので埋められていて外を見ることすら出来ないんだ。飲む部屋の壁と同じものなのかな?

自分の洗濯物は部屋干しでも良いし、引っ越して家賃が無くなるならコインランドリーに行っても良いかなって思ってる。

だけどゴロンニャが使ってる座布団は外で干したいんだよね。ふかふかになってるとゴロンニャが喜ぶからさ。


そんなゴロンニャは今ふかふかの座布団に包まれてスルメをつまみにして飲んでいる。


「干し肉より柔らかいにゃ。これくらいなら普通に食べられるにゃ。噛んでも噛んでも味がする不思議な食べ物だにゃ」


リンコとグリンナにも好評みたい。


「これは日本酒と相性が抜群の食べ物でござる」

「このソースにつけるとまた別の美味しさを感じられるわ」


ソースって言うほどのものじゃないんだけどね。

マヨネーズと醤油と七味を混ぜたやつ。スルメには定番だよね。

洗濯物のことを考えてたらスルメが食べたくなってさ。みんなにも出してみたんだ。


「そういえばタクノミがワタシたちの世界に来るにはまだ時間がかかるのかしら」

『もう少しだけかかりますねー』


そうだ。グリンナとサクラミが話してる通り、向こうの世界に行くことになりそうなんだ。日帰りだけど。

最初に聞かされた時は驚いたよ。自分のことを守ってくれるって言われて何のことかと思ってたら、なかなか真面目な話だったんだよね。


グリンナたちの世界で扉を持ち運ぶには、この空間とあっちの世界の結びつきをもっと強めないとダメらしいんだ。そのためには自分が向こうの世界に行くことが有効なんだって。

とはいえまだ行くことは出来ないし、出来るようになっても最初は日帰り程度になるみたい。


それでせっかくならということで、グリンナたちがいま泊ってる街を案内してくれるだけじゃなくてダンジョンにも連れてってくれるんだって。

初心者向けのダンジョンらしいし危険らしい危険もないみたい。ちょっと怖いけどね。

ただみんながちゃんと守ってくれるって言うし、やっぱり異世界のダンジョンってちょっとワクワクしちゃうよね。怖さとワクワクが半分ずつ。


それよりも怖いことを言われたから、ダンジョンは大したことないかもって思っちゃってるところもある。

それよりも怖いこと。それは、この部屋に自分を害する何かが来るかもしれないってこと。


可能性は極めて低いらしい。けどあるかもしれないって。

まだまだいろいろと不安定な空間なんだけど、そのほうが何かが襲ってくるような危険性は少ないみたい。

でも向こうの世界との結びつきが強くなるにつれて、何かの拍子で変な繋がれ方をしちゃってモンスターが襲ってくるかもしれないとか。何それ怖い。

他にも悪意のある人が来てしまうかもとか。何それ本当に怖い。

そんなことにはならないようにサクラミも努力してくれるみたいだけど、絶対にないとは言い切れないんだってさ。


もしものことがあったら大変だから、グリンナたちのパーティーがここに住んで自分のことを守ってくれるみたい。うーん。それでも怖い。いや怖かった。今は平気。


だって毎日のように3人が大丈夫だって言ってくれてさ。

何度も何度も。そのうちに自分でも大丈夫だろうなって思えるようになってきたんだ。

それに、もしもそれを嫌がったら、もう3人とは飲めないどころか会うこともできなくなっちゃう。

みんなと一緒に居たいのなら、自分も腹をくくらなきゃいけないと気が付いたんだ。とはいえ自分は守られるだけで何もすることはないんだけどさ。


そんなこんなで今はアパートを引き払うことと異世界に行くことの2つの準備を進めているところ。

少しずつだけど前に進んでいるはず。と思ったらサクラミの一言で一気に前に進んだんだ。


『タクノミさんを異世界へお届けする準備が整いましたよー』


次の日。自分は異世界に降り立った。



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