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71杯目 箸休めからの生麦生米生ビール

早口言葉を異世界人と楽しもうとしても難しいってことが良く分かったよ。

生麦生米生玉子とか通じないんだろうなあ。


「生麦って何なのにゃ!」


ああそれは麦の生の状態のことなんだよね。

食べたことあるでしょ。餃子の皮とか。素材が麦なんだけど、それが生の状態でさ。


「生米って何でござるか」


それは米の生の状態のことなんだよね。

食べたことあるでしょ。牛丼とか。素材が米なんだけど、それが生の状態でさ。


「生玉子って何のことかしら」


それは玉子の生の状態のことなんだよね。

食べたことあるでしょ。玉子とじとか。素材が玉子なんだけど、それが生の状態でさ。


やっぱり説明するのが大変だよね。

これで生ビールとか知ったら大変なことになりそう。


「生ビールって何のことかな。悪魔的にとっても気になるよね」

「ワタクシも気になりますわ。生ビールっていつも飲んでるビールのことですわよね」


あれ?聞こえちゃった?

うーん。みんなが飲んでる缶のビールも生なんだけどね。

厳密に言うと熱を入れるかどうかっていう製法の違いなんだけどさ。

でも一般的には、樽に入ってるビールをサーバーから注いだものを生ビールって呼ぶかな。缶ビールや瓶ビールと分けた感じで。


って説明したらさ。みんなの目がぎらぎらしちゃって。

みんなビールが大好きだもんね。途中から他のお酒を飲んだりするけど、みんな必ず最初はビールからスタートするし。


「それって美味しいのかにゃ?」

「それは美味しいでござるか?」

「それって美味しいのかしら?」

「それって美味しいのかい?」

「生ビール!飲んでみたいですわ!」


みんなはにやりとしながら遠回しに聞いてくるけど、ズィ姫だけは直球だね。

ビールを作る会社が言うには中身は変わらないみたいだけど、飲んでみると生ビールのほうが美味しいと感じるよ。


って言ったらみんなの目がますますぎらぎらしてきちゃって。

お願いという形の凄い圧力を感じたんだよね。

でもねえ、生ビールってお店に行って飲むものだからねえ。

みんなは日本に来ることができないし、ちゃんとした生ビールのサーバーってお店じゃないと取り扱うことができないから、なかなかみんなが飲む機会は無いと思うよ。


仕方ないよね。みんなはお店に行けないんだから。

でもね、それを聞いたみんながめちゃめちゃ肩をがっくりと落しちゃって。

というかみんなボトボトと肩を落として床にめり込ませてるんだけど。何この漫画みたいな表現方法は。いやいやみんな大丈夫なの?肩を落とすってそういうことじゃないでしょ。


ふぅ。なんとかみんな元に戻ったみたい。幻覚でも見てたのかな。あるわけないよね、がっくりきたから肩がボトボトと落ちてくだなんて。いやいや、またやらなくて良いから。落ち着いて落ち着いて。


それでね。それから数日くらい探してみてなんとか見つけたんだ。生ビールを持ち帰れるお店。

大き目のプラスチックのコップに入れて持ち帰れるみたい。しかも適当に入れるんじゃなくて、ちゃんときめ細かい泡を作りながら綺麗に注いでくれるの。お祭りの屋台とはまるで違うよ。


「わっはっはっはっはっはっは。何やら美味そうなものがあるみたいだな」


そう。最初に話にのぼったときはティーナは居なかったんだけどね。ちょうど良いときに合流したよね。てなわけでみんなに生ビールを配ってみたよ。


あれ?いつもなら感想を言うはずなのに。誰も何も言わない。

と思ったら一気に爆発したかのように、みんな満面の笑みを浮かべて美味しい美味しい美味い美味いの連呼。


「にゃんにゃのにゃ!これはにゃんにゃのにゃあああああ!!!」

「このきめ細やかな泡の口当たりが最高でござる」

「ビールの液体自体もいつもより美味しく感じられるわ」

「悪魔的にはビールがもっと美味しくなるなんて信じられないよね」

「滑らかな泡に包まれた口へすっきりとしたビールが注ぎ込まれてきますわ。これ以上はないと思われたその先を見せていただきましたわ」


だよね。だよね。

生ビールって普段の缶ビールとは違うように思えるよね。


「おい!タクノミ!」


は・・・はい。何んでしょうかティーナ。


「うめーじゃねーかちくしょう!何だこの生ビールってやつは。これまでの酒も美味かったが、何だか特別な気持ちにさせてくれるじゃねーか」


よ・・・喜んでるだけだよね。なんか凄く威圧感が出てた気がするけど。

ティーナは乾きの杯のメンバーと違って、一瞬の圧がとんでもないんだよ。


でもみんな喜んでくれたみたいで良かった。

早口言葉は伝わらなかったけど、生ビールの美味しさが伝わったなら良しとしようか。

じゃあ、おかわりは缶ビールを・・・・・・


「ダメなのにゃ。生ビールが飲みたいのにゃ」

「殺生でござる。次も生ビールが飲みたいでござるよ」

「次もこれじゃないと気が済まないわ」

「悪魔的には生ビールの海におぼれたいよね」

「これからビールは全て生ビールにするのが正しいですわ」


そんなにみんな気に入ったんだ。

ティーナは何も言わないのかなと思ったらとんでもない圧をかけてきてるよ。

もうティーナの周りで地震が起きてるよねってくらいの圧を出しながらニヤリとしてるし。

でもね。ちゃんと言わないとね。うん。


「みんな生ビールが美味しいのはわかるんだけど、これってそこそこお高いんだよ。もし生ビールを飲むっていうなら、お酒の量が半分、もしかしたら3分の1くらいまで減るかもしれないけど、それで良いなら次も生ビールにするよ」


うわー。みんなこれでもかってくらい渋い表情をしてるよ。

ゴロンニャは頭を抱えながら座布団と一緒に転げまわってるし。


それからしばらくして、みんなの意見が一致したみたい。

缶ビールで良いってさ。やっぱりね。みんないっぱい飲むからお酒の量が減るのは嫌だよね。

もしも、みんなで飲み放題の店に行ったら、お店が潰れちゃうんじゃないかって勢いで飲みそうだなあ。



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