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60杯目 お好み論争

お好み焼き。この食べ物には古くからの争いがあるよね。関西風か広島風か。

ふわふわの生地を楽しむ関西風か、薄い生地に焼きそばの麺を楽しむ広島風か。

しかも広島風の中でも焼きそばにするか焼うどんにするかの内戦まであって。


まさか異世界にもその争いが広まるだなんてね。


「焼鳥に続いてお好み焼きでも戦争が起きるなんて、タクノミの住む世界の食事は実に危険ね」


なんてグリンナが言ってるころはまだ良かったんだけどね。


きっかけは今夜のつまみは何にしようかなって考えながら買い物をしていたときに見かけたやつ。お好み焼きのイベントをやっててさ。実演販売してたからいろいろと買ったんだよね。

みんなに好評だったら自分で作ってみても良いかななんて考えてたんだけど、まさかこんなに話がヒートアップするなんて。


「ゴロンニャはこのふわふわっとした生地が気に入ったのにゃ」

「拙者はこの薄い生地と細い麺の相性のほうが洗練されていると感じるでござる」

「うどんよ。このうどんの存在感が他を圧倒してるのよ」

「悪魔的にはこのソースってのが混沌の宴で躍らせているよね」

「これが全て同じ食べ物というのが不思議すぎますわ」


目の前にめちゃめちゃ可愛い5人の女の子がいるんだよ。しかも異世界から来ているんだよ。おかしいなあ。

自分がまだこの家に出会う前に読んでいた異世界や女の子が出てくる作品では、ナースやメイドみたいなお好みの服を着せるみたいな展開になるはずなんだよ。そんなことを少しは期待しちゃってたんだよ。少しだけね。少しだけ。

まあそんなコスチュームは用意していないんだけどさ。それなら5人の中で誰がお好みって迫ってくる展開とか。少しだけね。あるかなーなんて。


現実は違ったよ。お好み焼きについて真剣に語り合う展開になるとはね。


「少し落ち着きましょう」


そうそうグリンナ。あまり熱くならないように。


「全体的にバラバラなことを言うのはやめましょう。ここは1つずつポイントを絞るのが良いと思うわ」


あれ?これはもっとディープになる流れでは?


「まずはこの共通しているキャベツについて話すわよ」


あー、これは長くなりそうだね。

みんな可愛らしい女の子だけど戦いの実力も凄いみたいだからさ。熱が入ると圧力というかオーラとうか殺気というか、迫力が凄いんだよね。


『このお好み焼きという食べ物は素晴らしいですよー。いろいろな具材が入っているのに1つの味にまとまっているのは物凄いことですよー。しかも焼いているはずなのに中はしっとりしているだなんて、単純に焼いただけではこのような状態に仕上げることは不可能ですよー。この食べ物にはとてつもない技術が詰まっていますねー。それにこのバリエーションの多さには驚かされますよー。まずこの薄皮の・・・・・・』


サクラミの食リポも長くなりそうだね。

本場の人はそれぞれ独自のこだわりがあるみたいだし、お好み焼きって熱い食べ物なんだねえ。


『鉄板で焼くだけに熱いのだ。なはははは』


なんてアルコルが上手いこと言ってるよ。上手いのか?


『上手いだけに美味いのだ。なはははは』


これはたぶん上手くないでしょ。それはなんとなくわかる。


どんな作り方をするのか聞かれたから鉄板を使うことはみんなもう理解しているんだ。というかどんどん質問してきたから、油を塗るための道具とかお店で出てくる器が小さくて中身がこぼれそうになってるとかまで知ってるよ。

器が小さくて混ぜにくい理由を答えられなくて調べてみたんだけどなるほどね。こういう理由があったとはね。なるほどお好み焼きって深いんだなあ。みんなが白熱するのもわかる気がしてきたよ。


乾きの杯の5人の話題は青のりに移ったみたい。いつの間にかサクラミもその輪に入って話し込んでるよ。あんまり熱くなり過ぎないほうが良いんじゃないかなと思ったけどゴロンニャが


「こんなに美味しいんだから熱くなるのにゃ!」


だって。お好み焼きがだいぶ気に入ったみたい。そしたらグリンナが


「それにね。こんなに不思議なものがいっぱい詰まってるのよ。熱くなったほうが面白いじゃない」


ってウィンクしてきて。

そっか。みんなは楽しみ方をわかっているんだね。

アルコルも一緒に話さないのかな?


『どれも美味しいのだ。美味しいなら何でも良いのだ』


凄くアルコルらしいね。楽しみ方は人それぞれなんだね。


『楽しみ方もお好みなのだ』


おあとがよろしいようで。



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