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56杯目 酒飲みにはうらやましすぎる加護

今日も飲んでるんだけど改めて思ったよ。みんないつも大量に飲むなあって。

毎日のようにたくさん飲んでるのに、次の日の朝には元気に活動してるんだもん。

ちょっと身体に悪かったりしないのかな。なんて思ったけど、そんな心配は必要ないみたい。


「酒の加護をもらっているのにゃ」


酒の加護?

なんでもお酒の女神様からみんなが加護を授かってるみたいで、その効果でいくらお酒を飲んでも体調に不安はないんだって。それどころかむしろ健康になるんだって。

酒を飲むと身体に必要なエネルギーに変換するみたいで、戦いのときの能力もアップするとか。


「みんなとパーティーを組んですぐに酒の加護をもらいに行ったのにゃ」

「ティーナの発案だったでござる」

「活動していくうえで絶対に役に立つからって有無を言わさずね」

「今になってみれば感謝だよね」

「あれがあったから最初からみなさんと仲良くなれたと思いますわ」


酒を飲めば飲むほど健康になって二日酔いにならずに朝もすっきりみたい。

しじみもウコンもいらない素晴らしい能力だよね。異世界の人はみんなそうなのかな?


「そう簡単に加護は手に入らないわ。それにワタシたちが持っているのは加護の中でもかなり優れているのよ。普通は苦手だった人が美味しく感じるようになったとか、飲めない体質の人が飲めるようになったとかその程度のものよ」


なるほど。異世界でも珍しくて酒飲みにはうらやましい能力なんだね。

今日もまだまだ飲むだろうから、つまみを持ってこようかな。


今日は簡単。豚肉と白菜の漬物炒め。

名前の通り、薄切りの豚肉と白菜の漬物を炒めるだけだよ。

豚キムチってあるでしょ。あれが辛くないと思えばおかしくないと思わない?


でも少しだけ工夫をするよ。

漬物を具と汁に分けて、汁の方に豚肉を10分くらいつけておくんだ。そうすると豚肉に下味がついてもっとおいしくなるよ。


ちゃんと味のついてる漬物なら何も味を足さなくて良いし、薄味の漬物なら塩コショウして味を調えると良いね。基本的にはさっぱりした味になるから、物足りないと思って塩を足しちゃうとただのしょっぱい料理になっちゃうのでそこは注意しないとね。


あっさりした漬物で物足りない場合は、昆布が入ってたり細切りのイカが入ってたりする出汁の味が出てる漬物にすると良いよ。スーパーで値引きしてるけど賞味期限が今日中で食べきれないみたいなやつも、こうやって炒めれば食べきれるからね。それに賞味期限が近いほうが漬かりが深くなって味が良くなるし。


そんなわけで炒めて完成。

醤油を入れるのも良いよ。漬物に醤油をかける人がいるでしょ。それと同じ。

ピリ辛にしたい人は七味も良いね。


「お肉なのにさっぱりしていつもと違う味が楽しめるのにゃ」

「これは日本酒に合うでござる。たまらないでござるよ」

「この漬物も別の美味しさになってるわ。火が通って温かくなってるのも悪くないじゃない」

「七味がこれにも合うよね。悪魔的に七味は悪魔の祝福と名付けても良いくらいだよね」

「野菜に丁寧な下味がついてる炒め物になってますわ。白菜を具沢山のソースと思って肉と一緒に食べるとちょうど良いですわ」


白菜の漬物はそのまま食べても当然美味しいけど、たまにはこういうのも良いよね。

リンコが1口食べて1口飲んだらジタバタダンスで部屋を1周するのを繰り返してるよ。よっぽど気に入ったのかな。飲んでも身体に悪くないどころか調子が良くなるんだったら、どんどん食べて飲んでもらいましょ。


それにしても酒の加護かあ。うらやましいよね。

二日酔いにもならないで健康になるなんて、異世界人と飲むようになって初めてチートに出会った気がするよ。


「タクちゃんがそんなに気になるなら行ってみれば良いのにゃ」


行ってみる?どこかに行くとお酒に強くなるの?


「お酒の女神様のアルコルテリオス様を祀る街があるでござるよ」


そうなんだ。みんなはそこへ行って加護をもらったのかな。

なんかアルコルってめっちゃお酒っぽい名前の神様なんだね。


「街の名前にもなってるわよ。酒飲みの街よ」


街の名前もアルコルなの?

そりゃよっぽどお酒の街っぽいねえ。


「悪魔的に酔っ払いが多いよね」

「街に近づいただけで酒臭いですわ」


うーん。大丈夫なのかなその街。

そんなこんなでアルコルの街に行ってみることになったんだけどさ。


いざその日になってみたら。

・・・・・・なんで自分は山を登っているのだろう。


「タクちゃん頑張るのにゃ。アルコルテリオス様のほこらまでもうすぐなのにゃ」


お酒の街に行くんじゃなかったっけ?

まったく街とか関係ないよね。


「振り返ってみるでござるよ」


リンコに言われて振り返ってみると、結構な高さまで登ってきてるのに気が付いたよ。

豆粒のような街並みが見えるね。


「あれがアルコルの街よ」


そうなの?じゃあなんで山を登ってるのさ。


「本当はこの山にアルコルテリオス様のほこらがあるんだよね。でもここまで来るのが面倒だから人間は山のふもとに街を作っちゃったんだよね。悪魔的に凄く酔っ払いの考え方だと思うし理解できるよね」


街を作った人たちの気持ちもわかるよ。歩くの辛いもん。

いつもみたいに到着してから異世界に呼んでくれれば良かったのに。


「これでもだいぶ妥協して山の中腹でお呼びしましたわ。アルコルテリオス様にお会いするのですから、神様にご挨拶するための道をしっかりと歩くべきですわ」


そう言われたらそういうものかな。

神社に行くって考えたらそうかも。

タクシーに乗ったまま鳥居をくぐって賽銭箱の前に乗り付けて参拝するって、確かに罰当たりな気がするもんね。異世界でもそういう感覚ってあるんだろうね。


わざわざこうやって会いに行くんだから、話をしたり何か加護をもらえる方法があるのかな。

なんて思ったけどそういうことは無いみたい。

神様と話すことができるなんてありえないって。そりゃそうか。いつもサクラミと飲んでるから当たり前のように思ってたけど、やっぱり神様って気軽に会えるものじゃないよね。

てっきりサクラミみたいにほこらに行ったらお盆がピカピカ光って神様が話しかけてくるのかと思ったよ。


ってはずだったんだけどさ。

ほこらにたどり着いたら、なぜか女神さまの声が聞こえてさ。

話しかけてきたんだよね。


『オマエは異世界人だな。少し変わった臭いがするのだ。ん?んん?何だか知ってるような臭いがするのだ。オマエは何者なのだ?』



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