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0.引越し編 《邂逅#1》

少し長くなったので分割します。

「ようこそカズマ君。この世界《魔導国家アークトゥルス》は、君を歓迎するよ!!」


両腕を広げ、演説でもするようにアルトリウスは歓迎してくれた。


「とまあ少し大袈裟にしてみたが、早速今後の予定について話しておこうか。」


やっとかと思いながらも、俺もそこが一番気になっていた。


学園はいつから始まるのか、この後に散歩とか色々としてもいいのかとか。


そんなことを考えていると、急にアルトリウスが、苦笑した。


「ふふ。話が聞きたくて仕方がないって顔をしているよ。それじゃあ待たせてしまったみたいだから話を先に進めるとするよ。学園については、明日に入学試験--試験と言っても魔力値の測定とかしかしないから安心してほしい。それと今からだけど、時間的にはカズマ君の世界と同じ時間の流れだから、午前中になるのだけど、出来れば今日の外出は控えてほしい。」


前半の試験の話は正直かなり焦ったが、測定だけなら大丈夫だろう。


散策は止められたが、誰か見張りがつく訳でもなさそうだから、アルトリウスがいなくなったら出かけるとしようと考えていたら。


「私がここを離れてから、外に出ようなんて思わないようにね?」


と言いながらアルトリウスはにっこりと微笑んだ。


「あー。わかってるよ。」


一瞬心を読まれたかと思い、ドキリとしたが何とか返事が出来た。


「そうだ、明日だけど、朝は9時に迎えに来るよ。それまでにクローゼットに入っている服を着て用意をしておいてほしい。他にも色々と注意事項はあるけれども、宿の中は基本自由にしてもらっていいよ。ここの従業員には、私が学園にスカウトしてきた新入生ということで話をしているから。」


「あぁ。わかったよ。今日はここでのんびりして、明日に英気を養っておくよ。」


「聞き分けが良くて助かるよ。本当はもっと外に関心を抱いて落ち着くまでに時間が掛かるんじゃないかと思っていたからね。」


「流石にまだ慣れてないところを一人で歩いたら危険なことくらい理解してるよ。」


「ふふふ。それなら良かった。それじゃあ明日また、迎えにくるよ。」


そう言いながらアルトリウスが部屋を後にした。色々と散策したいが、すぐに宿を出ると鉢合わせする可能性もあるので、とりあえず明日の用意を済ませよう。


「服はクローゼットに入ってるんだっけか。」


クローゼットを開けると、(あか)を基調とした制服があった。その他にも普段着だろう服が何着も掛かっていた。


とりあえず、普段着の一着に袖を通した。今の服は日本の学生服だからこのまま外に出ると目立つ可能性が高すぎる。


服を着替えたら宿の1階に降りることにした。


宿の1階は受付兼酒場になっている。受付にはたぶんこの宿の女将さんが立っていた。


おっとりとした雰囲気のご婦人だ。


「あら?アルトリウス様がスカウトしてきたっていう学生さんかしら?」


「あー。たぶんそうだと思います。アルトリウスから今日連れてこられたので。」


「やっぱりそうかい!アルトリウス様が今日学園の新入生を連れてくるって言ってたからね。何か食べるかい?」


「いえ、少し周りを散歩してこようかなと。」


「…アルトリウス様は許可なさったのかい?」


女将さんが少しジト目でこちらを見てきている。


「あー。ここの宿の近くを散歩するぐらいなら大丈夫って言われたんで行ってきます。」


女将さんの口撃から逃げるために俺は宿を後にした。


「さて、適当に周りを歩くとするか。」


周りを見渡すと色んな種族の人いるな。建築物とかもコンクリートじゃなく、木造とかレンガとか良く分からないが、西洋の建築みたいな感じだな。


色々と見て回ってると、路地の方から話し声が聞こえてきた。


「だから何度も言ってるじゃない。貴方達とは一緒に行動できないと。」


女性の声が明らかに拒絶反応を示している。女性の声の後に下卑た声が響いてくる。


「いいや、今日こそは俺たちと一緒に来てもらう。力ずくでもな。」


明らかに無理やり女性を連れ去ろうとしている。俺はそれを見てどこの世界も一緒だなと嫌気がさした。


「お前ら何してんだ?そこの人も困ってんだろ。」


男は二人で女性を壁に追いやり、話をしていた。女性は特に怯えた様子は無かったが、この場を見過ごすのも寝覚めが悪い。


「お前何もんだ?俺たちはこいつと話してんだよ。」


「あ?困ってる人間に難癖つけてるお前たちみたいなのが俺は大っ嫌いなんだよ。」


「おい、お前そいつの相手してやれ。俺はこいつと話をつけておくからよ。」


「わかったよ。」


男ふたりのうち1人が俺の方へ歩いてきた。


「お前のせいで、手荒な真似しなくちゃいけなくなっちまったじゃねえか?」


そう言いながら男の顔はニヤニヤしている。


「どこの世界も馬鹿ばっかだな。嫌んなるわ。」


俺はそう言いながら。力--魔力を身体に纏わせた。


「減らず口もそこまでだよ兄ちゃん!炎よ(イグニート)!」


男の手から炎の玉が出現し、俺に向かってきた。咄嗟の回避が間に合わず直撃してしまった。


「あっつ!!!……くない。なんでだ?」




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