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0.引越し編 《異世界》

「そもそもに私たちの世界のこと。そして、世界情勢から始まり、君の衣食住について、それとこれが1番大事になるかな?君が通う《魔導学校》についてだよ。」




一真は最後の言葉を聞くとピクっと反応した。


「魔導学校…?」


「そう、そこに通ってもらってより良い魔法の使い方を学んでもらいたい。魔道学園ルシタニーでね。そう言えば自己紹介がまだだったね。学園で教鞭を執らせてもらっているアルトリウスだ。歳は…ふふ。秘密にさせてもらおうかな。」


不敵に笑うアルトリウス。イケメンはどんな仕草でも似合うのが腹に立つ。


「俺は桐原一真。…そっちの言い方だとカズマ=キリハラになるのか?」


「ほう…?確かにそういう形になるが、何故わかったんだい?」


「たまにそういう異世界へ行くっていう小説を暇だから結構読んでたんだよ。そういう小説は大抵がこうなるからかな。」


「その話も本当に非常に興味深いが、話を進めなければね、結局のところカズマ君はどれぐらいで準備が出来るかい?」


「んーそうだな。ちょっと待ってくれよ。」


と言い一真は頭の中で考える。


(学校への申請は今日出来る。家の解約も今日言えばいいから、荷物を纏めるのとさっきの資料を読み込む事を考えて…)


「3日後同じ時間でどうだ?」


その返答を受けアルトリウスは少し驚いた顔をしていた。


「1ヶ月ぐらいは掛かるかと思っていたんだがね。親御さんへの説明等は必要ないのかい?」


アルトリウスは当然の質問を一真に投げかけた。


「…あぁ。それは大丈夫だよ。親も兄弟も親戚もいない、仲の良い奴なんて1人もいないから、引っ越せるならすぐにでも行きたいところだよ。」


「これは大変無粋な質問だったようだね。失礼した。ということで私もそろそろ時間のようだ、それでは一旦ここで別れるとしよう。それでは一真君、3日後を楽しみにしているよ。」


「あぁ。俺も今から楽しみだよ。じゃーなアルトリウス教官。」


教官と呼ばれ、アルトリウスが驚いた顔をして、ニヤリと笑み浮かべた瞬間にアルトリウスの足元に魔法陣のようなものが浮かび上がり、それが消えると同時にアルトリウスは消えていた。


何かしら転移のような魔法なのだろうかと一真は考えたが、一旦その思考を隅に追いやる。


(時間はあんまりないからな。さっさと行動するか)


一真は快晴の空を見やりながら歩き始めた。



◇◇◇◇ ◇◇◇◇



一通りの雑事を済ませた一真は、アルトリウスからもらった説明書を見ていた。


一通りの説明を読み終えた一真はもう一度異世界の情報を反芻していた。


一真が引っ越すことになる魔導学園ルシタニーがある国は、魔導国家アークトゥルス。アークトゥルスは魔導国家と言うように、非常に魔法が発展しているらしい。


(どんな風に発展してるかは、見てのお楽しみかな。)


今のところ隣接する国とは諍いも何も無く、平穏無事らしい。


その代わり、魔物の数が多く頻繁に魔導師により狩りが行われるとのことだ。


その狩りには実戦経験を積ませるという名目で魔導学園の生徒も駆り出されるらしい。


大抵そういう場合は魔物の数が少ないとか、高位の魔導師が随伴するとか、色々と安全が担保されるらしい。


それでも命の危険は0ではないだろうと考えられる。


魔導師には実績だったり実力によって下からG、F、E、D、C、B、A、Sとランク付けされてランク分けされているらしい。


基本的に最高位はA級魔導師とされており、S級の魔導師は全国家を併せて7人しかいない超人とのことだ。


入学時にランク分けをされ、座学と実技を学び自分の価値を高めるのが高位の魔導師への近道ということか。


その学校については落第等無ければ、入学から4 年で卒業になるらしい。


学園には寮があるのでそこで暮らすことになるらしい、寮住まいなので飯の心配はないが、衣服に関しては初めに数着用意はあるがそれ以降はよう相談とある。


後はまだ色濃く貴族制度が残っているため、触り程度の情報がある。


魔皇が国王となり、そこから魔導爵、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵となるそうだ。


学園にはそれなりの数の貴族子女がいるとのことだから、あまり関わり合いの無いことを祈るばかりの一真だった。


(後は実際に引っ越してからちょっとずつ覚えていくか。)


情報の整理があらかた付いたため、引越しの荷物を纏めていく。


荷物といっても衣類以外には何も無いため、すぐに終わり、そのまま一真は床に就いた。




翌朝、3日前と同じ時間同じ場所に待機していたら、空間が歪んだと思ったらそこにはイケメン魔人アルトリウスがいた。


「久しぶりだね、カズマ君。昨日は良く眠れたかい?」


「あぁ。こういう行事ごとの前はあんまり緊張しないたちなんだよ。」


「それは良かった。それじゃあ早速で悪いけど、向こうに行こうか。」


「問題ない。転移ってやつなのか?どんな感じなんだ?」


アウトリウスは少し思案顔を見せ、すぐに答えた。


「んーー。不思議な感覚だね、自分の感覚が歪む感じだね。体感は一瞬だから、怖がることはないよ。」


アウトリウスはクスリと笑った。


「誰が怖がってるって?初めての体験にワクワクしてるよ。」


「ふふっ。そういうことにしておこう。それじゃあ行くよー!」


その言葉を契機にアウトリウスと一真の足元に魔法陣のようなものが浮かび上がった。


浮かび上がった魔法陣を一真が認識した時にはもう転移が始まっていたらしい。


身体の感覚、天地の感覚全てが分からなくなった。


気づけば、一真は石造りの部屋に転がっていた。


「あれが転移…。二度とごめんだ。」


と言いながら、周囲を確認した。部屋の中は特段変わったものは無く、簡素なベッド等が置かれているだけだった。


無言でアウトリウスが、両開きの窓を開けた。


一真は興味津々に窓から外の景色を見た。


そこには、一真が全く知らない世界が広がっていた。


そこかしこに、自分とは違う人種の人が歩いていた。


確かに1番多いと言われれば、一真と同じ人間。


猫耳に尻尾が生えている所謂、獣人という種族。


身体を鱗で覆われたリザードマン。


身体から羽が生えている種族、アウトリウスのような魔族。


そして1番一真の心を射止めたのは、都市からを一望出来るその景色であった。


「これが--異世界。」


心の中で発した言葉が、知らずのうちに口から漏れていた。


「ようこそ一真君。この世界、魔導国家アークトゥルスは、君を歓迎するよ!!」



次話から基本一真視点にて固定します。

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