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0.引越し編

好きに書いていきます。

(なんて良い天気の日だ、こんな日ならあのクソつまんねえ学校でもそれなりに気分よく過ごせそうだ。)


1人で通学している紅葉丘高校に通う高校2年生、桐原一真はそう考えていたが…



目の前に自分のクラスメイトが違う学校の制服を着込んだ男数人に囲まれリンチにあっていた。


周りの人間はそれを腫れ物を扱うように無視していた。

一真が1番嫌いな言葉だ。


(そうだよな、こんな状況めんどくさくて無視したくなるよな。気に入らねえ…。)


「お前ら朝からクソつまんねえことしてんじゃねえ、うざってえよ。」

いたって真顔で一真が声をかけたらリンチされている人間も含め一真のことを一瞥した。

その1人が「お前誰にガンつけてんだ?こいつもやっちまおうぜ。」

一真は睨んでいるつもりはなかったのだが、真顔でも目付きが悪く、体格も非常に良いためにこういった仲裁をするときは良く勘違いされていた。


「あ゛?」

「あ゛。じゃーねえんだよ、こちらの方は紅桜高校の総番だぞ?」

取り巻きの後ろに居ている、やたらとガタイのいいやつを指さしながら誇らしげにしている。

「おい、お前達退け邪魔だ」

総番と呼ばれている後ろに居たガタイのいいやつが歩み寄ってきた。


「俺に朝から喧嘩を売るとはいい度胸してるじゃないか」


喧嘩を売った覚えは本当に無いんだよな、と心の中で返答をしつつ。

「お前ら朝からうざってえよ。お前らの所為でこんなに天気が良い日なのによ、気分最悪だよ。喧嘩を売った覚えはないけど、さっさと来いよ。」


一真の言葉を最後まで聞いていた総番は額に青筋を立てながらいきり立っていた。

「二度とそんなこと言えねえぐらいボコボコにしてやるよ!!」


総番との距離は約1mから2m程離れていたが、距離を詰められ右ストレートが飛んできていた。

その時一真は身体全体に力を入れた。


ゴッ!!っと右ストレートが鈍い音をさせ一真の顔に直撃していた。

男は勝利したと思い、すぐさま後ろを振り返り「お前らこいつを倉庫に連れてくぞ。」と言いながら舎弟の顔を見たら何故か自分の後ろを指さしながら青ざめた顔をしていた。

怪訝に思い後ろを振り返るとそこには何も無かったかのように立っている一真がいた。


「殴られちまったからこれは正当防衛だよな?」と独り言のように呟いた。


一真は先程防御に使った力を自分の掌に球状に纏めそれを野球の投手のように思い投げつけた。

その球はものすごい勢いで総番の顔に吸い込まれ、一真が殴られた時のような鈍い音をさせながら総番を吹き飛ばしていた。

クラスメイトを助け起こすために近づいていくと

「あ、あ、うわあああ!!」と取り巻き達含め、助けようとしていたクラスメイトも逃げていったのを見て。


(自分達より弱い奴にちょっかいかけて、相手がちょっと強いからって逃げるなんて気に入らねえ。まぁ助けたやつに関しては、逃げるわな。)


と内心で考えていた時、カツッカツッっと後ろから人が近ずいて来る音がしたため振り返った。

振り返ってその《人》を見た瞬間に一真は真顔でも凶悪な顔を顰めた。


「ちょっとストップ。あんた…何なんだ?」

その言葉に全ての疑念が籠っていた。

人と表現したがそれはただ人型をしているだけだった。

その男の風貌は人と形容するにはかけ離れていた。

目は非常に綺麗な翠、腰にも届きそうな髪は銀、ただそこから見える耳はファンタジーものでよく出てくるエルフのように尖っていた。そして1番の異様は頭部に角が2本生えている。


「いやはや、逃げられるかと思ったけど、この風体で良く逃げなかったね。この世界には私のような《魔族》はいないと思っていたけど?」

「…俺が知ってる限りはいないな。けど、創作物でよくあんたらみたいなのが出てくるんだよ。」

「ほう…?それは非常に興味深いね。色々と話を聞きたいところだけど、本日は別件で話をしにきてね。」と魔族と自称する男は思案顔をやめ、一真を見据えた。


「別件?」

「そう!君、私たちの世界に引越ししないかい?」

「引越し………?」

一真は言葉の意味を理解できなかった。だが魔族はそのまま話を進めていく。

「そう!引越しさ!私たちの世界に引越してその素晴らしい力を学んで欲しいんだ!」

(……その素晴らしい力…だと!?)

「ちょ、ちょっと待ってくれ、この力の事をあんたは知ってるのか?」

「あぁ、そうか。この世界は酷くマナが薄いから、もしかして《魔法》は君にしか使えないのかい?」


一真は酷く動揺していた、この男が言うにはこの忌々しい力は魔法であるらしい。

長年に渡って一真の人生を邪魔してきた存在が今明らかになった。


「も、もし魔法だとしたら何で俺にだけ使えるんだこんな力!」


魔族の男はまた思案顔になり、ふむ…と呟き話を続けた。

「正直なところ、まだ憶測の域を出ないが、君自身がマナを体内で生み出している可能性があるね。どういった法則でそれらがなされているかはわからないが。だからこの世界でもあそこまでの魔力濃度を発揮出来たんだろうね。そのお陰で私は君を見つけることが出来たんだよ。」

「見つけた?」

「あぁ…。さっき君、身体強化と魔力弾を使用していたろ?その時に異常な魔力濃度を検知出来てね。それでここに飛んできたってこと。」と言いカラカラと笑っている魔族が真剣な表情に変わった。


「だからこそ、提案させて欲しい。君はこのままずっとこちらの世界にいると…言い難いが非常に肩身の狭い思いをすると思う。」


その言葉を聞き一真は自嘲の笑みを浮かべた。


「残念だけど、既に肩身は狭いよ。力の加減が出来ずに小さい頃から誰かに怪我をさせてばっかりだからな。…周りには誰も居やしない。」


では…と話を進めていこうとする魔族を遮り


「行くよ、異世界へ。その方が色々と楽しそうだ。」


魔族が驚いた顔をしながら「驚いたな、即決とは。いや、だが良かったよ。それでは移住のためにこちらの世界の情報を纏めているので、そちらを渡そう。それとこれは念の為の確認になるが、魔物と呼ばれる生物も居ているので、100%の命の保証は出来ない。出来うる限りこちらでサポートはさせてもらいますがね。」

「あぁ。全く問題ない、その紙にはどれぐらいの情報が乗ってるんだ?」

「そもそもに私たちの世界のこと。そして、世界情勢から始まり、君の衣食住について、それとこれが1番大事になるかな?君が通う《魔導学校》についてだよ。」


一真は最後の言葉を聞くとピクっと反応した。


「魔導学校…?」

「そう、そこに通ってもらってより良い魔法の使い方を学んでもらいたい。魔道学園ルシタニーでね。そう言えば自己紹介がまだだったね。学園で教鞭を執らせてもらっているアルトリウスだ。」



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