表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白龍の子   作者: Auto.
1/5

プロローグ 時間軸始点

「一人の人間と一体の龍はただ平穏に暮らせればそれでよかった」

今まで描いていた絵の小説版です。プロローグになります。

挿絵(By みてみん)


――……ここはどこだ?私は…?何を…していた?



 頭が痛い。ガンガンと激しい頭痛がする。体全体が巨大な岩になったかのように重い。記憶が混濁している。


私は?私は誰だ?自分が何者かも思い出せない…。


 落ち着け、落ち着け、頭の中を整理しろ。そう自分に言い聞かせると、私はまず周囲の状況を確認することにした。霞がかった視界で必死に辺りの目ぼしい物を探す。


 あれは山か?そう遠くもない所に山のような緑色が見える。緑に覆われている為そう高くはない山だと判別できる。視点を遠くから徐々に近くまで移す。視覚がだんだん戻ってきた。視界が黒い、所々に火がくすぶっているのが見えてきた。



…何だこれは…?辺り一面が焼け野原だぞ…何が起きたんだ……?



 私は自分の体が非常に熱くなっているのに気づき、自分の体を確認することにした。爪…?非常に鋭い爪だ。腕全体が非常に硬い。胸の辺りが白熱している。二対の翼の筋肉も動かす………二対の翼?


――――私は、自分が何者であるかを思い出した。


 そうだ私はドラゴン、黒龍…黒龍イルグルイだ。愛称はイルグとか何かそんな感じで呼ばれていた気がする…。さっきは気付かなかったが、灰の中にまばらにある木が私の視点よりかなり低い。そうだった私はドラゴンだった。記憶もだんだんと戻ってきた感じがするな…何だか前にもこんな事があったような気がす――。



 私にとてつもない衝撃と寒気が走る。遠くの視界の端に赤黒い小さなものがうずくまっているのが見えた。



 …違う…嘘だ…!絶対に違う!!私はそこに向かって走り出す、一歩一歩を踏み出す度に地響きが鳴り響き、地面に落ちていた灰が舞い始める。私の中で最悪の予想がよぎる。違ってくれ……頼む…お願いだから…!

 私は全て思い出した。私は…私は旅をしていたんだ、そうだ一緒に旅を…!そうだ数百年前にもこうなった事があった…!あの時もこうだった…!あの時も私は……!!


 頭の中で一緒に過ごした様々な思い出がよぎる。違う…!!違ってくれ!違ってくれ!必死に願う。私は必死に願った。そこにあるものが私の予想と違う事を。









………予想は違わなかった。そこにはよく知っている人間が体の半分を失って倒れていた。






 頭の中が真っ白になる。 




「――………………あ…」


「……あ…!!…………あアアアアあ……!!あああァあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



 そうだ…私は数百年前と…私は数百年前と…!!あの時…世界を…世界を焼いたときと……!!!同じことを……



「すまない……!!すまないすまない……!!許してくれ………!!!!!許してくれ!!許してくれ許してくれ…!!」



私は顔を近づけて叫ぶ。ピクリとも動かない。私は……私は自ら…大切なものを……!ずっと一緒にいると約束した……!


「お願い……お願いだ……!目を開けてくれ……!!」 


彼は…彼は私を止めてくれたのだろう…再びどす黒い怒りに支配され……世界を焼こうとした私を……体の半分を失ってまで


「まだ……約束を…約束を…果たしてない……!」


私は自分を許せない…。何が最優の種族ドラゴンか…!何が最強の黒龍か……!!こんなもの強さでも何でもない……!





「…お願いだ……目を開けてくれ……」













「一人にしないでくれ………スウィン」



















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ