第2話 一難去ってまた一難?
突然マスターの口から言われた一言。
「悪いことは言わない。今すぐこの国から出ていった方がいい」
「な、なんで?」
するとマスターは苦渋の表情で語ってくれた。
「基本的にディアボロスは俺たち人間の敵だ。日々冒険者たちがディアボロスと戦っている。もしこの国にディアボロスが居るなんて王の耳に知れたら……お前死ぬぞ」
ゲーム内でも死んで異世界転移して早々死ぬなんてごめんだぞ……
マスターは少し笑みを浮かべて言う。
「だから直ぐにこの国から出ていけ。今ならまだ大丈夫だ!」
「どうしてそこまでして私を庇ってくれるの?」
そう俺が聞くとマスターは俺の顔を見て涙むぐ。
「お前が……昔生きていた俺の娘に似ているからだ……」
どうやら俺のこの顔はマスターの娘さんに似ているようだ。だからマスターは俺に対してこんなに優しくしてくれたんだろう。
正直言ってこの世界がどんな世界なのか、俺にはさっぱりわからないけど、とりあえず無我夢中になってどこか別の場所に逃げるしかない!
「わかった。マスターがそこまで言うなら、私は行くよ」
「ありがとう。裏口から行くといい。なるべく問題は起こさず行けよ」
「うん。マスター短い間だったけど、ありがとう!」
俺はそう言って裏口から外へ向かった。
外へ出ると無我夢中で走った。人混みの中に揉まれながらも、なんとか人混みの中を抜けた。
そのまま俺はどこへ向かうのかもわからずにただ無我夢中で走った。
気がつけば誰の声も聞こえない。聞こえるのは風の音だけ。
「ここはどこだ……?」
気がつけば森の中に来ていた。辺りは木で埋め尽くされており、人間の姿は誰一人居ない。
俺は走るのを止め、歩き始める。
それにしてもディアボロスが人間の敵……か。RAGNAROKならばそんなことなかったのにな……。俺は心の中でそう思った。
森の中を歩いていると、なにやら怪しげな雰囲気を醸し出す魔法陣があった。
普通なら魔法陣は無視をして素通りするはずだ。しかし、何故か俺はその魔法陣に引き付けられるかのようにその方向へ歩き始める。
あれ?何でだ?何故かあの魔法陣の方へ行かないとダメな気が……。
そして魔法陣を踏むと辺り一帯を光が包んだ。
俺は目をつぶる。
目をつぶっていてもわかる。先程とは絶対に雰囲気が違うことが。
まず空気が違う。めちゃくちゃ苦い臭い。あとは重力が先程とは違って重い。
俺はそっと目を開くとそこは紫色の空が一面に広がる未知の世界だった!
「まさかここって……――魔界!?」