第1話 転移先で
まさかゲームオーバーになり、死に戻りで異世界転移するなんて夢にも思わなかった。
「どうなってんだよ……完全に女の子じゃねぇか……しかも声も!!」
今更だが声も女の子になっていることに気がついた。どうしよう、これから先どうやって生きていく……。そもそもここはどんな世界なのかもわからねぇ。どうしたらいいんだよ!
俺は焦りと不安の気持ちで心がいっぱいだった。とりあえずこの世界がどんな世界なのかを調べる必要があるな。
「そんなとこで何叫んでいるんだ?」
男性が俺に近づきそう言った。
「あ、いや。なんでもないです」
俺は両手を左右に小刻みに振りごまかすジェスチャーをする。
「変なやつだな。付いてこい、俺のやってる酒場まで案内してやる」
俺はとりあえず男性のやってる酒場まで行くことにした。とりあえずこの人に色々と情報を聞き出さないと。
――数分後
俺はようやく男性のやってる酒場へ着いた。ここはバハルス王国の中心街。酒場や商店などたくさんの店が並んでおり、たくさんと人たちで賑わっている。
「ここが俺のやってる酒場だ。名前はASITAだ」
「あした……?」
「そうだ。明日はASITAで会おうってな」
なんて寒い親父ギャグだ……。
俺は苦笑いしながら酒場へと入った。入るとそこにはがっしりとした体型に鎧を着た人たちがたくさんいた。
「この人たちは?」
「なんだ?知らないのか?こいつらは全員冒険者だ。依頼人から雇われてモンスター退治をしたり、依頼人を護衛したりするやつらだ」
冒険者……か。RAGNAROKではそんな職業はなかったな。にしても、強そうな人たちが多いな……。
すると、冒険者の一人が俺たちの方を見て言う。
「マスター!どこ行ってたんですかい!早くビール入れてくださいよ!」
男性はどうやら冒険者からはマスターと呼ばれているらしい。
マスターは少し呆れた感じで言う。
「まだ飲む気か~? いい加減飲むの止めたらどうだ?」
「最近ロクな仕事が回ってこねぇ! こんなもん飲まねぇとやってられるかってんだい!」
その冒険者はかなり荒れていた。しかもかなり酔っているようだ。
「ん? その隣の姉ちゃんはなんだ?」
「この子か?この子はどうやら何か困ってるようでなぁ。とりあえず話だけでも聞いてやろうかなって」
「ふ~ん……。なぁ姉ちゃん、お前この国では見かけない顔だな……。どっから来た?」
ゲームの世界から来たなんて言えねぇしなぁ~……。それに俺この世界のこと全く知らねぇし……。どうするか。
俺は困った表情をしながら「えっ~と……」と呟く。
「はいはい、ナンパは他所でしろよ~。ここでそんなことするな」
マスターが気を利かせてくれたようだ。ありがとう! マスター!
その後、俺はマスターにそのまま奥の部屋に先に行ってるように言われた。
奥の部屋はなんともない普通の部屋だった。少し狭いがベッドや机などはある。
俺が部屋の隅々を見またしていると、コンコンとノックをする音が聞こえた。
「この店のマスターだ。入ってもいいか?」
「はい! どうぞ!」
マスターは扉を開け、部屋へと入ってくる。
「悪いな、変な冒険者ばっかりいる酒場で」
「いえいえ、こちらこそさっきはありがとうございます」
「で、単刀直入に聞くが……お前どっから来た? さっきの冒険者が言ってた通りお前はこの辺では見かけない顔だが」
またその質問か~! どうする?とりあえず適当に答えてみるか!?
「えっと……森の中にある村から来たんです!」
頼む! 通じろ!
マスターは一見難しそうな顔をする。
「あんな田舎から来たのか!? お前も大変だな~……」
案外通じた。するとマスターは俺の耳を見ながら言う。
「お前の耳……もしかして尖ってないか?」
そう言われて俺は耳を触る。
確かに俺の耳は尖ってる……。そっか。アバター作るときに種族をディアボロスにしたっけ……。それが影響してるのかな?
「確かに尖ってますけど……。それが何か?」
「お前エルフか?」
「いえ、ディアボロスですけど……」
そう言うとマスターは驚き、俺の両肩を握りながら焦った表情で言う。
「ディアボロスだと!? 悪いことは言わない、今すぐこの国から出ていけ!!」
「え……えぇーー!?」
コンティニューしようと思ったら異世界転移し、転移した先で突然国から出ていけと言われ……転移早々なんなんだよぉぉ!!
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