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第四章 婚約者ができました!?~3

 とりあえず僕は急いだ。ゆったりと喋ってる暇なんてない。

 

あのジェイルの意味深な笑み…間違いない嫌な予感は当たってしまったのだ。


 「あぁ、カイル王子今年もなんて峰麗しいのでしょうか…」


 『えっと、ありがとうございます。申し訳ありませんが急いでるので!!』

 サッと挨拶してきた男を交わして足を早める。


「え?カイル王子!?」

 

 間違いなくこんな挨拶ではリゼリアの説教を喰らうだろう。


 だけど今は、"許してください!"と叫びたい。


「カイル王子、この度は…」

『はい、来てくださりありがとうございますね!それでは!』

 

ペコッと頭を軽く下げるが歩みは止めない。挨拶してきた者は"えっ?"みたい顔で驚いていたが、カイルは気に止めず父上に呼ばれた謁見の間へと急ぐ。


「カイル様!?ななな、何をなさってるんですか!??」

 

城の入り口辺りで先程、カイルがからかっていた使用人君があんぐりと口をあけて驚いてる。

 

『何がですか?』

 にっこり笑う…足の歩みは止めないが。


「いやいや!カイル様の生誕パーティーですよね!?

 なんで主役が抜けて帰ってきてるんですか!??」

 使用人君は、なんと着いてきた。しかもお笑い芸人もびっくり顔負けのツッコミを入れながら。


『あはは、実は父上に呼ばれてましてね。ちゃんと挨拶回りはしてきたよ?

 それにしても君、使用人が王族に質問攻めするなんて面白いね』


 王族に私用で話し掛けるのには、その王族の許可がいる。

なのに彼は面白いぐらい話し掛けてくる。

 

「えぇぇえ!!?あれが挨拶!?って申し訳ありませぇんんんんんんんん!!!」

 

どうやら彼は、挨拶回りの様子を見ていたようだ。そして今度は、顔を青白くさせて土下座をしてきた。

 

『ふはっ…あはは!君面白いね~』

 

初めてカイルは歩みを止めて土下座している使用人君を見ながら笑った。

 「すみません!俺、王族に対するマナーとかルールとかまだちゃんと出来なくて!

 どうか不敬罪だけにはしないでぇぇえええ!?!!」

 『もぅふふふやめてよ~お腹痛い!

 別に怒ってないよ?顔あげてよルルシャーノ君?』

 

そして使用人君…否ルルシャーノ君が顔を上げた。

 

「えっ…どうして俺の名前…」

 

ルルシャーノは、可愛らしい顔をしている。男には失礼な言葉かも知れないが、優しい桃色の髪に…。瞳は髪とは、対照的に明るいルビーの色だ。

 そしてその辺の女の子よりもパッチリした二重に睫毛がふさふさで女装とかさせたら間違いなく可愛い女の子になるだろう。

 

『え?どうしてって…城で誰が働いているぐらい把握しているのは当然だと思うけど?』

 「いや!使用人が何人いると思ってるんですか!?それを当然って!!」


 まぁ、確かに名前と顔を覚えるのは前世の僕の頭では無理★

けど、何故かカイルの頭の作りは違うようで一度見たものは何でも覚えてしまう。

 本当にカイルという存在は、チートだなぁと思う。頭だけではなく、身体能力も魔力も他の魔族とか吸血鬼とも比べても群を抜いている。そんな彼だからこそ後に"悪の王子"や"魔王"とか呼ばれるようになったのだろう。


 『って、また質問してきてるし…』

 「はっ!?す、すみません!つい思ったことが口から出てしまうんです。

 俺のいけない所だって分かってるんですけど…」

 

 ルルシャーノは、しょんぼりしてしまった。

 なんか捨てられた子犬のようで庇護欲を掻き立てられる。


 『まぁ、僕はそんなことで怒らないから安心して?

 あともし良かったらジェイルのように調キョ…教育してあげるよ!僕はよくても他のお兄様達や王妃様達にその態度では怒られてしまうからね!』


 「カイル様…何か怖い単語が聞こえたような気がしましたけど…ありがとうございます!」

 

うん、怖い単語はよけいかな?


 『でも今は、ルルシャーノ君…いや、ルルって呼ぶね!

 ルルに構ってる暇がなくて…父上に呼ばれていてね…急いでるんだ。』

「あ、そうでしたね!すみません…俺が話し掛けてしまったから…」


 『いや、気兼ねなく話し掛けてくれる者があまり居ないから嬉しかったよ。

 また、ルルのことは呼ぶつもりだから積もる話はその時にしようね?』

 カイルはにっこりと笑う。


「はい!お待ちしてます、その時は指導のご鞭撻の程よろしくお願いします。」

 ガバッと頭を深く下げる。


 『うん、よろしくね~。じゃ、また。』


 とりあえず、次の時はお辞儀の仕方を教えてあげようと心の片隅に刻み込んだ。

 

 そしてカイルは今度こそ謁見の間へと急ぐのだった。

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