我が主は素晴らしい
~ジェイル視点~
私は、このクロウド王国に長く使えている執事のジェイルと申します。
そして今は、リゼリア王妃のご子息で第七王子のカイル様付きです。カイル様は、本当に素晴らしい方です。
何が素晴らしいって?何もかもですよ!
まずは、何といっても容姿です…リゼリア王妃にそっくりなんですよ?しかもこの五年間で更に美しさに拍車を掛けて…
あの宝石のような美しい紫の目で見られていると考えるだけでもう…すみません、また暴走してしまいました。
カイル様には、もう少し落ち着こうね?っていつも怒られているのに…
あと性格がかなり変わられました。
あんなにおどおどしていてマイペースな性格だったのにいつの間にか腹ぐr…コホンッ思慮深くそして明るい性格になられました。
前のカイル様なら、私の発言に困ったような表情をしておろおろしていましたが、今では笑顔で毒を吐かれます…しかも物凄い冷たい目で。
あぁ、考えただけでぞくぞくしてしまいます。
おっとまた話がそれました。
次に変わったと言えば、やはりカイル様の周りの人間関係でしょうか?
五年前までは、他の王妃様達はカイル様を陰で苛めておりました。そうならないように私もカイル様の側に居るように心掛けておりましたが、さすがに一日中とはいかないため、全てを防ぐことが出来なかったのを今でもやるせない気持ちで一杯です。
しかしなんと言うことでしょう。
カイル様の性格が変わってから苛めがぴったりと止んだのです。
それどころか…
「おい!そこのお前!」
振り向くと第一王妃のカザンドラが立っていた。
「これはこれは、第一王妃様…今日も峰麗しいー」
「そんな挨拶はどうでもよい!」
カザンドラ様は、第一王妃と言うこともあり、プライドも野心もかなり高い。
そしてカイル様を率先して苛めを行っていた張本人でもあるのです。
「何か御用でしょうか?これから逃走したカイル様を探しに行かねばならないのですが…」
ちなみにこの人は、使用人の名前なんて覚えてないのでしょうね…まぁ、これが王族としては普通なのでしょうが、カイル様とリゼリア様は、ちゃんと覚えて呼んでくれますのでどうしても複雑な気持ちになります。
「今日は…カイル王子の生誕パーティーらしいな…」
らしいなって毎年開かれてるのだから知ってるでしょうに…
白々しいですね…
内心笑ってしまいそうなのを堪える。
「はい、今年で八歳になります。」
「そうか…それならこ、これをカイル王子に!
いいか?勘違いするなよ?これは、別にあやつのために用意した訳ではない!
たまたまあって邪魔だから押し付けるのだ!」
あはは、一体誰に言い訳してるのでしょうね?
それにこんなに綺麗にラッピングをしてたまたまって…
中身も…
一応、カイル様に渡すものなので中身を魔力を使って透視する。
はい、カイル様が好きなブランドのハンカチですね。しかもかなり値が張るものを…
「はい、確かにお預かりしました。
きっとカイル様も喜ばれますよ。」
「そ、そうか…ならばよい…。」
カザンドラ王妃は、それだけ呟き早足でその場を去った。そしてジェイルの横を通り過ぎる時、微かに頬を赤らめていたのをジェイルは、見逃さなかった。
「まるで恋する乙女のようですね…」
ちなみにカザンドラ王妃だけではなく、他の王妃もカイル様に骨抜きにされている。
「一体何をされたのでしょう?」
きっと今のカイル様には、誰も敵わないんでしょうね…さすがですカイル様!
「さて、そろそろカイル様を迎えに行きましょうか」
私は、今の主を誇りに思い胸を張って歩き出す。
その後カイル様の着替えを手伝おうとして笑顔で断られるのですが…。






