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第三章 悪王子は善王子になるため努力する 

 「カイル様ぁあぁあああ!!」

 「どこですかぁああ!!!??」

ある日の優雅な午後…僕は木の上の太い枝の部分で昼寝をしていると複数人の慌ただしい声で目を覚ます。

 『ふぁ~、うるさいなぁ。』

 はい、僕は今日から八歳になりました。なんと早い事…あれから五年経ちました。

え?一人称が変わってる?あぁ、これは僕なりの決意のあらわれっていうか…完璧な善の王子になるために、ちゃんと男として振る舞う様、"私"ではなく"僕"と言うように心掛けたのだ。

今では完璧な僕っ子だよ★


 「どうして、カイル王子の気配が感じられんのだ!」

 「さすが、天才ですね!でもこのまま見つからないとなれば、国王に怒られますよ!?」

 『それは、大変だね。』

 「そうなんです!!毎年、カイル王子が誕生日パーティーから逃走するので我々、使用人は大変なんですよ!!!ってカイル王子!??」

 使用人が後ろを振り向けば、そこには探していたカイルがにこやかな笑みを浮かべ立っている。


 『ごめんね~迷惑掛けるつもりはないんだけど…こうも凄い顔で追いかけられちゃうと逃げたくなるんだよね~。』

 「カイル王子、申し訳ありません!」


 『なんで謝るの~?』

 「い、いえ、先ほどのお言葉聞かれて…」

 『ん~?』

あはは、使用人君が真っ青な顔で謝る姿が、面白くて笑いを堪えるのが大変だ。


 「カイル様、お戯れはそこまでにしてください。早く準備を済ませませんと御自身の生誕パーティーに遅れますよ?

主役がいないから始められないと国王様もリゼリア王妃も困っておりましたよ。」

 

密かに楽しんでいると、ジェイルが音もなくスッと現れた。

 『えぇ~僕パーティー苦手なんだよね。

でもお母様が困ってるなら仕方ないか…』

 

「え、国王様は困ってていいのですか…?」


うん、ボソッと言ってるみたいだけど使用人君、聞こえてるよ?

 『とりあえず、支度するからジェイル手伝ってくれる?』

 「はい、かしこまりました。」

 僕は、準備をするため部屋に戻ろうとすると後ろにいた使用人たちの声が聞こえる。


 「なんか、カイル王子変わりましたよね…。」

 「あぁ、この五年間で…まるで別人のようだ。」


 そう、別の人格がこの体に入ってしまったのだから仕方ない…。そして僕が、変わらないと誰も幸せにならないと知っている。


五年前、カイルの体に転生してしまった僕は、この五年間いろいろな試行錯誤をして例のカイル暗殺を防ぐために努力を重ねて来た。その結果、多分だが暗殺は、起こらないと今は思っている。


僕がやってきた努力は、何も凄い難しいと言う事はない。

  

僕の努力は、簡単に三つに分けられる。



   

   ~努力その一~

力を付ける…


ゲームの中のカイルは、強い。だが、それは母親を殺され復讐のために付けた力。殺されてからでは、遅いのだ。

なので早めに力を付けるため密かにお父様に頼み剣術や魔術の家庭教師をつけてもらった。


 密かにっていうのは、重要だ。公にしていれば、正式に権力争いに参戦したと思われる。それだけは避けたかった。僕が欲しいのは、自身と母親を守るための力だけだから…。


   ~努力その二~

性格を変える…


幼いカイルは、内気でいつもビクビクしていた。

そのため他の王妃からリゼリアにそっくりだと嫌われていたのだ。リゼリアもよく言えば謙虚、悪く言えば自分に自信のない人だった。


その姿が、また美しいと思われ王の寵愛を受けるのだが、それがまた他の王妃からすれば面白くない。

だから姿も性格もそっくりなカイルにイライラして苛めをしてしまうのだ。なら、性格を変えればいい。


内気から活発へ、人見知りから人懐っこい子へ性格を反対にした。その結果、それだけで苛めがなんと無くなったのだ。



   ~努力その三~

他の王妃達と王子達と交流を持つ…



最後は、ある意味時間と精神力をごっそりと持っていかれた。

一番努力した部分と言えるだろう。


ゲームの中では、名前しか出てなかった、王妃達と王子達…

彼らと接触して…まぁ、簡潔に言うと媚びを売りました!はい、この容姿も最大限に利用してね。


その結果、良好な関係を築けたと僕は思ってます。



 「カイル様?お部屋に着きましたよ?」

 『あ、そうだね…さっそく着替えるよ。』

おっと、いかんいかん。この五年間を思い返してボーとしてしまった。


 『で?ジェイルはなにしてんの?』

僕がジェイルに目を向けると、ニコニコしながら…いや、ニタニタしながら僕の今日着る服を持っている。


 「はい、カイル様のお着替えを-」

 『うん、ジェイルは外にいてね』

 僕は有無を言わせぬ笑顔でそう言うと、ジェイルは残念そうに肩を落とし部屋の外に出ていった。

昔は、確かに手伝って貰っていた(男の子の体に慣れなくて)が、僕の裸をみて興奮するジェイルに身の危険を感じて、今では一人で着替えなどはやっている。


 『おかしいなぁ…暗殺回避はできたのに、ジェイルの調きょ…教育はあまりできてないんだよね』

僕は、小さく溜め息を着くと急いで着替えてパーティーが開かれている会場へと急いだ。

その時、ジェイルが頬を赤らめて「今日も美しいです!」って言うのは華麗にスルーさせて貰った。

あれ?僕のスルースキルの方が、上がっているのか?    

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