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旋と律のシンフォニー  作者: 杉 薫田
12/14

別れの時 ボレロ

ファン感謝デーの イベントから2週間ほど経った 土曜日の放送で 秘密のメロディーからの手紙が読み上げられた。


「父の仕事の関係で アメリカに一緒について行くこととなりました。この深夜の語らいは 私にとって素晴らしい時間でした。 りょうたんとの楽しい会話の日々、多くの友達との葉書での出会いとおしゃべり、一つ一つの思い出は アメリカに行っても忘れません。エアーメールでまた近況を報告しますね・・・・」


 それは、突然の秘密のメロディーからの東京ナイト・フレンドとの別れの挨拶だった。


「昨年の年末から 今年の春にかけて 東京ナイト・フレンドの多くの皆さんに沢山の素晴らしいお言葉とアドバイスを頂けたことは その言葉の一つ一つが私にとって宝物のような言葉でした。」


「正直なところ 私は昨年末 学校で親友だと思っていた友人にいじめられた時 自殺することまで考えてしまいました。学校に行く事、自分の存在そのものが嫌になってしまいました。そんな時 心の支えとなったのが 東京ナイト・フレンドのサタデーナイトの皆さんの存在でした。」


「中学三年の三学期はほとんど学校に行く事はできませんでしたが、私立の中高一貫校であり 私の家の事情から高校へ進学する事は出来ました。高校生になりクラス編成なども変わり、四月からはあらためて学校へ通い始めましたが、父の海外勤務に合わせて アメリカの高校の新学期と合わせてアメリカのサンフランシスコにあるインターナショナルスクールに入ることとなりました。」


 りょうたんによって読み上げられた 秘密のメロディーからのお別れの言葉は ラジオを聞いていた旋にとって衝撃以外の何物でもなかった。東京ナイト・フレンドという番組と出会い、番組を通じてほのかに抱いた恋心との別れの時というか、片思いであったのだろうが 失恋と言えるものだった。


「東京ナイトフレンドで出会った。タックさん。ミッチェルさん。新宿ボーイさん。浅草の親分さん。ピンク・マーガレットさん。ローズちゃん。じゅんじゅんちゃん。怪傑黒頭巾さん。そして 番組パーソナリティーのりょうたんさん 本当にありがとうございました。」


 秘密のメロディーからの最後の手紙の中で 旋のラジオネーム「怪傑黒頭巾」の名前が読み上げられた時、うれしさと悲しさと寂しさが一気に押し寄せ、一層切ない思いが胸を締め付けてくるのを感じてしまった。


 手紙での「秘密のメロディー」からの最後のリクエスト曲は大好きなはずのガロの曲ではなく 「チューリップ 心の旅」だった。

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