第67話 桃源郷の媚薬②
真理衣との情事を女神に覗かれ、それを聞いた曽根崎がなぜか俺に告白し、上半身裸で迫ってきた。
「しのぶさぁん!」
「ちょ、ちょっと!やめましょ?ね?」
20cm近く身長差のある曽根崎が迫ってくる。胸がゆさゆさ揺れている。
「なぜだしのぶさん!転生者の私なら、男女共に愛せる私ならしのぶさんが男に戻っても愛せるのに!」
壁に追い詰められた。ヤバい…
「そんな…むぐっ!」
曽根崎に抱きしめられる。ちょうど胸に顔が埋まる…が、嬉しくない。
男の時はきっと、好きでもない相手でも美女の胸に顔が埋まれば、股間が反応した事だろう。
今は息苦しさしかない。
こんなにも違うものか。
ああ、真理衣に会いたい。
曽根崎に襲われたくない。
「むぐぐ…」曽根崎は俺と同じくらい胸がある。苦しい。
「しのぶさん…」
曽根崎が俺の服を脱がし始める。
「やめて!」
「はぁ…はぁ…」
曽根崎は聞いていない。ダメだこの人、おかしい。
…いや、本当におかしいぞ?
曽根崎の目に光がない。
「おい、ナターリャ!配慮とかそんなのいいから!曽根崎さんがおかしい!は、早く!」
抵抗しても全く敵わず、どんどん脱がされていく。
「しのぶさんしのぶさんしのぶさん…」
「そ、曽根崎さん!やめて!ナターリャ!」
「どうしたの?お楽しみみたいだけど」
ナターリャが戻って来た頃には、すっかり互いに全裸になり、俺の股に曽根崎の手が伸びたところだった。
「ちがう!早くたすけて!」
「ほいっ」ナターリャが曽根崎の尻を指でつつくと、曽根崎は四つん這いの体勢のまま気絶した。
「あ、危ないところだった…」
俺は服を着た。
曽根崎は四つん這いの状態で気絶している。全裸で四つん這いは色々見え過ぎて可哀想なので、仰向けにして布団をかけた。
「なんだこれ。曽根崎さんの様子がおかしかったぞ…」
「裕佳梨ちゃんがしのぶちゃんの事をラブの意味で好きなのは前からだよ」
「マジかよ!…いや、それは今はいいとして、明らかに変だった。操られている様な…」
「えー?魔力は感じなかったよ」
「うーん…そうだ、ナターリャがわからないならまた外法かも」
「そうだねぇ、誰か呼んじゃう?」
「ミクさんに聞いてみようか…」
ーーーーー
「よっ。大変だったね」
喜多嶋はたまたま休みだったらしく、すぐに来てくれた。
「ああ、ミクさん。おやすみのところすいません」
俺は詳しく事情を話した。
「…うん。たしかに催淫の外法もあるけど、あれはまやかしの外法と近いレベルの術なのよ。この世界でそうそう簡単に使えるものじゃないの。あのエルヴィンとかいうオッサンと違ってね」喜多嶋は指を立てて説明する。
エルヴィンは例外中の例外、という事か。
「うーん…」
「…その前にさ。その、同僚の子?も急にしのぶちゃんとエッチな事したくなったって感じがするよね」
「そう言われれば…」
たしかに、皆で飲んだあの日…ちょっと励ましただけで好きと言われたし、今日も何の脈絡も無く誘われた様に思えてきた。
俺も真理衣を好きになりかけていたので、そこには気づかなかった。
真理衣が曽根崎の様に、なんらかの力の影響で俺と関係を持ったのなら…それはつまり…
「しのぶちゃん!?」喜多嶋が俺の顔を見て驚く。
「え?」
「泣いてるよ?」
「え、うそ…」左目から涙がこぼれ落ちていた。
「…同僚の子の事、本気で好きになったのね」
喜多嶋は立ち上がって俺の前に立ち、抱きしめて頭を撫でてくれた。
「はい…」涙が止まらない。
「もし、それが何かされた結果だったとしても…あなたの気持ちは本物でしょ…よしよし、可愛い子…」
喜多嶋の手が、俺の頭から離れ、胸に伸びる。
え?




