表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/90

第58話 女神の娘②

 挿絵(By みてみん)

最近真面目な話が多いですね。

「しのぶちゃんにはこのままでいて貰う必要があるのよ…」


「ええ!?男に戻す事ならできるって話は…」


「それは、時間稼ぎのデタラメね」


「そんな…」


「でも、出来るのはウソじゃないわ。用が済んだらあなたの身体、男にしてあげる。特別よ」女神は人差し指を立てた。


「なんだ。良かった。ありがとう。でも…用が済んだらってどういう…?」


「転移者を還すのに、実はあなたの身体に溜まった魔力を使ってるのよ。男に戻したら定着させた魔力が魂に帰っちゃうから、魔力を使い切ったら、ね」


娘のでまかせに乗って、俺に転移者を探させ…さらに自分でも転移者を探していた理由はそれか。


「じゃあ、あと何人くらいで…?」


「具体的にはあと32人くらいよ」


「32人!?」


「既にあなたが1人、私が7人還してるわ。私がたくさん見つけるから安心して」


「そ、それなら…」


「ただ、それも急がなきゃいけないの」


「何か問題が…?」問題だらけだな。


「そう。今、コルネリアは〝召喚士の世界〟にいるの。あちらから干渉されれば、魔力を奪われかねないわ」


「召喚士…」


召喚士の世界。

異世界との繋がりが深く、古参の神が管理する世界。

人間達は異世界に干渉し、その力を借りる。しかし、自身が異世界へ行く事は禁忌とされる。

コルネリアはそこに転生したそうだ。


「でも、そんなに警戒しなくても…前も言ったけど、コルネリアが魔力を取り戻したって、何もしないと思うけどな…」


「何かされてからじゃ遅いのよ」


…それもそうだ。俺の意見も、所詮は勘だ。


「しかも、あのエルなんとかって男も召喚士の世界にいたらしいのよ」


エルヴィンが召喚士の世界にいた。それは、彼が禁忌を侵した事を意味していた。しかも、神の力を奪うためにこの世界に来たという。


「結局、あの男は何をしたかったんだ?神になるとか言ってたけど…」


「もうちょっと事情を聞かないと、なんとも言えないわね」


「そうか…」


「とにかく、しのぶちゃんにはこれまで通り、転移者を探して貰うわ。前に言った世界の魂バランスの話も本当だし、頑張ってね!」


「…了解。それしかないもんな」


「そろそろ戻りそうね…」そう言った途端、ナターリャの姿はいつもの少女のものに変わった。


「こっちの方が落ち着くでしょ」

ナターリャは歯を見せて笑った。


「ああ。でもこれで仕切り直し、かな」


「そうだねぇ」


「あぁ!それより課長!放ったらかしだ!病院に行かないと!」


「ま、私のパワー貯金も仕切り直しだし、オマケで送ってあげる」


ナターリャがそう言った直後、俺は等々力の病室の中、等々力のベッド横の椅子に座っていた。


「んん…?」ちょうど良く、等々力が目を覚ました。


「課長、大丈夫ですか?」


「ああ…なんでここに…?」


「天衣社でガス漏れ事故があって、ガスの発生源に近かった課長が酸欠で倒れたんです」


「…そうなのか…何か…妙な夢を見ていた様な…」


「…夢はみんな妙なものですよ」


「ははは。確かにそうだな……そうだ、毒島さんに連絡を…」


「私からしておきます。番号を」


毒島はエルヴィンに操られていたという。その間に等々力と知り合ったと考えられるので、術が解けて全て忘れているかもしれない。


毒島の番号に電話をかける。


『天衣社、毒島です』


「清光商会の東雲と申します」


『ああ。等々力くんの部下の…そうだ!等々力くんは無事ですか!』

謝罪の前に等々力か。昔からの知り合いの様だ。


「ええ。まあ」


『良かった…安心しました。なにせ彼とは前世からの仲ですから』


前世から!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ