第57話 女神の娘①
「しのぶちゃんが最初に会った女神は、私の娘だよ」
「娘!?」
「そう。私はあの子の母親」
「ちょ、ちょっと待って。何を言ってるのか…」
「んー…あのね。この姿が私の本来の姿。あの子に似た姿の方は人化して力をセーブした姿。母娘だからそっくりで当然。制服、似合ってたでしょ」
女神がスカートの裾をつまむ。
エドガーと曽根崎は太ももを凝視した。
っていうか、なんで親子で俺に関わっているんだ。
「いや、なんで…」
「どっちかでいいだろって話でしょ。それはね…あの子は今、コルネリアを追ってるからなの。あの子…ナターシャにはもともと魔女コルネリアの監視を任せてたのよ。まだ世界を見るほどの力は無くて」
女神はやれやれと首を振る。その動きに合わせて揺れる胸を曽根崎とエドガーが目で追う。スケベ共め…
魔女コルネリア。何度死んでも転生を繰り返し、必ずコルネリアだった時の記憶を取り戻す。世界に害をなす恐れがある、言わば魔王。坂巻の話を聞くと悪人には思えないが…
それはさておき、神にとってコルネリアの監視は、世界の監視より難易度が低いのだろう。
「で、それがなんで俺に…?」
「私に内緒で、コルネリアが生きてる事にしようとしたのよ」
「…どういう事…?」
「前も言ったけど…コルネリアは転生した先々で狙った様に早死にするの。転生の仕組みを薄々感じ取ってるからだと思う」
「転生の、仕組み…あ。そうか。魔法だ」
「そう。転生はね、同じ世界に行く事はあり得ない。コルネリアは魔法の使えない世界を全部巡って、また魔法の使える世界に行こうとしていた。だから、魔法も仙術も使えず、魂の力も弱まるこの世界…ここで長生きさせて、魂を削り切るつもりだったの」
「それが、また早死にした…」
「ええ。だから、それを私に隠そうとして加古ちゃんの病院に運ばれる様に仕組んだのよ。私の協力者である加古ちゃんに直接何かすればバレるから、周りの人間を操ったみたいね。どうしようもない子だわ、まったく…」ナターリャは両手を腰に当てる。胸が震えた。曽根崎とエドガーは女神の胸の動きを追う。
…もういい加減にしろ!会話の邪魔だ!
「…曽根崎さん、エドガーさん…あの、ちょっと外してもらえます…?真面目な話なので…」
「な、なぜだしのぶさん!」
「そうだ!我々にも聞く権利が!」
「分かりました。ナターリャ。女神の力を使っていいから着替えてくれ」
「え?ああ。ほい」
ナターリャは一瞬にしてブラウスにカーディガン、ロングスカートの落ち着いた装いに着替えた。
スケベ2人が俺をにらんだ。あのさ…
「曽根崎さん…女性もお好きなのはいいんですけど、欲望に忠実過ぎませんか…」
俺は自分の胸を手で隠した。
「あ!いや!その…し、しのぶさん…誤解だ!」曽根崎はうろたえている。この人、俺の事もそういう目で見てるのか…
「ユーリー、やはり我々は外そう。大事な話の様だ」エドガーは女神のガードが固くなったので諦め、曽根崎の肩に手を置いた。
「…エドガーさん、曽根崎さんもスタイルいいですよね」
曽根崎はハッとしてエドガーから離れた。
「エドガー!貴様私の身体を視姦するとは!」
「あんたに言われたくないよ!」
「…ナターリャ」
「…うん」
女神が手をかざすと、スケベ2人は消えた。
「これでいい…」
「そうね…」
「で、ナターリャの娘がなんだっけ?もう…あの2人のせいでわけわかんなくなっちゃったよ」
「あぁ、そうそう。それでね、あの子、あなたの魂を拾ってきて、無理矢理しのぶちゃんの身体に入れたのよ」
「無理矢理…」
「娘が申し訳ない事をしたわ…でもね…しのぶちゃんにはこのままでいて貰う必要があるのよ」




