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第4話 男に戻るには、異世界人探しが必要だった。

 挿絵(By みてみん)

胸サイズは

しのぶ>>女神>>>>>>>>>>>>>>喜多嶋


って感じです。

 女神を名乗る女は……魂が抜けた空の肉体に、俺という手近な魂を間に合わせで入れたのだという。


 あまりの出来事に動揺した俺は、女をすっかり女神と信じ……せめて男に戻りたい、と口走っていた。


「……わかったわ。忍クンの身体はもとに戻せないけど、その身体を男にする事はできるわ。ただし、条件があるの」

 女神は不敵に微笑む。


「な、なんだよ……」


「私のお手伝いをしてもらいます」


「お手伝い……?」


「そう。人探しみたいなもんよ」

 女神はウインクする。


「いや、それくらい……あんたが本当に女神なら、自分でサッと見つけられるんじゃないのか?」

 この不思議な空間が、俺に現実ではありえない出来事を無理やり納得させていたが……それならば逆に、女神とやらが人探しの一つも出来ないなんて、おかしいじゃないか。


「女神サマだって万能じゃないしー」

 金髪の外国人ギャルは、口をとがらせながら流暢な日本語で話す。


「……そうなのか?」


「そうなの。でね? あなたには〝転移者〟つまり……異世界人を探して欲しいの」


「どういうこと? 異世界人?」


「ええ。あなたの住む世界の、外の世界から来た子たちの事ね」

 異世界人。女神はこのファンタジーな単語が、さも当たり前であるかの様に話す。


「いや、今まで生きてきて、それっぽい人になんて、会ったことないけど……」


「いるのよ。そこらじゅうに」

 女神は軽くため息をついた。


「……異世界人って、普通の人間なのか?」

 もし、魔法が使える人間がこの世界にいたら、すぐに目立ちそうなものだけどな……


「……そういう子もいれば、そうじゃない子もいるわ」


「そうじゃない、って?」


「まぁ、単に魔力が高いだけよ。でも、どんなに魔力があっても、忍クンの住んでる世界では無用の長物。魔法の無い世界だから、ね」


「……なるほど」

 なら、結局は普通の人間だ。この女神は、俺に探偵まがいの事をさせるつもりなのか?


「わかった? 異世界人達を、五人見つけてくれたら、その身体……男に作り変えてあげる」

 うまい話の様な、そうでもない様な。俺の足元に広がる雲の様に、ふわふわとした話だ。


「もし世界に異世界人が数名しかいなかったら、世界中探し回る事になるんじゃ……」

 訝しむ俺に、女神はその完璧に左右対称な顔を歪ませて微笑んだ。


「大丈夫よ! この世界、異世界人がやたらと多いの。いくら見つけてもキリがなくて。しかも、日本にばっかり偏ってるんだから! 日本だけでも年間数百人は転移してくるのよ! そのうちたったの五人よ! 簡単でしょ! もう!」


「なんでキレてるんだよ…」


 しかし、それなら簡単そうだ。そんな中で、たったの五人。つまり女神にとって、男を女に作り変えるくらい、容易いことなのだろう。


「やってくれる?」


「わかった。探し方は?」


「コレをあげるわ」

 女神は俺に、携帯電話を差し出した。二つ折りの旧型……今時なかなかお目にかかれないガラケーというやつだ。なぜか、可愛いクマのストラップが付いている。


「このクマ、なに?」


「転移者が近くにいたら、バイブレーションでお知らせしてくれるのよ。便利でしょ」


「いやだからこのクマ……」


「あと、私からの連絡もそれにメールで届くから、常に持ち歩いてね」


「ねえこのクマ……」


「なによ!? 可愛いでしょ!」

 またキレられた。


「は、はい……」


「……まあいいわ。とにかく、この世界って魔法も無ければ魔物も居ないし、元の世界で魔法が使えても、こっちではただの人よ。帰るための魔法も使えないから片道切符なの。で、この世界にだけ、あらゆる世界の異世界人が溜まっていく。それが問題なの。少しでも元の世界に還すのが、私と、あなた達〝協力者〟のお仕事ね」


「なるほど。じゃあ、あの医者も看護師も、その協力者ってやつなんだな」


「その通り。彼らは転移じゃなくて、転生者だけどね」


「転生……俺と同じ?」

 彼らも俺みたいに、魂をポン、と移し替えられたのか。気の毒に。


「忍クンは特別ね。あの二人は、前の世界で死んで、新しくこの世界に生まれて……前の世界の記憶が戻った転生者なの」


 女神によれば、異世界から肉体ごと世界を移動した者を〝転移者〟、死後、魂が新たに生まれる身体に入れられた者を〝転生者〟と呼ぶらしいが、俺の転生はイレギュラーだったとのこと。


「……そうか。なんとなく分かった。じゃあ、とっとと五人、探し出すよ。で、あんた……なんで女子高生の格好をしてるんだ?」


「あー。そうね。私、これから忍クンの世界の女子高に通うから。あなたの家にホームステイするからよろしくね」

 女神はその場でくるりと一回転し、スカートをひるがえした。


「はぁ!?」

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