61・中1
小学校を卒業して中学生になった。
私は『山之樹中学校』に入学した。私はあの男子と会えると思うとウキウキして、早目に登校した。正門を抜けてすぐ近くにある掲示板にクラス分けと学校の地図が張り出されている。
私は同じクラスの名前を一人ずつ見ていく。
やった!初陽とは同じクラスのようだ。
私のクラスには小学校の時に知っている名前もあるが、違う小学校で知らない名前もある。
周りを見ると早くに来たからか、まだ数名しか生徒がいない。
私は急いで教室に行き、教室で私が気になる男子を待つことにした。
時間がたち次々に生徒が入ってくるが、私が気になっている男子はいなかった。
「おっはよーん!恵、一緒のクラスだね!よろしく!」
元気よく初陽が教室に入ってきた。
「うん!よろしく、初陽!」
私も嬉しくて一緒にハイタッチをした。
私は初陽と再開した喜びを噛み締めるように話に花を咲かせながら、教室に入ってくる生徒をちらちらと確認していた。
その中には、小学校サッカーの相手チームのエースストライカーだった人もいた。
「ねぇねぇ!あの男子、啅人っていうらしいよ!正丸に聞いちゃった。」
「へ、へぇ~。そうなんだぁ。」
正直言うと、私は啅人くんより、その相棒の事が気になっているのであった。
しかし、教室の席が全部埋まってしまっても、私が一目惚れをした男子はいなかった。
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入学して数日がたった。
私が廊下を歩いていると、数名の女子が一人の男子と話していた。
よく見てみると、その男子は私が一目惚れをしたあの男子であった。
私はドキドキしながら、その男子に近付こうとしたのだが、あの中に彼女がいるかもと思うと近付くことはできなかった。
教室に戻った私はショックで、しばらく机でうつ伏せになっていた。
「どうしたの?恵、大丈夫?」
「大丈夫じゃないかも~。」
心配する初陽をよそに、私はうつ伏せになったまま気だるげに答えた。
「本当に大丈夫?保健室に行く?早退する?」
どうやら私が体調悪いと思っているようだ。私はすぐに顔をあげ、大丈夫と作り笑いで元気であることをアピールをした。
(そうだよ!まだ、あの男子に彼女がいるとは限らない!私だってアタックすれば、きっと通じるよ!)
ガタン!
私は勢いよく席を立つ!
「わっ!ビックリした!」
私がいきなり立ったので、初陽はびっくりしたようだ。
今は休み時間。
私は教室を見渡し啅人くんを探した。すると、ちょうど教室から出ていく啅人くんを発見する。
急いで追いかけて廊下にいる啅人くんを捕まえる。
「あの・・・・。啅人、くんだよね?」
「うん。そうだけど?」
啅人くんはいきなり知らない人に声をかけられたからか、目を真ん丸くして私を見ていた。
「小学生の時にサッカーをしているところを見ました。啅人くんと、え~と・・・、啅人くんと一緒にサッカーをしていた人を応援します!」
「ありがとう。京も喜ぶと思うよ。」
「きょう?」
私はきょとんとして聞き返した。
「ああ!その俺と一緒にサッカーをしてるやつの名前だよ。大神 京って言うんだ。」
「おおかみ、きょう・・・。あ、ありがとうございます!」
とうとう私は好きな人の名前を知った。とても嬉しくて啅人くんに深々と頭を下げて走って自分の席に戻った。
「わっ!ビックリした!」
初陽は私が凄い勢いで帰ってきたので再びびっくりしたようだ。
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放課後、私は初陽と一緒に下校していた。
「ねぇ、恵は部活は何にするの?」
初陽は突然私に聞いてきた。
「帰宅部~。」
私は胸を張って答えた。そんなに胸を張れることではないが。
「えっ?そうなの?なんで?なんで?」
私が帰宅部を選んだのが珍しいみたいだ。
「わ、私、サッカーの試合の日とかサッカー部の応援に行きたいから!」
私は目を輝かせて言った。
「ははーん。さては啅人くんだね?やめてた方がいいよ!だってファンクラブとかあるんだよ?」
初陽は心配そうに言った。
「ち、違うよ!私が気になっているのは大神くんの方だよ!」
私は否定して、好きな人の名前を告白する。私も初陽が正丸くんの事を好きなのを知っているから、自分だけ秘密にするのはよくないもんね。
「ああー!そっちね。あははは。恵にもとうとう好きな人が出来たかー。」
初陽は大声で笑う。私は恥ずかしくて顔を赤くした。
「よし!私も帰宅部にする!そして、私は正丸。恵は大神くんを応援するぞー!」
初陽は元気に手をグーにして空に掲げる。
「おおー!」
私も恥ずかしそうに手をグーにして小さく自分の頭の近くまで空に掲げる。
「サッカー部応援同盟、ここに結成!!だね!」
と初陽は笑顔で言った。




