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猫はふて寝する  作者: 山神ゆうき
番外編1
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6/83

番外編「不気味なピエロと怯える猫」後編

それでは、番外編の後編をお楽しみください。

後ろ向きのピエロに誘惑された子達はどこに行ったかわからない。

だからこそ怖いのだ。私の体全体から恐怖というものが滲み出てるだろう。自分でもわかる。

今の私は今まで生きてきた中で一番情けない顔をしてるだろう。


「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ!心配ないないだよぉ~!だから、こっちにおいおいでぇ~」


ピエロの明るい口調が今の私にとっては、ただ恐怖を倍増させる材料にしかならない。


私は泣いている。とても人には見せられない顔。ピエロの妖術かなにかで足が一歩、一歩と私の意志と関係なしに歩きピエロに向かっていく。


「あ・・・・あ、あ・・・・・あ・・・」


私は恐怖のあまり声が出なくなってしまった。恐怖のあまり呼吸も苦しい。目もそらしたいが、ピエロの後ろ姿をずっと見ている。

すでに私とピエロの距離は3・4メートルくらいしかなかった。


(ああ・・・・。もうだめだ・・・・)


私は心の中で諦めてしまった。


しかし、その時であった。

私の頭の上を何者かが飛び越えて、私とピエロの間に入ってきたのだ!


それはオオカミだった。大きさは成犬のゴールデンレトリバーくらいはある。


「ウオオオーーーーーン!!!」


オオカミはピエロを威嚇するように力強く遠吠えをした。


私は一瞬、オオカミもピエロの妖術かなにかと思ったが、後ろ姿でもピエロが動揺しているのがわかる。それに、オオカミが遠吠えをしたあとから私の足も勝手に動くのをやめた。


私は助けてくれた(か、わからないけど・・・)オオカミを見守った。

オオカミはピエロの後ろ姿をずっと睨んでいる。


「おやおや?あなたはいったい誰ですか?僕の知らない人ですねぇ~」


動揺したピエロであったが、喋り方に余裕をみせる。

オオカミは素早く動き、ピエロの左肩を引っ掻こうとする。

しかし、勢いが強すぎて結果的にピエロの左肩を押す形となった。

オオカミが押した勢いでピエロが半回転する。


ピエロの顔を見たとき、私は絶句した。

顔は約3センチの正方形のいろんな色の布を黒い糸で縫ってつぎはぎだらけ、左目は大きな茶色のボタンで、右目は取れたのかない。歯が全部牙でニヤニヤしていた。


ピエロは目の前にいるのに、耳元でピエロの大きくて不規則な笑い声がした。


「グヒャガハァグェヘヘガーハハ・・・」


「!!」


ベッドで寝ていた私は笑い声にびっくりして大きく目を開けた。部屋は真っ暗だったが、窓から月明かりが入り少し青白い。夢から覚めたばかりだからか耳元でのピエロの笑い声が耳に焼き付いている。

壁に掛けてある時計を見ると午前1時17分くらいを指していた。


とても悪い夢を見てしまった。私は寝れないが怖くて起き上がることが出来なかった。

しばらく天井を何も考えずにぼぉ~っと見ていた。その後にオオカミの事を考えていた。


(あのオオカミは診察室に行く前にいたオオカミくんと同じだろうか?それとも別だろうか?)


診察室に行く前に会ったオオカミくんは恐かった。それにくらべて夢の中のオオカミは優しい気がした。


そう考えている間に気持ちが落ち着いたのでベッドから起き上がることにした。ゆっくり歩いて窓を開けた。とても大きな満月が真上にあり庭を照らしていた。月明かりが強いせいか星があまり見えない。


もし、月が明るくなかったら星が見えて流れ星も見れただろう。

だが、星が見える見えないは今は関係ないのだ。


私はずっと月を眺めてさっきの夢を思い出していた。


いじめていた女の子の事、ピエロの事、オオカミの事。

しかし夢とは睡眠中に見る幻覚みたいなのだから考えても分からなかった。


まだ夜中の1時半近く。もう少し外を眺めたら寝ようと思う。


ふと、視線を斜め下に落とす。例の女性がまだ顔を隠して泣いていた。

ご愛読ありがとうございました。

次からは本編です。

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