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猫はふて寝する  作者: 山神ゆうき
クルミちゃん救出大事件!
59/83

50・鼠と栗鼠。あの日の約束

こんにちは。

とうとう50話になりました。

今回の話は過去の話になります。

なぜ、ミカミちゃんはクルミちゃんを助けるのを拒否したのか。

それでは、『猫はふて寝する』の50話をお楽しみください。

今回の話は過去にさかのぼる。


どのくらい過去かというと、"魔法少女同盟(まほうしょうじょごっこ)"結成よりも、ミケとクルミが出会うよりも、ましてや、クルミとミカミの出会いよりも少し前の話である。




ー(幕間)ー




ここは213号室である。この部屋には体の弱い少女、クルミが住んでいた。少女の特徴は髪型はグレーアッシュの背中までのポニーテイルで先の方が外巻きに巻いており、おでこを出し、赤い目である。


少女は友達を作ろうとは思っていなかった。何故なら、自分の体の事はよくわかる。クルミは窓から見える門の向こうに旅立つ日が近いのは知っていた。

今から友達を作っても、友達が悲しむだけ。だから、クルミは一人でいることを選んだのだった。

クルミには2歳年下の妹がいた。しかし、クルミは可愛い妹が悲しむ顔を見たくないので、わざと会わずに過ごしていた。


いつしかクルミは笑うことも忘れ、ただただ窓の外を眺めるだけの毎日であった。


「クルミちゃん。友達(フレンド)はつくらないのデスカ?」


全然笑うこともせず、そんなクルミのことを心配して宇美(うみ)は訪ねた。


「自分の事はわかっているの~。だから、私は友達をつくらないの~。」


「クルミちゃんは元気ネ!友達(フレンド)を作るとカノシイヨ!」


たぶん、『楽しいよ』と言いたかったのだろうけど、宇美はまだ言葉に馴れていないので、たまに間違えてしまう。


「・・・・・。」


クルミの無言が宇美への返事の答えであった。


数日が経過した、クルミはまだ旅立つ事はなかった。

クルミは外を眺めるのを飽きて、なんとなくで歌を口ずさんだ。

最初は童謡だった。童謡を知っているのだけ歌ったら、次に『魔法少女アイドル@スリー』のオープニングを歌いはじめた。

魔法少女のオープニングを歌っているグループはとても有名なグループで、元々は個人個人でアニソン等を歌っていたのだが、結成してからもよくアニソンやゲームなどの熱い曲を歌っている。


熱い曲なのだが、クルミの口ずさみとは歌うテンポが違う。なので、自分なりにテンポを替え、ゆっくりと歌った。それでも歌詞は熱く、クルミ自身に元気を与えた。


歌っているときに、いつしか屋敷の住人なのか、外から時々声が聞こえるようになった。


「なんと!なんと!とてもいい美声ではないですか!確か、ここはクルミさんの部屋でしたね。メイド副長の引田(ひきだ)さんと、マツリンとクルミさんの3人で『屋敷三大美声』と名付けましょう!」


何かを勝手に決められた気がする。


「よし!今日もここの美声に異常なし!この美声を守るのも僕様の役目だぜ!」


知らないうちに守られている。


「なー。」


何か変な動物でも飼っているのかな?


外から声は時々するが、部屋に入ってくる人は一人もいなかった。けど、クルミは気にしない。


さらに数日が経過した。


クルミはいつものように、魔法少女のオープニングを歌っていた。すると、ドアの方から人の気配がする。しかし、この人は声を一切出すことはなかった。

クルミはドアの方をチラチラと気にしながらも歌を歌っていた。

廊下の人はクルミの事が気になっているのか、無意識なのか、ドアノブが回ったままなのだが、開ける気配はない。


「♪う~なれ、まほうの~いちげきよ~↑♪」


クルミは最後の方をわざと音程を外して歌った。これまで綺麗に歌っていた歌は最後の最後で台無しになり、廊下にいた人は力が抜けたのか、ドアが勢いよく開き、クルミの部屋に倒れる形で入ってきた。


「わっ!わっ!」


倒れたあと、ペタンコ座りで両手をバタバタさせている少女は、金茶の髪を後ろでおさげにして、目にかかるくらいの前髪。丸い眼鏡をかけており、ネズミの耳と尻尾がある。


「あ、あの!ま、まま、魔法少女アイドル@スリーが好きなんですか!?」


クルミと同じ歳くらいの女の子は立ちあがり、クルミの側までやってきた。



「好き・・・・だよ。」


クルミは驚いて答えた。


「そ、そうなんですか。わ、私もす、好きです。」


ちょっと気の弱そうな女の子は緊張からか不器用に微笑んだ。


「わ、私の名前は『ミカミ』です。」


「私はクルミだよ~。」


お互い自己紹介をして微笑む。

クルミは友達を作ろうとは思っていなかった。しかし、不思議とミカミの事をもっと知りたい、話したいと思っていた。

それは、他の住人はドアの近くまで来るが、部屋には訪れなかった。しかし、ミカミはクルミの音外しの原因もあるけど、部屋に入ってきた唯一の住人なのだから。




ー(幕間)ー




それから、ミカミは毎日遊びに来た。クルミの睡眠時間は10時から正午、20時から6時なのだ。


だからミカミと遊ぶ(っといってもクルミが歌うのを聴いていたり、アイドル@スリーについて話すだけ)のは午後が多い。たまに午前中に遊びに来る。


とある日の夜、クルミは夢を見た。それは亡くなった母親がうまく言えないが、綺麗な景色の場所で歌っている夢である。


「♪あなたはど~こにい~る~の~

わたしはこ~こにい~る~よ~

わたしはずぅ~っとまっている~

かわのむこうでまっている~♪」


それはとても不思議な歌であった。クルミは一週間この夢を見た。

そして、クルミは悟った。


(私が門の向こうに旅立つ日は近い。)


クルミはミカミの事を考えていた。自分が居なくなったら、ミカミは悲しむ・・・・・。それだけが心にあった。


クルミはミカミがいるときはアイドル@スリーの歌を歌い、一人になると母親が歌っていた歌を口ずさんだ。


数日が過ぎた頃、クルミとミカミはいつものように遊んでおり、アイドル@スリーの歌を歌っていた。


ガチャリ!


ドアが開く音がする。クルミとミカミがドアの方面を見てみると、大きな男性、オオカミくんがクルミ達を見ていた。

最初は恐がっていた2人も話しているうちに打ち解けるのだが、これはまた別の話。




ー(幕間)ー




「ねぇ、ミカミちゃん~。」


「ん?なぁに?」


クルミは思いきってミカミに聞いてみることにした。


「もし~、私があの門の向こうに旅立ったら、ミカミちゃんはどうする~?」


私の質問に最初は理解していなかったが、少し考えて。


「そ、そんな事になったら泣いちゃうよ・・・・。その後に絶対!連れ戻しに行くね。」


ミカミは最初はおどおどと答えていたが、最後の台詞には凄く力が入っていた。


(そっか。そうだよね・・・・。)


クルミの顔はとても悲しそうであった。理由は自分が居なくなっても悲しむ人がいない。それを心掛けていたので、すでにミカミとオオカミくんという親しい友達ができてしまっていた。


「お願いがあるのだけどぉ~。」


「は、はい。なんですか?」


クルミは心を落ち着かせるために深呼吸を一回した。それで凄く深刻な話だと思い、ミカミの喉はゴクリ!と鳴った。


「もし、私が旅立っても、連れ戻しに来ないでほしい。」


「・・・・・・わかった。」


クルミが言ったことにミカミは「なんで?」と聞かなかった。クルミがそういうってことは、連れ戻す事は駄目なんだろうと理解した。

ミカミはクルミが旅立つととても悲しい。連れ戻しに行きたい。と考えていたけど、クルミがそれを望むならミカミはそうすると思った。


「あと、他の人が連れ戻しに行くと言ったときも止めてほしいなぁ~。」


「えっ?でも、私は臆病だから出来るかどうか・・・・。」


「じゃあ、その時は宇美を頼って!聞いた話によると、メイドさんも連れ戻し禁止に賛成みたいだから~。」


クルミはミカミの両手をギュッ!と握る。


「その時は辛くて大変だと思うけどよろしくねぇ。」


クルミは笑顔で言ってミカミは1回頷いた。




ー(幕間)ー




「♪あなたはど~こにい~る~の~

わたしはこ~こにい~る~よ~

わたしはずぅ~っとまっている~

かわのむこうでまっている~♪」


ミカミと約束をして2日くらいたったある日。クルミはいつものように母親が歌っていた歌を口ずさんでいた。


すると。


ガチャリ!


ノックもなしに部屋のドアが開いた。


「だ、誰?ミカミちゃん?宇美?」


いきなりドアが開いたので、驚くクルミ。

クルミの声を聞いて、申し訳なさそうに顔を出したのは黒猫であった。


このあと、『魔法少女同盟』が結成されるのであった。

ご愛読ありがとうございました。

次回からは新しい章になります。

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