49・メイド軍団と終結の猫
武器を持ったメイド達と言ったが、よく見ると引田は木刀で、雲木、五月、宇美は丸腰であった(宇美は知らないが、雲木と五月は素手が得意らしい)。他のメイドさんも箒やモップ、フライパンと武器と言うには程遠い感じがある。
一瞬メイドさん達が助っ人に来たかと思ったのだが、雰囲気などからそんなことはないとすぐに分かった。
「ミケ様。何をしているのですか?今すぐ屋敷に帰りなさい!」
いつもとは違う強い口調で雲木は私に言い、自分の右手を屋敷の方に向ける。
そして、メイド達は私たちを庇うように立ち、一番前には雲木が立っており、深々と門番に頭を下げた。
「五豆兵衛様、眼途衛門様、この者達が行った行為をお許しください。」
「・・・・・・・・・。」
「まぁ!仕方ねぇなぁ!今回のことはなかったことにしよう!」
雲木は震えていた。それに、門番は大事になったにもかかわらず、あっさりと許してくれた。
私は二つの事を知らなかった。メイドの役目はお世話だけではなく、命を懸けて住人を護らないといけない事が1つ目。雲木、引田、五月はとても強い。他のメイドさんはこの3人程ではないがそこそこ強い、今いるメンバーと門番が戦ったときは、レベル1の勇者がレベル99の魔王に戦いを挑むくらいの力の差があった。それほど門番が強いことが2つ目。
「ミケちゃんー。そんな悪いことをしたらいけないよぉ?」
本当は五月も恐怖で震えていた。しかし、それを表に出さずに優しく私を叱ってくれた。
「な、なんで私達がこんなことしていたのをわかったの?」
「ミカミちゃんが教えてくれたんだよ。」
そう言って五月は宇美の方を指差す。すると、宇美の後ろからミカミちゃんが顔を覗かせた。
そっか、ミカミちゃんが宇美に知らせて、宇美がメイド長に伝えたのだろう。
「どうしてこんなことをしたの?クルミちゃんを助けたくないの?」
「ごめんなさい。ミケちゃん、ごめんなさい。けど、こんなことをしたらいけないんだよ。」
ミカミちゃんはとても悲しい顔をしていた。そう、ミカミちゃんはクルミちゃんを助けたくても、助けられない理由があったのだと思う。
もう、これまでだ。
「だって・・・・・。だって・・・・門の向こうでクルミちゃんが・・・・・うあぁ~ん!」
私は涙が止まらなくなった。
「・・・・・。」
ミカミちゃんは無言で私をギュッ!と抱きしめた。ミカミちゃんも泣いていたのだろう。
こうして私がクルミちゃんを助けようとして、周りに迷惑をかけた大事件は幕を閉じた。
ー(幕間)ー
その後。
泡を吹いて倒れた豚の勇者は引田がおんぶをして連れていった。
腰を抜かしたシシミは五月が抱える形で部屋へと帰った。
私はミカミちゃん、エンリュくん、ヒナマツリちゃん、ミジャ、羊さんに迷惑をかけたことを謝った。豚の勇者とシシミは今はそれどころではないので後日謝ることにした。
「わかればいいのじゃ。ほれ、気晴らしに紅茶でも飲んでいくのじゃ。」
とミジャに誘われたが、それどころではないので断った。
2階に戻ってきたときにどこからか歌声が聴こえてきた。一瞬、クルミちゃんと思ったが、よく聴くと大人の女性の歌声だ。
この歌声はどこか讃美歌っぽく聴こえ、とても美しい。誰かがクルミちゃんの為に歌っているのだろうか。
私は声のする方へと歩いて行く。そしてその声がする部屋の2つ前の部屋で足を止めた。
足を止めたのは私の部屋の前であった。そして、歌声が聴こえる部屋は2つ向こうの部屋、213号室であった。213号室のドアは朝からずっと開けっぱなしなので、廊下のエレベーターの前まで聴こえてたのだろう。
私は声の主が気になり、ゆっくりと歩き始めたが、私が歩き始めると同時に歌は終わってしまった。
そして213号室の前まで来て部屋を覗こうとした。
「何してんだ?お前・・・・。」
「みみゃあ!!」
ドキドキしながら覗こうとしたと同時に、部屋からメイド副長の引田が出てきた。
引田は私を睨み付けると、さっさと出ていった。びっくりしたので落ち着く為に深呼吸をして部屋を覗いた。
そこには・・・・・・・・誰もいなかった。そう、『屋敷三大美声』の一人、引田がクルミちゃんの為に歌っていたのだった。
ー(幕間)ー
その日の夜。
私はふて寝をした。
ベッドにうつ伏せになり、淋しい夜を過ごしていた。
今日は寝れないだろうなと思ったのだが、意外と眠気が押し寄せ深い眠りについた。
私は綺麗なお花畑や小川が流れている場所にいた。
辺りを見渡していたら、クルミちゃんを発見する。前見た夢と同じで後ろ姿で泣いていた。
私は急いでクルミちゃんのところに走っていったのだが。
ドン!
と見えない壁にぶつかる。
「クルミちゃん!ねぇ、こっち向いて!クルミちゃん!」
私はドン!ドン!と見えない壁を叩きながら大声で叫んだ。
しかし、クルミちゃんの方からは私が壁を叩く音や声は聞こえない。
「♪あなたはど~こにい~る~の~
わたしはこ~こにい~る~よ~
わたしはずぅ~っとまっている~
かわのむこうでまっている~♪」
聞き覚えのある歌詞がどこからか聴こえてきた。すると、いつの間にかクルミちゃんの前に大人の女性が立っていた。
どことなくクルミちゃんに似ている。
「あっ!ママ!」
クルミちゃんはその大人の女性に笑顔で抱きついた。クルミちゃんの母親は優しくクルミちゃんの頭を撫でた。
そして2人で私と反対側の光が眩しい方に歩いていった。
「ねぇ、ママ~。私、友達ができたんだよぉ~。」
そう言って母親と話しているクルミちゃんは幸せそうであった。
ー(幕間)ー
私は真夜中に目が覚めた。
私の頬には涙が流れていた。そっと起きて窓を開く。
そしてしばらく門を眺めていた。
(そっかぁ。クルミちゃんはお母さんに会えて幸せなんだね。)
私はクルミちゃんが夢で見た通りに門の向こうで幸せにしているのだなと思った。
こうして長く続くと思っていた"魔法少女同盟"は終わりを告げた。
次回は過去の話になります。




