45・決心する猫と乗り気じゃない鼠
トン!トン!トン!
私は215号室のドアをノックする。
「は、はい」
おどおどとしており、少し泣いたあとのような声が聞こえた。
ガチャリ!
私はドアをそっと開ける。そこには泣いたあとか、目を赤くしたミカミちゃんがいた。
「な、なにか用なの?」
いつもの事だが、若干距離を感じる話し方だ。
「ねぇ。クルミちゃんのことなんだけど・・・・」
私がクルミちゃんの名前を出したとたん、少しミカミちゃんの指がピクリと動いた。
「私達で助けに行こうよ!」
私は確かにクルミちゃんが居なくなって悲しい。しかし、私とミカミちゃんならアニメのアイドル@スリーみたいにクルミちゃんを助けに行けるという希望が、今の私にはあったので笑顔だった。ミカミちゃんは私のその言葉が意外だったのか、目を大きく開けてびっくりしている。
「なんで、クルミちゃんが旅立ったのにそんなに笑顔なの!?」
ミカミちゃんはそう言って私に怒ろうとしたが、そんなことはしなかった。ミカミちゃんは知っていた。自分の親友が旅立ち、私が一人部屋で泣いていたことを。その証拠に私は気付かないが、私の目はたくさん泣いて赤くなっており、少し目が腫れている。泣いたあとにクルミちゃんを連れ戻す事を考えたのだろう、と。
(ありがとう。ミケちゃん)
ミカミちゃんは心の中で自分の親友が旅立った事に泣いてくれたことと、その親友を連れ戻そうと考えてくれた私に感謝をした。
もちろん私はミカミちゃんがそのような事を考えているとは知らない。
「あの門の向こうにクルミちゃんがいるんだよ?門番が恐いけど、私達の力なら絶対に勝てるよ!」
私は窓があるところに走っていき、窓を開けて門を指を差す。そう!私とミカミちゃんとクルミちゃん、3人揃ってこそ『魔法少女同盟』だから、ミカミちゃんも分かってくれて協力する!
「ご、ごめん。私はそれに賛成できない」
私は2人で門番を倒し、門を開けてクルミちゃんを助けることをずっと思っていた。しかし、ミカミちゃんの言葉は見事に私の考えを砕いてしまった。
「えっ?今、何て言ったの?」
私は意味がわからずにキョトンとしてしまい、変な声を出してミカミちゃんに聞き直した。
「私は行かない」
そう言って下を向くミカミちゃん。どうやら私が考えた案にミカミちゃんは乗り気じゃないみたいだ。
「なんでなの?クルミちゃんは大切な友達じゃん!私はクルミちゃんを助けたいよ!」
「私だって助けたいよ!けど、あの門の向こうに行っちゃったらもう、無理だよ!」
私はビックリした。こんなに大きな声を荒らげるミカミちゃんは初めてだ。
「どうしても一緒に助けないの?」
私はまさかの事態に声を震わせながら聞いた。ミカミちゃんからの声の返事はなかった。ただ、頭を一回縦に頷くだけだった。
「そっか。じゃあ、もう誘わない。無理矢理はいけないしね」
私はミカミちゃんを説得もせずに諦め、部屋を出た。
ー(幕間)ー
私は廊下に一人で立ち尽くしていた。予定では、ミカミちゃんとどうやって門番を倒そうか作戦を練っているハズだった。しかし、私の隣にミカミちゃんはいない。
私はどうしてもクルミちゃんを助けたかった。しかし、一人ではあの門番とは戦えない。
私は考えた。一人では勝てないが、他に頼れる人がいるだろうか。早くクルミちゃんを助けたいという気持ちに焦ってなかなか頼れる人物が出てこない。
メイド長、メイド副長、五月に頼ったら勝てそうな気がしたが、メイドのメンバーには話したらいけないことのような気がした。
「あっ!」
私は全力で走った。油断したらバランスを崩して転けてしまうくらいに廊下を走る。そして目的のドアまでやって来ると、私はバランスを崩して思いっきり転けてしまった。
「あいたた・・・・」
私は倒れた体をゆっくりと起こす。そして、その到着した場所のドアを見る。
“202”
そうここは202号室の前であった。つい最近名前を聞いたからか、私は真っ先にイテちゃんの名前を思い出したのだ。
ドン!ドン!ドン!ドン!
ドン!ドン!ドン!ドン!
私はドアを思いっきり叩いた。
「お願い!イテちゃん。居ないの?もし居たら返事をして!!」
ドン!ドン!ドン!ドン!
「イテちゃん。イテちゃんの力を私に貸して!」
私は弓道部のイテちゃんなら遠距離でも門番に攻撃ができると思い訪れたのだが、部屋の中からは返事がなかった。
ドン!ドン!ドン!
「イテちゃん。私に・・・・」
ドン!ドン!ドン!
私はイテちゃんの名前を叫びながら、ずっとドアを叩いていた。私の目からポタポタと涙が溢れてきた。
「なにをやっているのですか!?」
そういう声と同時に声の主は私を後ろから取り押さえた。
「離してよ、シシミ!もう、イテちゃんに頼らないとダメなんだよ!」
「落ち着いてください、ミケミケ!クルミちゃんのことは残念です。諦めてください!それに昨日確認したじゃないですか!イテちゃんは!イテちゃんは、今月はもういないのですよ!?」
そう、その事は知っていた。しかし、私はどうしてもクルミちゃんを助けたい。その為にはイテちゃんの力がどうしても必要なのだ。
これは私のワガママだということは知っている。だけど、力を貸してほしい。
私の体はシシミの手により、どんどんドアから離されていく。
嫌だ!こんなことで諦めるのは嫌だ!
「お願い!少しでいいから力を貸して!!」
私は大きな声を202号室に投げる。
ガチャリ・・・・ギギィ・・・・・。
すると不思議なことに202号室のドアがゆっくりと開いたのだ。
私とシシミはビックリして硬直してしまった。
しかし、すぐに私はハッ!となってシシミを振り払った。
「イテちゃん。居るの?」
私はドアノブを持ち中に吸い込まれるように入っていった。




