37・トリガーラーメンの乱
ここから、飯テロ?です。
この物語はまずは『トリガーラーメン』の事から話さなければならない。
トリガーラーメンとはカップではなく、袋に入っている鶏ガラのインスタントラーメンの事である。本来、袋麺は一度鍋で茹でてそのあとに粉スープを入れ、好みで野菜(別売)や卵(別売)、チャーシュー(別売)を入れる。
しかし、トリガーラーメンのキャッチコピーは『直美味しい!めっちゃ美味しい!』という事で袋からどんぶりに入れ、お湯をかけて約3分で出来るということだ。粉スープも付いてなくて麺そのものに味が付いているのだ。
しかも、9割の人が卵(別売)だけを入れて『親子トリガー』を楽しむのである。
そして、とある屋敷で名前の通りこのラーメンが引金になってしまった事があった。
「はぁ~・・・・・」
廊下を歩きながらメイド長の雲木 昌和は溜め息をついた。
「私って本当にバカなことをしてしまったわ」
そう言って再び溜め息をもらす。それもそうだ。雲木は今、ダイエットをしているのだ。しかも、減食ダイエット。ほんのわずか体重が増えていたことにショックを受け、減食をした雲木。しかしそれは体には悪いことを雲木は知っていた。減食をして3日目、減食をやめて運動だけのダイエットをすることを決心した。
若干ふらふらとしながら屋敷の台所に向かう。
一方、こちらはメイド副長の引田 妃実果は徹夜で仕事をしており、夜勤明けで眠気と戦いながら何か食べるものがないか屋敷の台所に向かっていた。
そう、この2人。見事台所の前でバッタリと会ってしまったのだ。
「あら?」
「おっ?」
お互いは相手の顔を見て、(嫌な奴に会ってしまった)っと思ったのだった。
「雲木ぃ~。どうしたんだ?フラフラじゃないか!もう歳なんだし引退したらどうだ?」
引田は弱っている雲木にチャンスとばかり突っかかる。
「うるさいわね!あんたは夜勤明けでしょ?さっさと帰りなさい!」
雲木は引田に強い口調で言う。
雲木は空腹で、取り敢えずなにか食べたいと思い、引田と乱闘をする余裕はないのだ。だから、ここは引田には帰ってほしいと思っていた。
引田は眠気が酷く、なにか食べたいと思い、突っかかったが乱闘をする余裕はない。だから、雲木にはこの場を離れてほしいと思っていた。しかし、元ヤンのプライドか、弱いところを見せたくないという気持ちがあった。
それに、五月により乱闘禁止令がある以上、お互い戦うことが出来ない。
「私はなにか食べるものがないか、探しに来たのだけど、引田はどうしたの?」
分かりきったことをつい聞いてしまう雲木。
「腹へったなぁと思ってここに来たって分かるだろ?」
当たり前の事を答える引田。
この2人、なぜ、台所の前で見苦しい言い争い(?)をしているのかというと、実は数時間くらい前に2人はすれ違いに台所に行っていた。
その時に2人とも台所の材料を確認したのだが、そこにはトリガーラーメンが一袋にポットのお湯が満タンと、後は時間が掛かれば料理が出来そうな材料があるだけだった。
つまり、ここに来たということは僅か3分で食べれるトリガーラーメンが狙いだとお互い分かったからであった。
「トリガーラーメンだけど・・・」
最初にトリガーラーメンの話をしたのは雲木だった。
「私が食べるから、あなたは適当に料理をして食べなさい!」
雲木は上から目線で言うので、引田は怒ってしまった。
「はぁ!?ふざけんじゃねーよ!あれはオレが食べるんだ!てめぇが何か作れよ!」
引田は雲木を睨み付ける。
「「・・・・・・・」」
お互い睨み合う。ここで大きな乱闘をしたらどうなるか分かるからだ。
「ねぇ、引田!ここは穏便にじゃんけんで決着をつけましょう?」
雲木は右手をグーにして自分の顔近くまであげる。
「いや!ただのじゃんけんじゃあ、つまらない!あっち向いてホイにしようぜ?」
引田はどこかで見た弁護士のゲームみたいに人さし指で雲木を指す。
正直にいうとお互い早くラーメンにありつきたいのだが、相手が相手なだけに『相手をギャフンと言わせたい!』という気持ちが勝ち、あっち向いてホイの一発勝負になったのであった。
「じゃあ、行くわよ?」
雲木が掛け声をかける。
「ジャーンケーン!」
引田が合図をとる。
「「ポン!」」
同時に言い、お互い『グー』を出す。
「「・・・・・」」
しばらく沈黙になる。
「「あーいこーで・・・・しょっ!」」
息ぴったりに言い、お互い『チョキ』を出す。
「「あーいこーで・・・しょっ!」」
まるで双子の以心伝心みたいに言い、お互い『グー』を出す。
「「・・・・・・」」
あっち向いてホイのつもりが、最初のじゃんけんで勝負がつかない。
2人はじゃんけんをやめ、睨み合う。




