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猫はふて寝する  作者: 山神ゆうき
屋敷三大美声
42/83

33・重症な猿と無傷な猫

結果から言うと、すごく重い。

歳は同じ年と思うが、43キロの私よりもあると思う。っといっても太っている訳ではないので、骨太か、走るのが好きだから少し筋肉質なのだと思う(あくまで個人の感想です)。


「おサルさん、すごいです!すっごくすごいです!さすがに力が強いですねぇ」


そう言いながらシシミは私の上で両手両足をバタバタ動かす。早くどいてくれ・・・・・。


「シシミ。いつまで私の上に乗っているの?」


私は呆れ顔でシシミに言う。


「わっ!わっ!そうでした!そうでした!」


そう言ってシシミはゆっくりと立ち上がる。


「ミケミケのおかげで怪我がなくてすみました!」


そう言いながらシシミは私に手を差しのべる。私はシシミの手を取り立ち上がり、赤いワンピースをはたく。

それはそうと目の前のエンリュくんが屋敷三大美声の一人とは思えない。何故ならば彼は無口だからだ。


も、もしかしたら、実は歌ったら美声とかかな?


「ねぇ、エンリュくん。何か喋ってみて?」


私はエンリュくんの顔を覗き込むように見て言った。


「なー」


と言い、エンリュくんはスラスラと文字を書き。


『我は闇と契約し者!そう簡単には聖なる声を聴かせる訳にはいかない!!』


という文字を見せる。そして両手をクロスさせて決めポーズをする。闇なのに『聖なる』なんだ・・・・。私は苦笑いした。


「ミケミケ?どうしたのですか?なぜ!なーぜ!おサルさんの声を聴きたいのですか?あー!さては!さては!エンリュくんに惚れたのですか?いけませんねぇ。オオカミさんというものがいながら!!」


っと言い、シシミは私をちゃかすが、ハッキリというと私とオオカミくんは何も関係はない。


「違うよ!ほら、私達がここに来たのは『屋敷三大美声の一人』に会いに来たんだよね?だから、エンリュくんがその一人かな?と思っただけだよ」


私はシシミに説明する。


「そうでした!そーーーでした!私達は屋敷三大美声の一人に会いに来たのでした!」


そう言ってポンと両手を叩くシシミ。訳がわからないエンリュくんは首をかしげる。


「おサルさん。私達はあなたに!あーなたに!構っている暇はないんです!ということで、さよーならー!」


なんと!シシミは目的を思い出した瞬間に、自分のスイッチを切り替えエンリュくんに別れを告げたのだ。


「・・・・なー?」


さっきまで自分の周りでうるさかった人が、いきなり自分から興味をなくして訳がわからないエンリュくん。


「それじゃあ、エンリュくん。私達は用事があるから、また今度ね」


私はそう言ってエンリュくんに手を振る。


「なー?」


エンリュくんの言葉が疑問形になっているが、『お、おう!汝らに暗黒の加護があらんことを!』という文字を見せる。




ー(幕間)ー




「やってきました!ついにやってきました!ここがあの!屋敷三大美声の一人が暮らしている部屋なのです!」


シシミは少し小声で言う。今、私達は111号室の前にいる。ここが屋敷三大美声の一人がいる部屋らしい。

しかし、中からは何も聞こえない。無音であった。


「ねぇ、シシミ?その美声の人は留守じゃないの?」


シシミが小声なので私もつられて小声になる。


「おかしいですねぇ。確かに!確かに!今の時間はいるはずなんですけどねぇ」


そう言ってシシミも不思議そうにしていた。


「仕方ないですね!出直しましょうか」


シシミがそう言ったときであった。まるで、タイミングを計ったかのように歌声が聴こえてきた。


「♪ら~ららら~らら~ら~

自分の~ぺ~スで~

ステップ!ステップ!

ら~ららら~らら~ら~♪」


とても素敵な歌だった。屋敷三大美声の一人クルミちゃんは子供っぽいソプラノとすれば、この声の彼女はアルトである。

アルトだが、とても透き通った声でつい周りにいる人々を踊らせる魅力がある。

私はクルミちゃんの時と同じく、引き寄せられるように111号室にゆっくり歩いていく。


「ちょっと!ちょっと!ミケミケ!何をしているんですか!?」


そう言うシシミの声も私の耳には入らない。今は近くでその歌を聴きたい。ただそれだけであった。


ガチャリ・・・・ギギィ・・・・。


ドアを少しだけ開ける。クルミちゃんの時はこの時点で気付かれたのだが、その声の主はそれでも気付く様子はない。

私はそっと小さな隙間から覗いてみる。


「!!」


私の声は声にならなかった。簡単に言えば、『美しい!』ただそれだけだった。


部屋には白に近い金髪、プラチナブロンズのウェーブがかかった髪が肩まであり、白いワンピースで、背中に白い翼のおもちゃを付けている12歳くらいの女の子が、歌いながらバレエをするみたいに踊っていた。さすがに裸足なのでつま先立ちは出来ないみたいだが、踊っている姿がとても素晴らしい。

私は美しさのあまり彼女の目の前まで歩いていった。彼女はいきなり私が来たので歌うことや踊ることをやめて、驚いた顔で私を見る。


「な、なに見ちょっとねぇ?(な、なに見てるんですか?)」


驚いた彼女はどこかの方言で言った。一瞬何を言ったか分からなかったが、なんとか理解した。

ご愛読ありがとうございます。

中二病の台詞は難しいです。w

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