30・狼の奪い合い、蛇と猫
何故、私がそのような事を言ったのか分からない。ただ、言わないといけないと私は思った。
「な、なんなのじゃ。お、お前は一体なんなのじゃ?」
ミジャは否定されたのが嫌だったのか、声を荒ららげる。
「おやおや?知らないのですか?ミケミケはオオカミのか・・・・」
シシミは何かを言おうとしたが、私は止める。
「ミジャの恋を邪魔することは許さないのじゃ」
ミジャは興奮してしまい、頭が回らないようだ。目もぐるぐる回っているように見える。私はミジャに腹を立てている。それは、オオカミくんのことを取られたくないと思う気持ちだと思う(本当にそうなのか、私にも分からない)。
とにかく私は何かミジャをギャフンと言わせたかった。
「・・・・・タネット」
私は小さな声で言う。
「なんじゃ?」
私の声が小さかったのでミジャは聞き返す。
「うるさい!カスタネット!」
私は今度は大声で言った。
「ブフッ!」
再び豚の勇者は豪快に紅茶を吹き出す。
「な、なんなのじゃ?カスタネットってどういう意味なのじゃ?」
訳がわからないミジャ。
「カスタネットってあの青と赤のタンタンと叩く楽器のことだせ!」
豚の勇者は解説をする。
「つまり、つまり!ミケミケはミジャ様の目を見てカスタネットと言ったのですね?」
シシミは分かりやすく言う。ミジャの目はオッドアイで青と赤なのだ。
「なっ!」
ミジャは言葉を失う。
「これは、これは。まさかそんなことを言うとは。しかしいけませんねぇ。ミジャお嬢様の目は一族の誇り高い赤い目と呪われし・・・・」
「羊?それ以上は言わなくていいのじゃ」
羊が何かを言いかけたが、ミジャはそれを止める。
「しかし、決めるのはオオカミ様なのじゃ。もし、オオカミ様がお前を選んだらミジャは潔く諦めるのじゃ」
ミジャは腕を組み優雅に言った。
「いいわ!私もオオカミくんがあなたを選んだら、私も諦める・・・・・・たぶん」
最後の『たぶん』を小さく言い、ミジャを選んでも諦めない気持ちを表した。しかし、それはミジャには聞こえていない。聞こえていたのは、面白いネタを見つけた、という顔をしているシシミとタイミングよくクスッと笑った(たぶん)地獄耳の羊だけである。
「そうか。それならいい。オオカミ様は絶対、ミジャを選ぶのじゃ。その時はエクレアとマカロンでお祝いなのじゃ」
ミジャはもう勝つ気満々なようだ。
(いやぁ~。おいしそうですねぇ)
エクレアとマカロンと聞いてそう思うシシミ。
(『えくれあ?』『まかろん?』ミジャの友達の名前かな?)
私は知らない単語が出たのでそう思っていた。
「意味がわからないけど、私達は今日からライバルだからね。そろそろ帰る!」
私はミジャを指差し言う。そしてドアの方を向き、帰ろうとする。
「ミジャ達は恋のライバルなのじゃ。しかし、また遊びに来てもいいのじゃぞ?」
私は振り向きはしなかったが、そのような言葉をかけられて嬉しかった。
(恋のライバルでも友達は友達。今度、旅の商人の清珠に会ったらクッキーを貰ってクルミちゃんとミカミちゃんも連れて遊びに行こう)
私は心の中でそう思った。
「ミケミケ~。そのときは!そのときは!私も誘ってくださいなぁ」
シシミは笑顔で言った。
心を読まれた!?
すごく前に番外編で登場した、豚の勇者、ミジャ、羊の話でした。
次回はキャラ紹介を考えています。




