23・勇者様とお姫様になりたい猫
「すごく!すごく!感動です!私は今!感動しています!まさか、運命的な勇者様と魔法少女の出会いに立ち会えるとは!!」
ここは2階、私の部屋の前の廊下。シシミはすでに興奮している。現在時刻は10時19分。少し廊下に出るのが早かったようだ。
「ねぇ?この前、勇者様の取材をしたんでしょ?部屋の番号は分からないの?」
私はふと思った疑問をシシミになげた。
「いえ!いえいえ!取材をしたけど!私は興奮!すっごく興奮して、勇者様が何をしているのかのみ!聞いたのです!」
シシミは自信たっぷりに言う。自慢できることではないけどね。私は苦笑いでその場を流した。
けど、勇者様か。
目がキラキラしており、金髪で背が高くマントをひるがえしレイピアに似た剣を腰にかけている勇者様が私に手を伸ばした。
「ミケお姫様!お怪我はありませんか?」
勇者様の廻りに薔薇の花が見える。
「はい!勇者様!」
私も勇者様に手を伸ばす。勇者様は私の手を取り、お姫様抱っこをする。
「さあ!行きましょうか、ミケお姫様!」
勇者様は笑顔で私を見る。
「はい!勇者様!」
私は勇者様の顔を笑顔で見る。(って、私の台詞は「はい!勇者様!」だけ!?)
という想像をして顔を赤くしてくねくねしていた。
「おやおや!ミケミケ!何か変な妄想をしているのですかぁ~?」
ニヤニヤしながらシシミは私をからかった。
「な、何も妄想してないよ!」
私は慌てて否定するが、これが逆に怪しい。
そして、そうこうしている間に10時半を過ぎていた。
「そろそろ勇者様が見回りをする時間なんです!さてさて、どこから来るのかなぁ?」
シシミは両手で丸を作り、双眼鏡の真似をしてキョロキョロする。もし、勇者様が2階に住んでいる住人ならドアが開くはず・・・・。
ガチャリ!
背後からドアの開く音がした。私とシシミは目を輝かせて同時に後ろを振り向く。すると215室のドアが少し開いており、ミカミちゃんが覗いていた。私とシシミが同時に振り向いたのにびっくりしたのか、「ひっ!」と小さな悲鳴をあげてバタンとドアを閉めてしまった。
私とシシミはお互い顔を見合わせて笑ってしまった。
その時であった。背後でエレベーターのドアが開く音がする。私とシシミは振り向く。
エレベーターから出てきたのは・・・・・・・。
頭に戦国の兜をかぶっており黄色い服、右手に勇者っぽい剣、左手には盾を持っており、豚鼻でぽっちゃりした私と同じ年くらいの男の子が出てきた。
「おおー!やってきました!やってきました!勇者様ーー!!!」
シシミは凄く興奮して今にも勇者様に猪突猛進しそうだ。
「えっ?あの人が勇者様なの?」
たった今、私の中の勇者様妄想は大きな音と共に崩れてしまった。
番外編で出てきた豚の勇者はここから出てきます。




