12・大きな白熊と懐く猫
私が本を読もうとしたら、大きな白熊が入ってきた。人間の姿ではなくどこを見ても白熊だと分かるくらいの白熊だ。
「あっ!お兄ちゃん!久しぶり」
私はドアを開けて入ってきたばかりの白熊に右手を上げる。そう、白熊は私のお兄ちゃんなのだ。
「ごめんね、ケイ。なかなか来れなくて、久しぶり」
白熊は笑顔だけど、少し哀しそうだ。両手で大きな荷物を持っているが、布がかかっていて何かわからない。あと、紙袋も持っている。
「お兄ちゃん。私に会いに来てくれたの?」
「あっ!そうだ。今日は持ってきたものがあるんだよ」
久々に兄に会えて喜んでいる私に白熊は持ってきた荷物の布を取る。すると、それはたくさんのフルーツが入っているフルーツバスケットだった。
「わぁ~。フルーツだぁ。ありがとう、お兄ちゃん」
私は嬉しさのあまり、バンザイをする。
「本当はケイの大好物のエビ、イカ、タコを用意したかったんだけどね」
「ううん。そんなことないよ。すごく嬉しいよ」
私の好物を持ってこれなかったことを哀しそうにしている白熊とは別に私は笑顔で受け取る。
「ケイが喜んでくれると嬉しいけどね・・・・」
白熊は肩の力を抜きボソッと言う。
「あともう1つ。これも持ってきたんだよ」
そう言い白熊は紙袋をガサゴソとあさり、ダチョウの卵くらいの白熊のぬいぐるみを取り出した。
「あーっ!白っちだー!」
私は喜び大声で言う。
「これは、ケイが大事にしていた白熊のぬいぐるみだよ。確か、名前は白っちだったね。これを枕元に置いておくね」
白熊はゆっくりと私のベットの枕元に白っちを置く。
「ありがとう、お兄ちゃん」
枕元に置いてある白っちを持ち上げて抱きしめる。
「白っちも久しぶり!元気だった?」
抱きしめていた白っちを両手で持ち上げる。そのあと右手を白っちの頭に持っていき、頷かせる。
「そっかそっか。元気でよかった」
ニッコリと笑い私は言う。そして、私はまた白っちを抱きしめる。
「じゃあ、そろそろ帰るよ。また来るからね。たくさん話しとかしたいなぁ」
そう言って白熊は私に背を向けてドアを開ける。
「ばいばい。今日はいろいろ持ってきてくれてありがとう」
私は白熊に手を振り元気に言った。白熊は動きを止めて驚いて私を見たが、何もなかったかの様に私の部屋から出ていく。
(お兄ちゃんと会ったのは久しぶりだったなぁ)
私は目を閉じて白熊を思い出していた。
バシッ!・・・・・・・・ドン!!!
白熊が部屋を出て少し時間が経ったとき、外から大きな音がして私は我に返った。そして、私はドアのところまで走り、ドアを勢いよく開けた。
「えっ!!」
廊下のとある出来事に私は驚き、言葉を失ってしまった。
今日で密かに小説家デビューの「猫はふて寝する」をアップして2ヶ月です。
皆様に支えられて頑張っています。ありがとうございます。