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猫はふて寝する  作者: 山神ゆうき
番外編2と別話
16/83

別話「夏の思ひ出」

今回の話は本編とはまったく関係ありません。

10年以上も海、プール、川に行ってないなぁ。と思い書きました。

私の名前はミケ。黒いネコミミ、黒髪の上に麦わら帽子を被り、赤いワンピース(水着ではない。)で砂浜を歩いているのが私である。


私は今、夏を楽しんでいる。波の音が心地よい。波にさらわれる貝殻、青い空に大きな入道雲。


「夏って素晴らしい!!」


私は「バカヤロウ!」じゃなく素晴らしさを表した言葉を海に叫んだ。


「まったく夏は暑いのじゃ。ミジャは暑いのは嫌いではないが、こうも暑いと流石に動きたくないのじゃ」


「さようでございます。ミジャお嬢様!」


泳ぐ気満々だったのかミジャは13才の標準な大きさの胸を強調するように黄色のビキニ姿をしていたのだが、暑すぎたのか大きなパラソル下のビーチチェアで優雅にティータイムをしていた。(よう)はミジャの横に執事服で立っていた。


「しかし、勇者様はとても楽しそうですよ?」


羊は横目で豚の勇者を見る。


「おおー!海だー!セミやカブト虫、クワガタはどこだー!!!」


今回は兜ではなく、麦わら帽子と白いシャツに下は水着で虫取アミと虫かごを持っている。


「勇者様、ここは海ですわ!セミやクワガタなどはいなくてよ?」


ミジャは笑顔で答える。


「では、この網で魚を捕まえるであります!お姫様!」


そう言って網を掲げる、しかし剣ではないのでかっこよくはない。


「すごいデスー!(シー)デース!泳ぐのデス!」


青いワンピース水着で宇美(うみ)ははしゃいでいた。その隣で五月(さつき)はきわどい白のハイレグで笑顔ではしゃぐ宇美を見ていた。後ろにはメイド長の雲木(くもき) 昌和(まさわ)と本編ではまだ見ぬ人、茶髪のショートのメイド副長、引田(ひきだ) 妃実果(ひみか)は競泳水着を着ていた。


「雲木ぃ~。やっぱり競泳水着だねぇ!オレと競争しない?」


ケンカを売るような手つきで引田は雲木を挑発する。


「いいわ!いい加減、私が上ということをわからせてあげるわ!向こうに見える小さな島で折り返しの競争よ!」


雲木も挑発に乗る。


「わあぁ~。海だねぇ。すごく大きいねぇ~」


「す、すす凄いです。お、溺れたらどうしよう・・・」


白いスク水のクルミちゃんと紺色のスク水のミカミちゃんは海を見て驚いていた。


「二人とも泳ぐ気満々だね。私は泳ぐのは苦手だけど・・・・」


私はクルミちゃんとミカミちゃんに言う。


「雰囲気だけだよ~。私達は砂場でお城を作るの~」


クルミちゃんは笑顔で言った。その内にミカミちゃんはバケツいっばいに砂を入れてバケツをひっくり返し、山を何個か作っていた。


「じゃあ、私も手伝う」


私はクルミちゃんとミカミちゃんに加わる。しかし、お城はすぐに崩れてしまった。原因はアニメでよく見る重力無視のお城を作ろうとしたことだ。


「おーほっほっほ!情けないのじゃ!ミジャの立派なお城をみるのじゃ!!」


見ると見事な砂の城が出来ていた。


「ミジャお嬢様!これでよろしいですか?」


白い手袋に少し砂を付けた羊がひと仕事終えた表情をしていた。


「こらー!自分で作りなさーい」


私はミジャに向かって叫ぶ。


「ミジャの執事が作ったからミジャの城なのじゃ!」


ミジャはムキになり言い返す。


「けど、ミジャは作ってないよね?」


私は更に言い返す。


「こ、これはミジャの城なのじゃ!これはミジャの城なのじゃ!」


とうとうミジャは駄々をこねる子供みたいになった。


「ふふふ・・・・・。そんなに駄々をこねて。お姉ちゃんって大きな子供みたい」


知らない声が背後から聞こえて私はびっくりして振り返る。


「えっ?」


私達はその声の主を見て言葉を失った。その声の主は女の子であった。女の子は私と同じ姿で顔も同じであった。しかし、ネコミミとシッポは白で髪の色は水色で青空に入道雲を連想させる。ワンピースは向日葵の黄色を表し、目は深い海の濃い青をしていた。


「えっ?えっ?私に・・・・・そっくり?」


私はかなり混乱している。


「フフフ・・・・。びっくりさせてごめんなさい。私の名前はサマーだよ。この近くに住んでいるの。立派な白猫である!」


サマーちゃんは両手を腰に当て胸を張り「えっへん!」というポーズをしている。


「な、なんなのじゃ?ね、猫が2人?」


「これは、これは、驚きました」


ミジャと羊も驚いている。


「あわ・・・・・・。あわわわ・・・・」


ミカミちゃんは怖がっているようだ。


「大丈夫だよぉ~。怖くない。怖くない」


クルミちゃんはミカミちゃんの頭をナデナデして落ち着かせる。


「そっか。よろしくね、サマーちゃん」


「うん!」


私とサマーちゃんはお互い笑顔になる。


「おおー!(キャッスル)デース!すごく大きいデス!周りに小さな家を作って王国(キングダム)を作るデース!」


宇美がお城に気付いて近付いてきた。そして、立ち止まる。


「ワオ!(キャット)が2人!?」


宇美も驚いて言う。




ー(幕間)ー




サマーちゃんの自己紹介が終わり、皆が集まっていた。黒猫か白猫かの違いで顔や背の高さ、服装まで私にそっくりなので皆驚いていた。簡単に言えば、私の2Pなのです。


「おおー!本当に双子みたいだな」


豚さんは驚いている。


「そ、そうなのじゃ!グスン。だからミジャ達もびっくりしたのじゃ。グスン」


ミジャが泣いているのは少し前に、豚さんがつまずいて転んでミジャのお城を破壊してしまったからだ。


「げ、元気出してください。お姫様!タコを捕まえました。これをあげるぜ」


豚さんはミジャの機嫌を取ろうとしていた。エビ、イカ、タコは私の大好物なんだけどなぁ。


「ねぇねぇ。遊ぼ!」


サマーちゃんは笑顔で私のワンピースをくいくいと引っ張った。


「うん。けど、何して遊ぶ?」


私はサマーに聞く。


「う~ん。夏ってどんな遊びをするの?」


きょとんとしてサマーちゃんは私達を見る。どんな遊びがあるのか知らないのか、たくさん遊ぶことがあり選べないのかは私達には分からない。


「スイカがあるよ~。スイカ割りをしよう!」


五月がスイカと木の棒を持ってきて提案する。


「いいねぇ!木の棒で何かを殴る。元ヤンのオレが得意だわ。雲木ぃ。水泳は引き分けだったが、スイカ割りではオレは負けないぜ?」


また引田はメイド長を挑発する。


「いいわ!その挑発、受けよう!」


雲木もやる気満々だ。どうやらスイカ割りはこの2人のどちらかが割りそうだ・・・・・・多分。


くじの結果、ミジャ、ミケ、豚さん、五月、雲木、クルミ、引田、ミカミ、宇美、サマーの順になった(羊は見学らしい)。たぶん、サマーちゃんの出番はないだろうと皆が思った。


「ミジャが1番なのじゃ」


さっきまで泣いていたミジャはご機嫌になっていた。ミジャは目隠しをして3回回るまではよかったのだが、皆の助言も虚しく結局スイカの場所まで辿り着けなかった。

続く私達もスイカを割ることはできなかった。そして、最後のサマーちゃんの出番が来たのである。サマーちゃんは目隠してをして3回回り、微妙にふらつきながらそれでも真っ直ぐにスイカの場所まで歩いてくのだ。皆もその正確さに「右!左!」の助言も忘れサマーちゃんを見守っていた。そしてスイカの2、3歩まで来ると。


「えいっ!!」


と言い、見事にスイカを割ったのであった。


「えっ?どうしてスイカの場所が分かったの?エスパー?」


私は驚きサマーちゃんに聞く。無理もない。本当に見えているみたいに迷わずスイカの位置まで行ったのだから。


「えっと、ごめんなさい。スイカの匂いを辿ったの。ある意味イカサマだね」


サマーちゃんはシュンとしてしまった。


「そんなことないよ!ただ、凄いと思っただけ」


私は笑顔で答えた。


それから私達はたくさん遊んだ。今度は大きな砂の山を作り、山崩しをしたり、再び水泳競争をしたメイド長と副長を観戦したり、私とサマーちゃん対ミジャと豚さんでビーチバレーをしたりしてたくさん笑った。


楽しい時間はあっという間に終わり、いつの間にか夕方になっていた。


「皆さま!そろそろ帰る時間です」


いつもの口調で雲木は言う。


「楽しかったね」


私はサマーちゃんに笑顔でいう。


「うん。とても楽しかった!最後にとてもいい思い出が出来て良かった」


そう言うと少し哀しそうな顔をする。私はサマーちゃんの最後の方は聞こえなかった。サマーちゃんとお別れになるのかと思うと私も寂しくなった。


「サマーちゃん。元気でね」


私はサマーちゃんに手を振る。


「ありがとう。皆さん、帰りも気を付けてね」


サマーちゃんは笑顔で手を振る。


ここはサマーちゃん以外いなくなった海岸。サマーちゃんは海を見ていた。


「さすがにこの姿は皆驚いていたね。姿はどうすればいいか分からなかったから、目の前にいた猫と同じ姿になったのだけど」


そう言ってサマーちゃんは目を閉じる。


(私は近所の猫じゃなくて、夏の妖精なんだ。夏の最後にとても良い思い出ができた。とても楽しかったなぁ。けど、また来年)


サマーちゃんはニッコリと笑うと体が薄くなり消えていった。

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