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第1話「速報 魔王死亡」

初投稿です。ご指摘などありましたら優しくお願いします。


3月25日

少し設定やら文章なんかを大幅に変更しました。

闇夜に佇む巨大な城。


そこには世界を支配しようとする魔王が住んでいる。魔王はその強大な力で多くの人々の命を奪い、その生命力や魔力を自分に取り込んでさらに力をつけた。そのため魔族軍の進行に抵抗した人間族や獣人族もその本拠地である魔王城だけは手を出すこともできなかった。

しかし鉄壁を誇る魔王城は今宵不気味なほどの静寂につつまれている。

なぜなら城にいる精鋭の魔族兵や使用人のほとんどが殺されているからだ。


ーーそして折り重なる死体の先にはふたつの影があった。





「ふぅ…やっとくたばったか。」


俺は目の前の魔王を見下ろす。

最強と言われ恐れられた魔王は今や虫の息だ。


「バカな…。この私が、こんな奴に…!!」


魔王の瞳に映るのは灰色の髪をもつ1人の少年だった。

白い肌に生気のない瞳。そして死にそうな魔王を前にして崩れない表情。

今まで挑んで来た奴らとは違う。間違っても勇者なんてものとはかけ離れている。


「こんな…死んだような奴に…?」

「おいおい…。お前を殺すためにまさしく死に物狂いの特訓をしてきたのに死人ってのはひどくね?」


俺は魔王を倒すために必死に努力してきた。鍛錬を積み、死線をくぐり抜け、意識が飛びそうになるほどの痛みやくじけそうなほどの理不尽にいくども耐え、乗り越えてきた。

その結果、疲れ切った俺の顔から表情は消え、髪の毛だってストレスでほぼ白髪になってしまった。正直いつ禿げるか気が気じゃない。育毛剤買った方がいいかな?


しかしこんなに努力した勝者を死人呼ばわりとはどういうことだ。

俺は現在進行形で生きてますけど?


「こんな奴に…!こんな虫けらみたいな奴に!!!」

「…じゃあ俺に勝てないお前は虫けら以下ってことだな。」


うるさいな。

まるで駄々こねてるガキみたいだ。

そんなに俺に負けるのがイヤか?

時間もないしさっさとトドメを刺そう。

お前に用はない!


「一応聞くがなんか最後に遺言的なやつはあるか?」

「いい気になるなよ…!私はここで消える…。だが!必ず私を継ぐものが現れ、世界を再び混沌と恐怖の渦に陥れるだろ

「あぁ、そういうのはいいから。俺にはもう関係ないし。」

「ん…?どうゆうことだ…?」

「お前が死ねばわかるよ。」

「おい!?それはいくらなんでも酷すぎっ!?」


薄暗く照らされた部屋を魔王の首が舞う。

素晴らしい切れ味だ。流石俺の愛刀。


はい!魔王討伐完了!

さぁ急いで目的のブツを…


「経験値を獲得。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしました。レベルアップしまし…」


…俺は急いでるんだよ?わかってたけどレベルアップし過ぎだな。今まででも最高は連続5回だったのに連続28回とかふざけてる。もうレベルなんて必要ないのに。死んでもなお俺にストレスを与えてくるとは流石は魔王(笑)だな。


「ドロップアイテムを確認。

 ・魔王石を獲得

 ・魔王の冠を獲得

 ・支配者の首飾り(極状態)を獲得

 ・殺戮の剣(極状態)を獲得

 ・頂点の杖(極状態)を獲得

 ・深淵のローブ(極状態)を獲と…」


だから急いでるんだよ!アイテム多いな!今更手に入れてもすぐに必要なくなるんだからいらないんだよ!はやく俺の欲しいもんを出せ!!!

っといけね。焦るな。冷静になれ。深呼吸、深呼吸。

改めてアイテムを確認していく。


「…を獲得

 ・魔道書「精神干渉魔法・神級」を獲得

 ・魔道書「隷属魔法・神級」を獲得


 ・魔道書「転移魔法・神級」を獲得 」


「よっしゃキターーー!!!」

 

やっぱりあった!これでかつる!!


俺は他のアイテムには目もくれず魔道書「転移魔法・神級」を開く。

現在テンションマックスの俺だが表情が乏しいため、端から見たら薄気味悪い笑みを浮べている犯罪者にしか見えないだろう。

この生気のない表情の所為で「アンデット・ブレイザー」なんて二つ名もあるくらいだ。

(たぶん死人みたいな勇者とかそんな意味。アンデットになった覚えはない!)

…そんなことはどうでもいい。

この魔道書こそ俺の一筋の希望の光なのだ!


「おぉ…!ホントにデマじゃなかった!あの魔族のジジイには感謝しないとな…。」


そもそもなんで俺が1人で魔王(笑)に挑んだのか。

まぁ俺1人でも簡単に倒せるってのもあるけど…別にぼっちだった訳じゃないからな!ちゃんと仲間?はいたからな!?


1ヶ月くらい前に俺はたまたま捕らえた魔族の老兵から興味深い話を聞いた。そのジジイ曰く魔王の所持品の中に次元を超えることができるようになる魔道書があるらしい。


今更すぎるが俺は異世界召喚されたカワイソーな中学生だ。元の世界ではただのいじめられっ子だったがこの異世界に召喚されて勇者となり、魔王(笑)討伐の旅に出た。

ところが俺は色々あって自分の身の危険を知り、元の世界に変える方法を探し始めた。この世界には送還魔法がないと聞かされ、絶望していた俺はこのジジイの話を聞いて魔王(笑)単独討伐を計画、実行したという訳だ。


え?その後ジジイはどうしたかって?

まぁ魔族軍だったので逃すわけにもいかず、泣く泣く殺させてもらいました。殺す時に「貴重な情報をくれてやったのじゃ。せめて苦しまないように殺してくれ。」と頼まれたので魔法で眠らせて痛覚を取り除き一瞬で殺しました。

老兵さん。本当にありがとうございました。感謝してます。


そして手に入れたこの魔道書に書いてあるのが「転移魔法・神級」だ。

転移魔法と一口で言っても物質転移やテレポートなど色々なものがあり、取得した階級によって効果も違う。この魔道書に書いてある転移魔法はいうまでもなく最上級の階級だ。こいつのために使えなかった転移魔法を超初級から勉強するはめになった。全ての階級を制覇しないと神級魔法は使えないらしい。覚えるのが面倒くさくて仲間の転移魔法に頼りきってたのが裏目に出たな。

転移魔法・神級を取得すると自分の行ったことのある場所に行けるらしい。これだと上級のやつと大して変わらないが神級になるとこれに「次元を超えて」が付く。自分の見た夢の世界にも行けるらしい。時間制限付きだけど。夢の世界で何すんだよ…ってそれはどうでもいい!!


「やっと帰れる…!」


そう。これがあれば俺は次元を超えて元の世界に帰れる。地球での俺はいじめられっ子だったがこの世界で肩身の狭い逃亡生活をするよりはマシだろう。


「転移魔法・神級を取得しました。」


よし、あいつらが来る前にとっととずらかろう!こう見えて召喚された時にたくさんチートをもらったからな!高度な魔法陣を使うくらいは余裕だ!え〜っと魔力で魔道書の通りの魔法陣を書いて…。


「転移魔法陣発動のための魔力が足りません。追加の魔力を補給してください。」

「嘘だろ!?」


俺の魔力は多過ぎて表示できないくらいあるんだぞ!?さすがに次元超えるだけはあるな…って感心してんじゃねーよ!!どうすんだ!?時間がない!


「そうだ!」


魔王のドロップアイテムになんかないか!?あいつ魔力だけは俺よりあったし!アイテムに魔力増強みたいなやつあるだろ!なかったら殺す!

あ、もう殺してんじゃん。







 ー2分後ー


「あった…!」


この1番最初に出てきた奴がそれっぽいな。


「魔王石」

 ・魔王に溢れる魔力を生み出す石。魔王本人の膨大な魔力に加えて魔力が殺した人々から得た魔力も詰まっている。取り込めば世界を覆す魔力を手に入れることができる。



…世界を覆せる魔力を持ってたくせになんで俺にボロ負けしたかな?そういえばアイツひたすら高火力の魔法撃つだけの脳筋だったような…。いや、神級魔法撃ちまくるだけでも十分強かったけどね?ものは使いようって言うじゃん?きっといままでの相手が弱いから考えずにゴリ押しでもなんとかなったんだな。うん。


それにしても世界を覆す魔力をもつ石か…。これはそのまま食えばいいのか?でも魔力食べてるやつなんて見たことないし、それに取り込めばって書いてあるし…。あっ!


「よし、これでいこう。」


俺は魔王石に自分の魔力を注ぎ込んだ。少しずつ、慣らすように自分と魔王石の魔力をシンクロさせていく。すると魔王石は光となり、俺の中に吸い込まれていった。今までにない魔力が湧き上がってくる。なんとかなった。俺天才。


「でも世界を覆すって言ってたけど…コレは予想外だな…。」


取り込んだら魔力が増えるどころか増え過ぎて体から溢れ出そうなくらいだ。強化スキルなんて使わなくてもオーラみたいな魔力が俺の体を覆っている。魔王石ハンパない。

でもこれで転移魔法が使える!魔王(笑)にはちゃんと感謝しよう。ありがとう。ついでに遺言途中で切ってごめんね?


そんなこんなでバカやってるうちに光が俺を包み込み始めた。発動準備完了である。


「行き先は…。人に見つからないような場所を選ばないとな。」


くすんだ白髪に黒いローブ、腰には刀と魔法剣。いきなりこんな厨二キャラ全開の格好した奴が街中に現れたら恐らく通報される。誰もいない場所といえば中学校の裏山だな。あそこなら見つからないだろう。俺の一押しぼっちスポットだ。


「あいつらはどうしてるかなぁ…」


家族や幼馴染、学校の友達。元の世界の知り合いを思い浮かべる。別に再開したい相手がいるわけでもないけどさすがに知り合いが誰もいないのはキツい。


異世界の1日は24時間じゃなくて30時間だし1年は100日で数えるから向こうでどのくらい時間が過ぎてるか正直わからない。


100年近く経過しててみんな死んでます!とかはやめてほしいな。マジでシャレにならない。まぁそれでもなんとかするんだけど。



魔法陣が輝きを増していく。

…そもそも刀とか持っていけるのか?

異世界のアイテムが持って行けなかった場合、全身を異世界最強クラスのアイテムで固める俺は全裸で裏山に転移することになる。めでたく変態さんの仲間入りだ。

まぁ着いてから考えればいいか。



さぁ!いざ元の世界にーーー












 バァン!!!


「シンヤ!?無事かっ……え?」








…あーきちゃったよ。のんびりしすぎたかな?調子に乗りすぎたせいで見つかっちまった。

そもそも俺はなんで急いで(?)いたのか。

答えは一緒に旅をしていた仲間達に見つかるのを避ける為だ。

「俺が目の前で帰ったらみんなを悲しませる!」とかそんなカッコいい理由じゃない。コイツらから逃げる為だ。

この世界の人間は俺を利用することしか考えてないからな。つまり俺に迫る身の危険はコイツらが原因なのだ。

まぁ2度と会うこともないし最後にイヤミの1つくらい言わせてもらおうかな〜?







補足

主人公が死人みたいな顔をしてるのは異世界で色々あって精神的に疲れているのが顔に出てるからです。

1週間くらいしっかり休めば元気になるかと…。まともに睡眠もとれていないのでね。


☆ちなみに休んでも白髪は元に戻んないようです。残念!


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