夏の魔女に出会ったぼくは
彼女は真っ白なワンピースを着ていた。
麦わら帽子を浅くかぶり、白く美しい手足を真夏の陽射しに晒す。
危ないよ、とぼくは言った。
平気だよ、と彼女は返した。
突き刺すような日光は彼女の体をジリジリと焦がしていく。
次第に赤くなっていく彼女の肌を見て、ぼくはまた心配になる。
そんな気持ちを察したのか、微笑んで彼女はまた言う。
「大丈夫だよ。ほら」
赤く火照った体を自身の手で優しくさする。
するとどうだろう。
陽のもとへと飛び出す前の、あの美しい、雪のような白さへと戻っていった。
「ね?」
「うん。ごめん」
「なんで?」
「信じてなかったから」
「みんなそうだよ」
「ごめんね」
「……」
「とっても、きれいだよ」
ぼくの言葉に彼女は吹き出した。
「ありがとう」
笑いながらそう言う彼女にぼくは見とれてしまう。
「君が初めてだよ」
「え?」
「怖がらないんだね」
「何を?」
「私、魔女だよ?」
「知ってる」
「人じゃないよ?」
「知ってる」
「怖くないの?」
「別に。可愛いとは思うけれど」
その言葉に、彼女は黙って俯いてしまった。
「あ、ごめん」
「……ありがと」
数秒の後、彼女はまた顔を上げて、ぼくにお礼を言った。
変だな。
さっき魔法を使っていたのに。
どうして顔が真っ赤なんだろう。