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魔剣姫と狂愛の魔女   作者: 澪木 たま
居候編
7/15

6:第二王女(バルド+???視点)

時はアレン・リギンディアがフリーズする数日前、

バルドが妖精達に引っ張られていった後の場面へ戻る。


まだ朝露が木々の葉をしっとりと濡らしている森の中で、バルドを凄まじい速さで引っ張っていった妖精が、突然止まった。

もちろん慣性の法則によってバルドが吹っ飛ぶが、妖精に襟首を掴まれているせいで首が締まり、グエッと潰れたカエルのような声をだした。


しかし、文句を言おうとしたバルドは、目の前に広がる光景に、思わず口をつぐんだ。そして、つぐんだ口を再び開けてしまった。


色とりどりに光る、何百もの妖精達が、同じ空間にいた。しかも一匹も動いてはおらず、息を潜めて一点を見つめていた。


そこには、一糸纏わずに横たわっている美少女がいた。


肌は健康的な白色で、木漏れ日の中でも分かるほど艶やかで弾力のありそうな様子をしていた。

体は細く締まっているが、ほどよく脂肪がついていて、特に胸は、Dカップ程もあり、きれいなお椀型をしている。その胸の上には、黄金で出来た繊細な彫刻の施された台座と、それにはめられた、真ん中を竜の形に彫られた大きなサファイアが、異質な輝きを放っていた。


そして、特筆すべきなのは、顔である。

世の女性が憧れる、程好い小顔で、逆さ涙型の形をしている。が、頬はふっくらとし、上気して桃色に染まっている。紅も引いていないのに、しっとり赤く染まっている唇からは、規則正しい呼吸が漏れていた。鼻はスッと通っており、これまた、高すぎも低すぎもせず、非常にバランスがとれている。

目を閉じているので瞳の色は分からないが、睫毛が長く、大きなクリッとした目をしているように見える。その上にある眉は、薄茶色で、顔つきを大人びさせるようにハッキリと弧を描いている。

そして、金色の蜜のようなたっぷりとした髪が、日の光を反射しながら扇のように広がっていた。


美の女神も、恥じらい逃げ出してしまう程の美しさだった。


さて、あまりの美しさに昇天しかけていたバルドだが、妖精達にひっぱたかれて、ようやく我を取り戻した。

妖精達が持ってきた毛布を、急いで少女の体に巻き付けて、その頑丈な肩の上に担いだ。そして、バルドは微かに怠さを感じて顔をしかめた。


「・・・絶対俺の魔力を使ってここまで連れてきただろ」


そう、妖精は元々自分を維持する分の魔力しか保有していないため、他人から魔力を奪って魔法を使うのだ。しかし、少女の胸元にあったサファイアには守護魔法が掛けられていた。そのせいで純粋な魔法生命体である妖精は、攻撃魔法と認識されて、少女に触れることができず、運ぶことが出来なかった。そして、仕方なくバルドを連れてくる事になった、というのが事の顛末である。


そうこうしている内に、バルドの家へ着いた。

やっとのことで少女を簡素なベットにのせて、毛布を掛けてやると、大きな溜め息をついて、バルドはドサッと椅子に座った。

その拍子に、ガタがきていた椅子が壊れて、バルドが尻餅をついたのはご愛嬌だ。

改めて、新品の椅子に気をつけて座ったバルドは、少女の寝顔を静かに見つめた。


「タイミング的に考えて、コイツは多分ランディア神竜国関係だよなぁ。どうすりゃいいんだか」


眉間に寄ったシワを撫でながら呟くと、今まで全く気付かなかった所に目がいった。それは、胸元で虹色に輝くサファイアのペンダントだった。


「ん?何だこれ・・・この模様は!?」


バルドはペンダントに彫られている模様を見て、驚愕のあまり全身を震わせた。


「翼を広げて炎を吐く(ドラゴン)・・・これは、あのランディア神竜国の世継ぎにしか渡されない伝説のペンダントじゃねーか。何てこった!コイツは第二王女なのか!」









『ランディア神竜国の世継ぎは、ペンダントを光らせる者がなる』


この、一見あり得なそうな方法をこの国は何百年もやり続けている。それでこの国は他のどの国よりも大きくなり、長く続いているのだから、やはりペンダントには何かしらあるらしい。

さて、今代の王の子供は三人いる。第一王女と第一王子は王妃の子で、第二王女は側室の子である。

王妃の子は二人とも優秀で、多くの人々は彼らのどちらかが王になると思っていた。しかし、二人とも15の誕生日に渡されるペンダントは光らず、それ以降もペンダントに触ったが変化はなかった。

焦った王は側室と子供をつくり、第二王女を産ませた。

側室は出産時に命を落としてしまったが、子はスクスクと育ち、待ちきれなかった王は、第二王女が6才の時にペンダントを持たせた。

すると、今まで少しも光らなかったペンダントが強く輝き始めたのだ。

王も、不安に思い始めていた国民達も、皆が狂喜乱舞し、第二王女は世継ぎとなった。

だが、ある情報筋によると、第二王女は文武両道ではなく、少し文に疎いらしい。さらに性格も単純で、正義感に溢れすぎていて必要悪というものが理解できないらしい。

といっても、武に関しては優秀だし、とてつもない美少女であったので、表立ってその事を指摘する人はいなかった。




・・・という事を思い出したバルドは、頭を抱えた。


「馬鹿なのに腕が立つとかどういう冗談だよ・・・。よし、起きたら襲われることも考えて厳戒体制でいこう」


そう言って、バルドはわざと多くの人々に恐れられている無表情になり、少女の近くで待機し始めた。


この後、起きた少女に殴り殺されかけて、無表情のまま冷や汗をかいたり、記憶喪失だと気付いて娘にしたりして、前よりも賑やかな毎日を送るようになったバルドであった。





***************






―――――ここは、どこだ?


私がふっ、と目を覚ますと、見知らぬ場所にいた。

そこは果てしなく遠くまで続いているように見えるが、空はなく、どこまでも白かった。

辺りを見回しても何もなかったので、とりあえず歩き出した。

何だか、直前までとても大変な事があった気がするのだが、ぼんやりしていて思い出せない。


何時間か、それとも何日か、時間の流れが全く分からない中そこそこ歩き続けたところ、何かがポツリと遠くの方に見えた。

近寄るにつれて、それが少女だと分かった。

年齢は私と同じ16くらいだろうか。真っ白な乱れのないベッドの上に、手を胸の前で組んで、スヤスヤと眠っている。

髪は、珍しく混じりけのない黒で、肩の上で綺麗に切り揃えられていた。

体つきの割りに顔が幼く、可愛らしいのが特徴か。

もっと近づいて見ようと顔を寄せた時、少女の手の間にある蒼い輝きが目に入った。


その瞬間、私はつい先程までにあったことを思い出した。


「!?・・・私、は・・・どうして、ここにいるっ・・・」




真っ白で優しく、残酷な世界で。

二人の少女が出逢った。


そして、永く止まっていた歯車が、動き出した。

次回からはしばらく本編の予定です。

つまり、???ちゃんは放置なのです。

怒らないでくださいね!

ちなみに、作者にとっての巨乳はDカップです。それ以上は爆乳です!

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