白い部屋
少女が目を覚ますとあたり一面真っ白だった。
少女は窓も扉もない箱のような部屋にいた。
ぐるりと一周、部屋を見回した。ぷくぷくとした自分の手と足を見つめた。
ここは何処だろう。私は誰だろう。少女の記憶は何もない。
少女は白い服を着ている。
少女はペタペタと歩いて壁に触れてみた。冷たい感触がある。少女は壁を叩いてみた。
「パンパン」
何も起こらない。少女はさらに壁を叩いた。
「パンパンパン」
何も起こらない。
少女は服を脱いだ。しかし少女にはそれが服だという自覚がなかった。
何故このような物が身体に被せられているのだろう。そう思ってそれを脱ぎ捨てた。
少女は四つんばいになって歩き出した。
その時、壁の一部が開いて、手のようなものがウィンと伸び、少女の服を回収した。回収が終わると壁は閉じ、また元の何もない部屋に戻った。
少女はさっき開いた壁にかけより、そこを叩いた。
「パンパン」
「パンパンパン」
何も起こらない。しかしそこに四角い枠を見つけた。 その枠で囲まれた壁がいくらか高い音がすることに気づいた。
少女は振り返りもう一度部屋を見回す。
すべて真っ白だと思われた部屋に黒い色を見つけた。天井の一角にポツリと何かがある。あれはなんだろう?少女は近寄って、マジマジとそれを見たが、なにか分からなかった。それに触ろうと爪先立って手を伸ばすが、少女の身長では届きそうにもない。
「あーあーあー」
天井の黒いものを求めて、少女は声をだした。
「あーあーあー」
天井の黒いものを諦めた後も少女は声をだした。
「あーあーあー」
「あーあーあーーーーーー」
少女は引き返しもう一度、枠どられた壁を叩いた。
「パンパンパン」
「パンパンパン」
「パンパンパンパンパンパンパン」
少女は手のひらをグーに握り壁を叩いた。
少女は枠の細い隙間に指をねじ込もうとしたが無理だった。
少女は足で壁を蹴りだした。
少女は手も足も血だらけになっていた。それでも何も起こらないと少女はその場で地団駄を踏み出し、奇声をあげた。
「あああああーーーーーーー」
「あああーあああーあーーーー」
しばらくすると少女は疲れ、黙った。その場に腰を落とし、崩れるように眠りに就いた。
おやすみなさい、少女。