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第4話竹下蓮

 あの男(蓮)と会わないようになって、二週間が経とうとしている。

 ホッとする。

 倫はいつものように里香と一緒に大学のカフェテリアで楽しそうに話しながらランチをしている。

 サラダのキュウリにフォークをさし食べようとした倫は、後方から「唯名っ!」と呼ぶ聞き覚えのある人なつっこい声に振り向いた。

 高い身長、茶色のサラサラした髪、笑うと人なつっこい軽い雰囲気……。

 あいつだった。

 倫は、蓮に気づかれるのが嫌なのと急に早く打ち始める心臓の鼓動に戸惑い振り返り俯いた。

 ドキドキ……。

どうしたの、私……?心臓の鼓動がどんどん早くなる……。

 倫は自分の心臓の鼓動がどうして早くなるのか分からない。

 戸惑う倫。

「あー、あの人……法学部の竹下蓮だぁ……」

 俯き戸惑っている倫の前で、里香はあの男の名前を口に出した。

「ホウガクブ……タケシタ……レン……?」

 倫は小さな声で蓮の名前をゆっくりと口にする。

あの人レンって言うんだ……。

「そう、あそこにいる背の高いイケメン」

「里香ちゃん、何で知ってるの?」

「あんたは興味ないから知らないかも知れないけど、あの人、ニ、三年の女子の間じゃぁ凄く有名だ

よ〜。頭もいいし、すっごくモテルんだよ。ちょっとタラシだけど」

「そ、そうなんだ……」

 全然知らなかった……。

っていうか、全然知らない。

 倫はもう一度ゆっくり振り返り蓮を見た。

金城きんじょう唯名、あの子が竹下蓮の本命らしいよ」

 金城唯名。

あの子なら知ってる。

 この大学の理事長の孫で、この大学の人間なら知らない人はいないってぐらいの綺麗な女の子。

色白で清楚な感じで何もかもバランスよく整っていて、女の私ですらドキドキしてしまう。

 倫はなぜか悲しかった。

最悪だと思っていたあいつ……。

「ふーん」

やっぱり……。

 蓮を遠目に切なそうな顔で見ていた倫がフォークにさしたキュウリを食べようと口を開けた瞬間、

蓮は倫の方を見た。

あっ……やばっ……。

 慌てて振り向き俯く倫。

でも、遅かった?

 蓮は倫に気がつき、探してた倫の俯く後姿をトレーを持ったまま見つめた。

「蓮?」

 唯名はそんな蓮の顔を不思議そうに見ながら蓮の服の袖を引っ張った。

 誰かを真っ直ぐ見つめる蓮の瞳。

 唯名は蓮が見ている視線の先を見て、蓮が他の女を見ているのに気がつくとムッとし、また蓮の

服の袖をおもいっきり引っ張った。

 「あ……」

 ようやく引っ張られた服の袖に気がついた蓮は唯名の顔を見下ろす。

「早く座ったら?」

「あ、唯名、ごめっ!またね」

「えっ?」

 蓮は唯名に謝ると、倫が座るテーブルの方に歩き出した。


 倫は二人の間にどんな会話があるのか気にはなったけれど、私には関係ない……と言い聞かせサラ

ダを食べる。

「やっと、あーえーたっ!」

 蓮は人なつっこい口調でニコニコしながら倫の隣に、ドカッ!と座る。

「!?」

 まさか自分の本命を残し、自分の所に来るとは思わなかった蓮を物凄く驚いた様子で見た倫は、前

に座っている里香に助けを求めようと見たら、里香は倫以上驚いた顔で自分と蓮を見ていた。

 今日は何も言わない倫に「今日は怒んないの?」と訊く。

軽そうな悪戯っぽい瞳で自分を見る蓮。

周りでランチをしている学生の視線が倫と蓮に注がれる。

「みんなが見てるから……」

 ボソッと答える倫。

 蓮は、慣れた感じで驚いた顔で自分達を見ている周りの学生にニコニコ笑いかける。

「倫……まさか……?」

 少しして我に返った里香はなぜか分からないけど恐る恐る倫の名前を口にし、里香が何を言いたい

か察した倫はため息をつくと軽く頷いた。

「リン。ていうんだ。可愛い顔に合ってんじゃん!どう書くの?鈴、凛々しいの凛、不倫の倫?」

 幼い子供がお母さんに、なんで?を訊くかのようにテンポよく訊く。

「倫理の倫」

「あー、倫理の倫ねぇ……そうなんだぁ」

 蓮は納得したようにウンウンと頷き、今度は里香に目を向ける。

「お友達は何ちゃん?」

「里香です」

「よろしくね、里香ちゃん」

「はい、こちらこそぉ」

 里香はまるで芸能人に会ったかのように嬉しそうに返事する。

 私も里香ちゃんのように愛嬌があったらいいのになぁ……。

蓮と楽しそうに話している里香を見ているとなぜかそんなことを考えている。

今まで感じた事もない、考えて事もない気持ちが湧き上がってくる。

人を羨ましいなんて思ったこともなかったに……。

 里香が蓮と楽しそうに話してる中、倫は今まで感じた事のない感情に戸惑いを覚えていた。











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