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2/14

位相封鎖、通信ゼロ

1


赤い非常灯は、暗闇を照らすためのものじゃない。


"ここから先は正常じゃない"と知らせるための色だ。


久住透真は清掃カートの影に身体を寄せたまま、呼吸を殺していた。

息を吸う音すら、この廊下では大きすぎる気がした。


赤い光が、壁と床を交互に染めている。

その中を、影がゆっくり横切った。


四本足。

肩の位置が、人間の腰より高い。

関節が逆に曲がっている。膝じゃない。肘でもない。

生き物の骨格として、見たことがない形だった。


透真の指先が冷たくなった。

恐怖じゃなく——いや、恐怖なのかもしれないが——身体が勝手に血を引いている。心臓は速いのに、手足だけが遠くなっていく。


影は廊下の奥に消えた。


消えた瞬間が、いちばん怖かった。

"見えている恐怖"より、"見えなくなった恐怖"の方が重い。

どこにいるか分からないものは、どこにでもいる。


透真は五秒数えた。

数えている間、自分の心臓の音を聴いた。

心臓は正直だった。怖いと言っている。


五秒が過ぎた。影は戻ってこない。


透真はゆっくりとスマホを握り直した。

画面は変わっていない。


圏外。


機内モードの切り替え。再起動。Wi-Fiの手動検索。

どれも同じだった。電波がないんじゃない。電波が届く"外"が、なくなったみたいだった。


エレベーターの操作パネルに指を伸ばす。「B2」を押す。

ボタンの感触だけが指先に返ってきた。機械が答えない。


透真は扉に耳を当てた。

三年間、毎日聴いてきたモーター音がない。ワイヤーの張りが空気に伝える低い鳴りもない。

鉄の箱が、ただの鉄の箱に戻っていた。


(全館封鎖。)


非常時に区画を閉める仕組みは知っている。火災、地震、不審者侵入。

でもあの仕組みは、階ごとに区切るものだ。

エレベーターを殺し、通信を断ち、空調まで止める封鎖なんて、マニュアルにはない。


透真は天井を見上げた。

スプリンクラーのヘッド。煙感知器。監視カメラの小さなレンズ。誘導灯。

設備は"ある"。壊れたわけじゃない。

でも全部が、静かに黙っている。

命令を待っているみたいに——ただし、その命令が、もう人間から来ていない。


透真は清掃カートの中に手を入れ、養生テープを一本抜き取った。

歯で端を噛み、指でゆっくり千切る。音を出さないように。


千切ったテープを、カートの金属フレームの金具に巻いた。

金具同士がぶつかると音が出る。カートが倒れたら、もっと出る。


この赤い静寂の中で、音は"ここにいます"という看板になる。


透真は膝を曲げ、壁に背中をつけた。冷たいコンクリートが、シャツ越しに背骨に触れる。


廊下の奥。


カツン。


爪が大理石を叩く音。


カツン。


二つ目。近い。さっきより近い。


透真は清掃カートの下段に目を落とした。

中性洗剤のボトル。残り四分の一以下。

モップの柄。ヒビが入っている。

養生テープ。あと二巻と半分。


それが、今の透真の全財産だった。


探索者なら剣がある。魔法がある。仲間がいる。

透真には、洗剤とモップとテープがある。


馬鹿みたいだった。

でも、馬鹿みたいなものしか持っていないなら、それで生き延びるしかない。


透真は安全靴の底を、そっと床に置いた。

音を消す。存在を消す。

清掃員は、もともとそれが仕事だ。


——汚れを消す。痕跡を消す。自分を消す。


今夜は、それが生き残る技術になる。


---


2


同じ頃。六十二階、最上階ラウンジ。


こちらには、まだ光があった。


夜景に負けない照明が、シャンパングラスの縁を光らせている。

テーブルの上にはオードブルの皿。半分手をつけた生ハム。霜のついたワインクーラー。

数分前まで"完璧な夜"だったものの残骸が、まだ温かいまま置かれている。


だが、笑い声は消えていた。


「……さっき、照明、揺れましたよね」


柊つぐみが言った。

声は小さかった。ここでは、大きな声は"場を壊す"。場を壊す人間は、次から呼ばれない。つぐみはそれを知っている。だから、いつも声が小さい。


御影隼人が肩をすくめた。


「気のせいだろ。ビルの電源切替なんてしょっちゅう——」


「空調も止まってます」


つぐみの声が、少しだけ強くなった。

自分でも驚いたみたいに、すぐ目を伏せた。


九条玲司がグラスをテーブルに置いた。

音は静かだった。グラスの底がテーブルに触れる、かすかなクリスタルの響き。

でも、その音の瞬間に、場の空気が全部そちらを向いた。

九条はそういう人間だ。声を上げなくても、空間を支配できる。


「星野さん」


「はい」


星野玲奈の返事は速かった。速すぎるくらい速かった。

笑顔は崩れていない。崩れないように設計された笑顔だった。

ただ、目の周りの筋肉だけが、ほんの少し硬い。


「設備担当への確認は?」


「すでに連絡を試みています。ただ……館内回線が不安定で」


「不安定」


九条はその単語を、舌の上で転がすように繰り返した。

眉が一ミリ動いた。この人の一ミリは、他人の一センチだ。


「外線は」


「繋がりません。圏外表示です」


一瞬、ラウンジの空気が変わった。

誰かが息を吸い込んだ。誰かのグラスが、指の中で回った。


圏外。

六十二階。都心のど真ん中。基地局が見えるほど近い場所で、圏外になる理由がない。


城戸マサキが鼻で笑った。


「はあ? 圏外? ありえねえだろ。電波障害か何か——」


その言葉が終わる前に、カウンター奥の大型モニターが消えた。


ニュースキャスターの顔が、ふっと闇に溶けた。

画面が一瞬だけ暗転し——次に映ったのは、砂嵐でも、エラー表示でもなかった。


赤い文字。


《LOCKDOWN》


角ばったフォントが、静かに点滅している。


城戸の笑いが凍った。


「……なんだ、これ」


御影の手が、反射的に腰に触れた。

ここは宴席だ。武器は携帯していない。

指先が空を掴み、そのことに自分で気づいた瞬間、御影の顔から"広告塔"の余裕が一枚剥がれた。


「……まずい」


御影の声が低くなった。初めて、飾りのない声だった。


九条は立ち上がった。

椅子が小さく鳴った。普段ならありえない音だ。この人が椅子を鳴らすのは、急いでいる証拠だった。


「落ち着いて。星野さん、館内放送は使えますか」


星野がイヤホンに手を当てた。

数秒。顔色が変わった。

画面に、何も映っていないのと同じ顔だった。


「……放送が、乗りません。回線自体が——」


言葉を選んでいる。

"死んでいます"と言いたいのを、別の言葉に替えようとしている。


九条は一度だけ夜景を見た。

ガラスの向こうには、いつもの東京がある。ネオン。テールランプの列。マンションの明かり。

外側は何も変わっていない。

だからこそ、内側の異常が際立つ。


あちらは動いている。こちらは止まっている。

手を振っても、ガラスの向こうには届かない。


「御影くん」


九条の声は平静だった。


「状況を確認してください。チームで下の階を——」


御影は勢いよく頷いた。通信端末を取り出した。


「了解。——くそ。これも圏外かよ」


端末を振った。子どもみたいな仕草だった。振っても電波は降ってこない。


圏外が二つ。三つ。四つ。

ラウンジにいる全員が確認して、全員が同じ結果だった。


笑い声の代わりに、呼吸音がガラスの天井の下で反響し始めた。


そのとき。


ラウンジの重い扉が、外側から叩かれた。


ドン。ドン。ドン。


「開けて……! 開けてください! 下の階が……!」


女性の声だった。泣いていた。息が切れていた。


つぐみが立ち上がりかけた。身体が先に動いていた。


「開けましょう。誰か——」


御影が腕を出して、つぐみを止めた。


「待て」


御影の目が、扉の蝶番を見ていた。

蝶番の周囲に、赤い光が滲んでいる。非常灯のせいか。それとも——。


扉の内側のロック解除ボタンに、星野が手を伸ばした。


赤く点灯。


《ACCESS DENIED》


もう一度。


《ACCESS DENIED》


三度目。


《ACCESS DENIED》


「中からも……開かない?」


星野の声が、初めて管理を外れた。


扉の向こうで、叩く音が止まった。


女性の声が止まった。


代わりに——低い音がした。


声じゃない。唸りでもない。

骨と骨が擦れるような、湿った硬い音。


それが一秒。二秒。


そして、沈黙。


ラウンジの全員が、扉を見ていた。

誰も動けなかった。

扉一枚の向こうで何が起きたか、全員が想像して、全員が想像を途中で止めた。


つぐみの目に涙が浮かんでいた。

声を出さなかった。出せなかった。

助けを求めた人の声が消えた。自分は、扉のこちら側にいる。

その事実だけが、喉に刺さっていた。


九条が短く息を吐いた。


「……全員。扉から離れなさい」


---


3


透真は、廊下の壁に沿って動いていた。


身体を低くして、壁に肩を預ける。

足音は消せない。安全靴のゴム底が大理石に触れるたび、小さな摩擦音が出る。


だから、リズムを崩す。

三歩、止まる。一歩、止まる。二歩、長く止まる。


この歩き方は、ビルのネズミ駆除で覚えた。

粘着シートを仕掛ける場所を探すとき、規則的な足音を立てるとネズミが察して逃げる。

不規則に動くと、向こうもリズムを掴めなくなって、判断が遅れる。


まさか、あの経験がこんな形で使える日が来るとは思わなかった。


角を曲がる前に、透真は養生テープを一枚千切った。

人差し指の先ほどの大きさに切って、壁の低い位置に貼る。

しゃがまないと見えない高さ。赤い光の中で、黒いテープは壁に溶ける。


自分だけの目印。

地下から最上階まで、このビルの裏動線は透真の頭に入っている。

でも、今は"普段の裏動線"が通れる保証がない。

どの道が生きていて、どの道が死んでいるか。それを確かめながら進むしかない。


非常階段の扉に手をかけた。


——動かない。


押しても引いても、びくともしない。

扉の隙間に指を入れようとした。隙間がなかった。

金属の縁と壁の間に、紙一枚入らない。


透真は指先で扉の表面をなぞった。

見た目は普通の防火扉だ。塗装のザラつき、蝶番のボルト、「非常口」の蓄光シール。

でも触ると分かる。


継ぎ目が消えている。


扉と壁が、一つの面になっている。

溶接されたわけじゃない。もともと一枚だったみたいに、滑らかに繋がっている。


透真の指先が止まった。


これは、鍵の問題じゃない。

扉が"扉であること"をやめている。


背筋を、冷たいものが一本通った。


透真は隣の設備用通路へ移動した。

ここは清掃員が日常的に使うルートだ。鍵のクセまで知っている。


扉に手をかけた。


——同じだった。


継ぎ目が消えている。鍵穴があった場所が、のっぺりとした金属面になっている。


透真は三番目の扉を試した。倉庫の搬入口。


同じ。


四番目。電気室の点検扉。


同じ。


五つの扉を試して、五つとも"壁"になっていた。


透真は壁に背中をつけて、天井を見上げた。

赤い光が、心臓のリズムで明滅しているように見える。自分の脈拍と同期しているのかもしれない。


(何が起きてる。)


分からない。

分からないが、一つだけ分かることがある。


この異常は、設備の故障じゃない。

扉は壊れたんじゃなく、"変えられた"。

何かの力で、ビルの構造そのものが書き換えられている。


透真は名前を知らない。

上の階の人間なら、この現象に名前をつけられるのかもしれない。

でも透真は、名前を知らなくても"触れば分かる"。

三年間、毎日このビルに触ってきたから。


この扉は、昨日までは扉だった。

今は壁だ。

それだけで、十分に怖い。


廊下の奥で、爪の音が止まった。


止まった方が怖い。

動いている音は"あそこにいる"と教えてくれる。

止まった音は、"どこにでもいる"に変わる。


透真はモップの柄を、カートからゆっくり抜いた。

柄のヒビが、赤い光の中で黒い線に見える。


握った。手袋越しに、木と樹脂が掌に嵌まる。


これは武器じゃない。

でも、何も持っていない手より、何かを持っている手の方が、自分を保てる。


その瞬間、天井でかすかな音がした。


カチ。


透真は目を上げた。

スプリンクラーのヘッドが、ほんの少しだけ回転した。

水は出ない。でもヘッドが動いた。


(……生きてる。)


扉は殺された。エレベーターも殺された。通信も殺された。

でもスプリンクラーは——まだ動いた。


全部が死んだわけじゃない。

設備のどこかが、まだ息をしている。


透真は壁の内線パネルに目をやった。

清掃員用の緊急コード。客用の回線とは別系統の、裏側の番号。


パネルに手を伸ばした。

ボタンを押す。


赤い点滅。


《NO SERVICE》


内線もダメか。


透真は笑いそうになった。

ここまで全部ダメだと、逆に可笑しくなる。

でも笑ったら声が出る。声が出たら位置が割れる。


だから、喉の奥で潰した。

潰した笑いは、苦い味がした。


透真はモップの柄を杖のように床に立てた。

ここまでの情報を整理する。


——エレベーター、停止。

——通信、全滅。

——扉、五つ確認、全部壁化。

——空調、停止。

——しかし、スプリンクラーのヘッドは動いた。


全部が同じように死んでいるなら、諦めがつく。

でも、"一部だけ生きている"なら——


(配電盤。)


このビルの設備はすべて、配電盤から電気をもらっている。

配電盤が生きているなら、そこから系統をたどれる。

どの設備が死んでいて、どの設備が生きているか。

それが分かれば、"使える道"が見えるかもしれない。


配電室は——中層階。地上三十階付近。

扉が壁になっている今、そこにたどり着けるかどうかは分からない。


でも。


透真はスプリンクラーのヘッドをもう一度見上げた。

小さな金属の突起が、赤い光を反射していた。


全部が敵になったわけじゃない。

設備の中に、まだ味方がいるかもしれない。


透真は清掃カートの取っ手を握り直した。


この瞬間、透真の頭の中で、「帰りたい」という言葉が形を変えた。


帰りたい。

帰るためには、出なきゃいけない。

出るためには、このビルを知らなきゃいけない。


——知ってる。

三年間、毎日触ってきた。


透真は赤い廊下に、一歩を踏み出した。


---


4


ラウンジでは、時間が歪み始めていた。


何分経ったのか分からない。腕時計は動いているのに、時間の感覚が狂っている。

恐怖は時計を壊す。一分が十分に引き伸ばされる。


九条が全員を扉から離し、ラウンジの中央に集めた。

夜景を背にして、円形のテーブルを囲む。


さっきまで祝宴の中心だったテーブルが、いま、避難所の真ん中になっている。

オードブルの皿がそのまま残っている。生ハムが乾き始めていた。


「整理します」


九条の声は静かだった。

静かすぎて、逆に不気味だった。


「通信は全滅。外線も館内回線も使えない。ドアは内側からも開かない。現在、外部との接触手段はゼロです」


城戸が拳をテーブルに叩いた。オードブルの皿が跳ねた。


「ふざけんな! なんでここが——最上階のセキュリティはどうなって——」


「城戸くん」


九条の声が、一度だけ鋭くなった。

一瞬だけ。でもそれで、城戸の声が止まった。


「叫んでも電波は戻りません」


城戸は唇を噛んだ。拳を握ったまま、座り直した。

握った拳が震えているのを、本人だけが気づいていないようだった。


御影が腕を組んで壁に寄りかかった。

冷静に見える。見えるように作っている。

でもさっきから、視線がずっとドアに戻る。


「あの扉の向こうに、さっきの人が——」


つぐみが言いかけた。


「考えるな」


御影が遮った。短すぎる声だった。


つぐみは口を閉じた。

でも目が閉じなかった。扉を見ていた。

助けを求めた声が消えた、あの扉を。


星野が端末を操作していた。指が速い。速いが、画面は変わらない。


「社内のクラウドにもアクセスできません。完全に遮断されています」


「位相封鎖だ」


九条がその単語を出した瞬間、空気が変わった。


御影が壁から背中を離した。


「……位相封鎖。マジで言ってんのか」


「モニターの表示を見ましたね。PHASE SEALED。ダンジョン発生時に空間そのものが"折り畳まれる"現象です。このビル全体が、通常の空間から切り離されている可能性が高い」


城戸の顔から血の気が引いた。


「ダンジョンって……ここがか? 本社ビルが?」


「だから人が来ないんです。外から見れば、このビルは"存在している"ように見えているかもしれない。でも中と外は繋がっていない」


九条は眼鏡のブリッジを押し上げた。

その動作が、いつもより少しだけ遅かった。


「つまり——助けが来るとすれば、外部がこの異常に気づき、ギルドがダンジョン認定を出し、攻略部隊が編成されてからになります。最短で——」


「どのくらいだ」


御影が聞いた。


九条は答えなかった。

答えなかったことが、答えだった。


つぐみが、自分のグラスを見下ろした。

シャンパンの泡は、もう消えていた。

液体が平らに静まっている。死んだ水面みたいだった。


そのとき、モニターの表示が変わった。


《LOCKDOWN》が消え、新しい文字が浮かんだ。


《PHASE SEALED — ALL FLOORS》


全階。


「……全部か」


御影の声が、初めて掠れた。


「このビルに、今どれだけの人間がいる?」


九条の問いに、星野が答えた。


「夜間残留者リストでは……清掃員が数名、警備が二名、あとは——」


星野の声が止まった。


「あとは?」


「——私たちです」


ラウンジに沈黙が落ちた。


沈黙の中で、扉の向こうから、また爪の音がした。


カツン。カツン。


今度は一つじゃない。

二つ。三つ。重なって聞こえる。

方向が違う。数が増えている。


「どうする」


城戸が誰にでもなく言った。

初めて、虚勢のない声だった。


九条は夜景を見た。

ガラスの向こうの東京は、変わらず動いている。

車が走り、信号が変わり、誰かが帰宅している。


手を伸ばしても届かない。声を出しても届かない。

同じ都市にいるのに、もう同じ世界にいない。


九条が振り返った。


「御影くん」


「……ああ」


「あなたが"片付ける"んでしたね。出たら全部片付けると、さっき」


御影は答えなかった。


九条の視線が、一瞬だけ冷たく光った。


「頼みましたよ」


その言葉は信頼ではなかった。

責任の、押し付けだった。


御影は頷いた。

拳を握った。武器のない拳を。


扉の向こうで、爪の音が止まった。


止まった後の沈黙が、最も重かった。


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