同じ画面(放送室編)
放送室は、昼休みだけ忙しい。
食事時に合わせた企画でみんなを楽しませる。
僕は、放送室の機材室の方で、いつも同じ画面を見ている。
ミキサー卓の小さなレベルメーター。
音が出れば針が揺れて、何もなければ沈黙する。
放送室内の企画の合間に音楽を挟み、進行管理をするのだ。
今日のアシスタントは、1年の岬さんだった。
放送室側から、ガラス越しに合図を送ってくる。僕はそれを見てミキサーを操作する。
今日は校長先生の日曜日の話。
いつもの変わり映えのない話。
けれど、普段はいない顧問の杉山先生が機材室で目を光らせていた。
インタビュアーの先輩が、一度話を切った。
岬さんが両手の指で丸をつくってまわす。僕はそれに合わせて軽いBGMを流し始める。
「あれは、なんだ?」
杉山先生が言った。
「音楽まわして、の合図ですよ」
僕は答えて、岬さんを見た。
指でハートマークを作ってクルクル回ってた。
「あれは?」
「…合図です」
校長先生の話が終わり、上機嫌で放送室を出て行った。
先輩も軽く手を振って出て行った。
僕と岬さんは、機材室で二人座っていた。
杉山先生が言った。
「変なジェスチャーはなしだ」
僕らは二人、頷いて、下を向いた。
岬さんはちらとこちらを向いて、舌を出して見せた。
昼休みの放送室。
岬さんのジェスチャーが1つ増えた。
いつも通り、岬さんはクルクルまわっている。
放送室には、岬さん用のジェスチャー表が用意された。




