反逆の航路と虚飾の女神
漆黒の巨大機から放たれた熱線が、カイとリアの足元の岩壁を一瞬で蒸発させた。 「嘘つき!」 リアはカイの手を振り解こうとするが、カイはその細い腕を強引に引き寄せ、ボロボロのコクピットへと押し込んだ。
「いいから黙って乗ってろ!死にたくなければな!」
ジェイ・フィフティーンが咆哮を上げ、垂直に急上昇する。背後からは帝国の最新鋭機群が、追尾式の魔導光弾を雨あられと降らせてきた。
偽りの告白
機体が激しく揺れる中、リアは叫んだ。 「あんた、帝国軍の紋章が入ったチップを持ってたじゃない!私を売って、軍に復帰するつもりだったんでしょ!」
カイは操縦桿を激しく動かしながら、苦い表情を浮かべる。 「ああ、そうだ。俺は元帝国の特務騎士だ。この機体も、奴らから盗み出したガラクタさ」
リアの瞳が絶望に染まる。「真実を映す瞳」には、カイの言葉が「真実」として映っていた。だが、次の瞬間、彼は機体の全エネルギーを「ビーム」の幻影へと注ぎ込んだ。
空一面に、数千機のジェイ・フィフティーンの幻が広がる。帝国軍のレーダーは攪乱され、敵機は虚空に向かって貴重なエネルギー兵器を無駄撃ちし始めた。
「でもな、リア。俺が帝国を裏切った理由だけは、お前の魔眼でも見抜けないぜ」
運命の急旋回
その時、通信機から冷徹な声が響いた。帝国の将軍であり、カイの元上官、そしてリアの実の兄でもあるゼノだった。
『妹よ、その男に騙されるな。そいつは「世界をリセットする鍵」を持っている。我ら一族が守り続けてきた聖遺物を盗み出した大罪人だ』
リアは目を見開いた。カイが腰のベルトに隠していた古い方位磁石のようなデバイス――それが、伝説の最終兵器を起動させる「鍵」だったのだ。
カイはリアを抱き寄せ、耳元で囁く。 「いいか、これから世界を騙す。舌を噛まないように気をつけろよ」
カイは機体を反転させ、敵の旗艦へと正面から突っ込んだ。 それは特攻ではない。自らの機体を「鏡」に変え、敵が放つ最強の破壊光線を、そのまま帝国の艦隊へと跳ね返す――物理法則を無視した、魔法的な「全反射」の機動だった。




