空の詐欺師と「碧い閃光」
雲海がどこまでも続く世界。かつての戦闘機は「翼獣」と呼ばれ、魔力と機械が融合した生命体へと姿を変えていた。
若き乗り手カイは、旧式の翼獣「ジェイ・フィフティーン」を駆る空の運び屋だ。彼の機体は、巷で噂される「一撃で巨艦を溶かすビーム兵器」など持たない、ボロボロのオンボロだった。
「カイあなた、また嘘をついたのね!あなたの翼獣からビームが出たなんて」
酒場でカイをなじるのは、街を牛耳る貴族の娘リア。彼女は「真実を映す瞳」という魔眼を持ち、嘘をつく人間を極端に嫌っていた。カイは鼻で笑い、彼女にだけ聞こえる声で囁く。
「お嬢様、嘘ってのはね、守るためにあるんだよ。……俺のビームが見たいなら、今夜、最果ての崖に来な」
リアは苛立ちながらも、彼の不敵な笑みに胸の高鳴りを覚える。それが始まりとも知らずに。
その夜、崖に現れたリアが見たのは、カイの機体が放つ「碧い輝き」だった。だが、それは敵を倒す光ではない。空に巨大な「偽の座標」を描き出す、高度な幻影だった。
「これこそが、俺がずっと隠してきた『嘘』の正体だ」
カイがその言葉を口にした瞬間、空が真っ赤に染まった。 彼方の帝国から、伝説の超兵器――本物の「ビーム」を搭載した、漆黒の巨大機が現れたのだ。
「カイ、あなた……! 帝国と繋がっていたの!?」
リアの魔眼が、カイの心に潜む「裏切りの黒」を捉えた。




