柿とサルとたぬきと
秋の気配がする頃、意地汚いサルが柿の木に登り、成ったばかりの青い渋柿に手当たり次第噛み付いて食べれるかどうか判断。
食べられない柿は一口かじったそのままを地面に投げ捨て、放置していきます。
それから一ヶ月ほど経つと、サルの唾液によって食べられない渋柿が熟成され、甘い匂いを放つ頃には食べごろになります。
一見、野生のサルによって柿の木が荒らされているように思える光景ですが、森の動物たちにとっては、貴重な甘味を得る年に1回の楽しみなイベントでもあったりします。
「…………というわけでな、サルの唾液によって熟成して、本来食べられないはずの柿もこうして美味しく食べられるんだよ」
「ふーん」
「そうなんだー」
「熟成した柿うまー」
「なんだよおまえら。せっかくオレが人間の里で調べてきた情報だってのに」
「すごいねー」
「えらいねー」
「柿うまー」
「そうだろうそうだろう」
「食べないのー?」
「食べなよー」
「うまー」
「食うよ。……ったく、お前らは食いもののことばっかだよな」
「あ、イノシシだー」
「こっちくるねー」
「柿うまー」
「やっべ、早く食わないと全部食われちまう」
「だから言ったのにー」
「早く食べなよー」
「うまー」
「お前ら、持てるだけもって先にいけ!」
「もちろーん」
「そりゃーもう」
「うまー」
「がつがつっ。……げ、クマも来やがった!?」
「にげろー」
「おたすけー」
「……クソが……。後で必ず食いものの恨みを思い知らせてやる……。呪ってやるからなクマ公……」
「怖えよおいっ。いいからさっさといくぞっ!」
『ぐははっ。うまそうなニオイに誘われて来れば、柿が食べごろじゃねえか。まるまる太ったイノシシもいやがるし、今日はいい日だぜ……くくっ』
クマはこのあと、食い意地の張ったタヌキの密告により、猟友会のハンターさんに「ターンッ」されましたとさ。
南無三。