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#017 稲妻と北斎と僕

はてさて…


今回の亀組の日常は…

 徹子の部屋で、ダチョウ倶楽部の方々が緊張しながらも女帝黒柳と戦っている頃に、急に雲行きが怪しくなってきていた。


 ゴロゴロ・・・


 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


「かみなりこわぁ~い!」


「ひかった~?ひかったの~?」


 まだ稲妻は目視できないが、遠くの雷鳴とともに確実にどす黒い雨雲が接近していた。


 ゴロゴロゴロゴロ・・・・


 大目付権田佐平冶が、出しっぱなしの遊具を急いで片付けている。ヒスパニックも廊下の窓を閉め始めている。そういえば部屋の窓にポツポツと雨があたり始めている。


 みんな窓に一列になって外を眺めている。タナチョウ、丈志、レイチェルに北斎、ベム小林に助教授、八百三にシャックである。


 ゴロゴロ・・・ゴロゴロ・・・


「ねえ、ひかりみえた~?」


「まだみえないよ~!」


「あれっ!いまひからなかった~?」

「ひかってないよ~!」


「・・・ほらっ!ひかったよ~!」


「・・・・・・」


「あっ!」「あっ!?」「・・・」


ピカッ!・・・・ゴロゴロゴロゴロ・・・・


「まだとおいね~!ひかってからすぐに、おとしなかったもん!」


 タナチョウが雷鳴と同時にみんなに伝えていた時、部屋の中では世界遺産が必死にオヘソを隠していた。みんなのお昼ね用のタオルケットを重ねに重ね、小さなカマクラのようにして完全な防御体制を構築していた。


「しんしん、どうしたの~?」


 レイチェルがそんな世界遺産に気がついて声をかけてきた。


「おへそをとられちゃうんだよ~!」


「だいじょぶだよ~!」


「だって、おへそがとられちゃうんだよ~!」


「とられないよ~!しんしん!」


「・・・・」


ピカッ!・・ゴロゴロゴロゴロ・・・


「かくれろ~!?」


 世界遺産のあまりの声に導かれるようにレイチェルもそのタオルの山に入山していった。


「ちかくなってきたな~」


 少し不安な表情をしながらも、わくわくしながらみんな一心に空の雲を見つめていた。


 いつの間にか思春期一・二号もしっかり手をつなぎながら窓にかじりついていた。


 レイチェルが世界遺産の山に修行に入ってしまった後、北斎は一人で空を見ていた。僕は無意識にレイチェルのいた場所に立ち、同じように懸命に稲妻を待っていた。

 ピカッ!・ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ・・・・


「あっ!・・・・」


「いま、ひかりがみえた~!」


「いなずまだ~!」


「ほんと~?ほんと~?」


「うん、みえたみえた~!」

「むねのりくん、みえた~?」


「ううん、みえなかった~。瑞希ちゃんはみえた~?」


「うん・・・ちょっと」


「ほんと~?」


「あっ!」「アッ!」


ピッカ~! ド~ン! ゴロゴロゴロ・・・


「すっげ~!」「こわ~い!」「・・・・」


 初めてはっきりと肉眼で稲妻というものを目撃してしまって、僕は全く動けなくなってしまった。もちろんテレビや写真では何度も観たことはあったが、本物を目の前で見るという事がこれほどのものであるとは、僕の予想の範疇をはるかに超越してしまっていた。


 そして、それと同じように僕自身が衝撃的な事態に巻き込まれているという事に気がついてしまった・・・僕は北斎と手をつないでいたのである。目を閉じながら稲妻の恐ろしさに打ちのめされている北斎は、僕の手をしっかりとにぎっていた。


ピッカ~!ドッカ~ン! ピカッ!ドッカァ~ン!


 稲妻と雷鳴がほぼ同時になってきた時、僕の心臓もドキドキし始めていた。

次の


エピソードに続きます

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