#016 家元と竹中
はてさて…
今回の亀組の日常は…
シャックの洪水もおさまる頃には、みんなで昼食をとり始めていた。本日は通常営業であるので、教室の中である。しかし、机ではなく床にゴザしき、みんなで遠足気分である。
「はぁい、では、みなさん。いいですかぁ~?」
「はぁぁぁぁ~いぃっ!」
「いただきまぁすっ!」
「いたぁだぁき~まぁっすっぅ!」
「・・・・エイメン・・・・・・」
「ヘックshit ! ヘックshit ! 」
何度、どう聞いてもこう聞こえてしまう。
「・・へっ へっ ヘックshit ! shit ! 」
このニューヨーク・スラム街の空気満載な生理現象を繰り返すのは、亀組の和心である「 家元 」こと今川景子であった。実際の家柄も、由緒あるものであり、母今川弓子は活花の先生であった。
隣に座っていた宮川麻耶が心配そうに顔を向けていた。
「だいじょうぶ~?けいこちゃん~?」
「うん!だいじょうぶ~! Shit ! 」
「かぜ~?」
「ううん、はながよわいの~!アレルジ~」
「アレルギ~だよ・・・」
突然反対側に座していた竹中が訂正してきた。相変わらず言葉は少ないが、それは暖かく優しいものだった。
「そうそうアレルギ~!」
「はい・・・・」
そう言うと竹中は純白のハンカチーフを家元に手渡した。
「ありがと~!」
「・・・・・」
ただ笑顔だけで返している竹中は二つ目のお稲荷さんを口に入れていた。
「もうだいじょうぶ~?」
「うん!」
「・・・・・・」
窓の外にはいつもと変わらない景色があった。それを見つめる竹中の瞳にはいつもより、暖かさと輝きがあった。
次の
エピソードに続きます




