第1話 アリスの不思議
[ある日ある時、私の世界は狂った。それは透明で何事にもかえがたい何かだ。]
「お嬢さん、もうチップがないですよ。」
「あぁ?じゃあ、おじさんに私の大切な『アレ』あげようかな?」
ポーカーボードを挟んで対面しているのは、12歳ほどに見える少女とスキンヘッドのおじさん(店主)であった。
「いや、お嬢さん酔ってるじゃないですか。」
「いいのいいの、私はこれで」
グラスに残ったぶどうジュースを飲み干しながら言う少女の名は、アリス。地下カジノで遊んでいる途中のようだ。
「お嬢様、飲みすぎは体に毒ですよ。」
倒れていく彼女を支える黒スーツの青髪少年は、ケイ。付添人だ。
「帰りますよ。」
そう帰ろうとする2人の前に立ちはだかった3人の男がいた。
「おお!お前が黒野アリスだな。」
「何ですか、あなた方は」
ため息をつきながらケイは答える。
「今日は利息の返済日だ。忘れちゃあいないよな。」
「…。」
ふらつきながらアリスは震える指で男たちに指をさして言った。
「だったらぁ、私と勝負をしてぇ、そっちが買ったら私が○○奴隷でどおよぉ。」
「はぁ、お嬢様ったら…」
そうして、ポーカー勝負は始まった。