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拾った女の子は常識知らず  作者: 上鍵心之輔
8/12

不転校生

「やっと学校」私は張り切っていた。だが、ある問題が起こった。「その体で行くの?誰一人ヒカルが誰なのか知らないよ」姉はぼそりとつぶやいた。

「いや、その原因はお前だろうが!」思いっきりうなってやった。「そ、それは~…」彼女はそのままササっとその場を去った。

「とりあえずお母さんに頼んで休みにしてもらうか」だが、お母さんはそれを拒否した。「ダメです、学校はちゃんといかなくちゃ」

そしてにやりと笑った。お母さんがこんな風に笑うというのは何か嫌なことをする時しかない。

「もうお父さんには話を通してあるわ。新しい転校生として入ることになったの。私が少しの間預かるということにして。」

私はため息をついた。「でも戻ったらどうするの?しかもその時まで男性姿の僕はどうしろっていうの」お母さんはついに悪魔のような笑みを浮かべた。

「それなら大丈夫、少しの間だけ預かるし、突然その場から消えるかもしれないという風に学校では通してある。男子姿のヒカルはちょっとおばあちゃんちにいるとしておいた。おばあちゃんにも話は通してあるわ」

お母さんはこういう時、やばいことも考えるが、意外と努力家だった。それだけは私が保証しよう。

というかお父さんはまじで気軽だな。まあお母さんの頼み事だからだろうね お父さんはお母さんのことが大好きだ。だからお母さんが頼むとほぼ何でもしてくれる。「お母さんもお父さんを頼りすぎ」姉は遠くにあるふすまから顔を少し出してつぶやいた。

「まあこれでいいのか。でもノートとかは…」「あります♪」お母さんはノートを数冊取り出してきた。新品だ。「なんでも準備が早いね」素早く突っ込みを入れたが、ノートを受け取りランドセルに入れた。

いい予感が全くしないよ… 私は心の中で深いため息をついてから黄色の帽子をかぶり、ホノカと一緒に学校へ向かった。「そういえば名前は田村(たむら)美咲(みさき)よ!」

「おお、来た来た」門ではお父さん(校長先生)が立っていた。「お母さんから聞いたよ、あのやつ…性別を入れ替える薬まで作ったとは…まあそのことは秘密にしておく、張り切って転校生のふりをしな」私はうなずき、門から中へと入っていった。


「君が新しい転校生ですか」私の担任が私を見た。「は、はい」先生から見ると転校してきて緊張しているように見えているだろうが、実際では全く違う意味で緊張している。見つからないと心配しているといったほうが正解だろう。

「僕は君の担任の先生です。よろしくお願いします。それじゃあ教室まで案内しましょうか」だが、私は深く首を振った。

「ちょっとトイレに行ってきます!」そのまま職員室を飛び出してトイレに入った。「いったいどうやってトイレの場所を知っていたのだろうか…」

私が一番心配していたことは本名がヒカルだということに気が付かれないかということだった。この先生は優しい。だが、賢いし感も鋭い。様々な嘘を見破ってきた。

だから私は警戒しないといけない。私の秘密が見つからないように。私はそのまま外に出ると、あることに気が付いた。「ここ、男子トイレだった…」


「えー、静かに、新しい転校生を紹介します」先生は私のほうを向いてきた。

私はおろおろとは言った。私を見てマリナはため目を丸くした。「しーッ」私は彼女を黙らせると話した。

田村(たむら)美咲(みさき)です。よろしくお願いします」私が頭を下げると、マリナが「プッ」と噴出した。

だが、ほかのクラスメイトは全く違う反応をした。「ウォー、美少女の転校生が来たー」と、騒ぎ出した。

私は赤くなってそっぽを向いた。そんな私をじろじろとある人物が見ていた。「マリナ…絶対後で懲らしめてや…」

私がじろりと彼女を見ると、何事もなかったかのように口笛を吹き始めた。完全に下手だが。「それじゃあとりあえずヒカルの席に座りなさい」

私は自分…じゃなくてヒカルの席に座ると、懐かしく感じた。もう何日も座っていなかった気がする。

「お兄ちゃん」ホノカは小さな声で呼びかけてきた。「どうした…の?」私は言葉を選びながら答えた。

「一緒にいていいですか?」彼女は心配そうに聞いてきた。「どういうこと?」彼女は手を開き、眺めた。

「人が変わったからかかわらないほうがいい気がして…」本当なら簡単に「今の間はかかわらないで」ということが正しかったかもしれないが、つい彼女の表情に負けて「いいよ」と言ってしまった。

「わかりました」彼女は笑顔を見せ、くっついてきた。「ここまでくっつくとは言っていなかったんだけど」すると、学校が始まったにもかかわらず、教室が大騒ぎになった。

「どこから来たんだ?」とか「なんでホノカはなついてるんだ?」などと、整理できないほど質問をぶつけられた。

私は頭は真っ白になり、今にも倒れそうになった。ホノカが少しの支えに放った。

「はいはい、タムラさんが困っているだろう、静かにせい」担任の先生じゃない、もっと聞いたことのある声が聞こえてきた。

「校長先生!なぜここに」担任先生は驚いていた。無理もない。授業中、お父さん・校長先生は一切現れないからだ。生徒の中では校長先生が何をしているのかを知る者はいない。

私以外は。私はお父さんから聞いている。どうやら学校の間、ずっと資料を整理しているようだ。学校内ではいろいろとうわさが流れている。

その中には酒を飲みに行っているのではないかといううわさが流れたが、校長先生は校長室に入ると出てこないし校長室の中には酒がないのでその噂はすぐに収まった。

だが、一つの噂だけがずっと生き続けていた。それは、ずっとゴロゴロとしているのではないかというのだ。学校中、誰一人無言で校長室に入ることができない。いつもノックして、校長先生から許可をもらわないといけない。だから、誰一人実際のことを知らないのだ。僕でもお父さんから聞いただけで本当に見たわけではない。だから、僕はお父さんを信じることにしている。


「それはこのクラスから騒ぎ声が聞こえてくるからに決まっているでしょう、いったい何だというのですか」校長先生・お父さんは意外と顔の形がいい。女子生徒から人気者だ。彼自身はそのことに全く気が付いていないが。

だが、騒ぎは続いた。校長先生の声は生徒たちの騒ぎ声でかき消されているのだ。

するとそこへ大きな声が通り過ぎた。「静かにしなさい!」そこへ大きな声が通り過ぎた。それは学級委員長の山崎(やまざき)怜美(れみ)だった。とてもしっかりしていて、校長先生や教師からしては学級委員長を任せるのにぴったりだ。だが、生徒たちからしては少しいろいろと厳しすぎるといわれている。

「このクラスはここまでうるさいのですか?」彼女は目の端を釣り上げていた。どうやらうるさすぎたようだ。「別にいいじゃないか」一人の男子が口を出した。「よくありません!授業中ですよ。しかも校長先生が困っているではないですか」確かに校長先生が何を話してもクラスの声でかき消されていた。だが、私は知っている。お父さん・校長先生は元気な生徒がスキだということを。だから、話をさえぎられても元気な子供たちを見るとどちらかと嬉しそうにしている。そのことを彼女は知らないようだ。だが、校長先生は自分のポリシーを守ろうとしているのか、何も言わなかった。少し偽物のしっかり(がお)を作っていた。

そのことに気が付いていない生徒たちはとぼとぼと自分の席に戻っていった。「それでは出席をとります」先生は慌てて前に出ていき、出席を取り出した。気が付くと学級委員長が立ち去っていた。

校長先生も多分校長室に戻っていった。

「美咲さん」私はホノカをどうしようかと考えていた。「美咲さん」このままほおっておけばおけばいろいろと噂をされるかもしれないし…「美咲さん!」

私は思わず飛び上がりそうになった。「はい!」思わず飛び上がらなかったが、思わず高い声で返事をしてしまった。またもやマリナが噴出した。「あいつは絶対ただじゃ済まないようにしてやる…」私はぼそりとつぶやいてから前を見た。

「まあ、それは保留といことにしておくか」私はホノカのことを気にせずに前を見つづけた。できるだけ本当の転校生として過ごしたかったからだ。

だが、どんなに頑張っても見つかるときには見つかるものだった。私は先生にトイレへ行きたいと聞いた。一応許可してくれたが、本当なら許可してくれない。まだ先生は私が光るだとはわかっていないということだ。

今度はちゃんと女子のトイレへ入っていった。すると、そこにはもう一人知らない生徒がいた。「誰?」思わず声を出してしまった。髪は金髪で日本人とは思えなかった。「My name is Shua」彼女は英語で話し出した。

私は英語が不得意なので彼女が言っていることがほとんどわからなかった。「Who are you?」彼女は何かを聞いているようだが、私にはわからなかった。すると、ホノカが話し出した。「His... I mean her name is misaki Tamura.」彼女は急に英語を話しだした。いったいどこで覚えたのかはわからない。だが、分かることは一つだけある。今、彼女の表情が変わった。日本人には思えないような話し方、目の見た目、いろいろなところが変わっていた。まるで大人に変わったかのようだ。

それと、もう一つわかることがある。それは私は2人の話していることがほとんどわからないということだ。ちょうどそこへ一人の男の子が歩いてきた。彼も金髪で多分海外の人だろう。

「Finally, I found you. Sorry for interrupting your time. He should be in class. He just ran off. I will be taking him.」「It's ok.」金髪の少女は少年に引きずられていった。「He-lp!」だが、私は何を言っているのかわからなかったので助けることはなかった。

「いったい何を言ってたのだろうか」私が首をかしげるとホノカが翻訳してくれた。「助けを呼んでいました。助けてと」私は少し違う理由で驚いた。「いったいどこで英語を覚えたの」彼女は首をかしげた。「エイゴ…?それは何ですか?」彼女はまるで自分が英語を話していなかったかのように話していた。「外国にある言語よ。もしかして英語がわからないの?それならHelloが何かわかる?」

彼女は首を振った。「ハローとは何ですか?聞いたことがない言葉ですが」彼女はさっき、別人になっていたのかもしれない。もしもそれが本当なら彼女は普通の人間とは異なるかもしれない。

「さっきトイレで起こったことは覚えてる?」彼女は首を振った。「そうか…」考えたが、やはりあの時に見た一瞬の出来事が何かのヒントなのかもしれない。考えることができるのはただ一つ、そしてその一つはとても非科学的なことだ。

彼女は死んでも心の底に記憶を残している。

これは非科学的なことだが、私はそれしか名と思った。そしてもう一つある。こっちは非科学的でもないかもしれない。

死ぬと生まれ変わる。

生まれ変われば何になるかはわからない。同じ人間になるかもしれないし、違う生き物になるのかもしれない。もしも違う生き物になるとしたら彼女はずっと運よく人間のままでいることができたということだ。それとも神に許され、一生人間として生きることができるようになった人間なのかもしれない。

何もわからないが、普通の人間とは違う。もしもそうなら秘密にしなければいけない。後で面倒なことになったら大変だ。

私は教室に戻ると誰もいなかった。黒板を見ると、英語の従業だった。普通なら教室でやるが、今回だけは英語室でやるようだ。私は慌てて英語の筆記用具を持ち、廊下を駆け出して行った。

どうやら今日は運が良かったようだ。先生も少し遅れていて、私のほうが先についた。なので遅れたことにはならなかった。

私はほっとした。だが、ホノカは授業が全く分かっていなかった。私もできるだけ静かにしていた。まだ私が習ったことなのでぎりぎりわかった。

だが、私はそのことを話すのはやめておいた。この学校にいる先生はたいていとてもしっかりしていて、しっかりしていないと言ったら最低クラスでお父さん・校長先生だろう。彼もしっかりはしているが、この学校は教師がしっかりしすぎているだけだ。

できるだけ転校生のようにしていたが、授業では一つだけばれそうになったのがある。理科の先生だ。

「君は見たことがある」理科の先生はこの学校内で一番目を光らせ、賢いといわれている。校長先生以上だ。「そんなことないですよ」私は少し焦った。これは予想していたが、こんな早くに見つかるとは思わなかった。

「いいや、偶然とは言い切れない。いったいなぜヒカルが消えたとたんに君が現れたのか、しかも君はヒカルの家に住んでいるとか。しかもホノカも同じだ。今まで義務教育がありながらなぜ学校に行かなかったのか」私は思わず口を開いてしまった。「それは…」理科の先生はその小さなことでも聞き逃さない、見逃さない。「ほら、この質問に無関係の君がなぜ答える。答えるのは彼女ではなのか」理科の先生はまるで名探偵だ。私は黙り、うつむいた。「君はヒカル、間違っているか?どうせあのバカが何か発明してそれを君に使い、性別が変わったのだろう。君とヒカルは見た目が似ている。顔つき、身長、靴も同じ靴を履いている」バカというのは多分姉のことだろう。彼女は昔この学校にいた。そしてその時、この先生もいた。どうやら賢いが、馬鹿にも見えていたようで、この先生にはバカと呼ばれていたようだ。私は白状するしかなかった。もう彼には隠すことができない。

「はい、私は確かにヒカルの性別が入れ替わった者です。」私は白状するしかなかった。もう彼には隠すことができない。

彼はため息をついた。「それで、直し方はあるのか?治し方はあるのか?」私は首を振った。だが、彼はもう知っていたかのようにまたため息をついた。

「少しついてこい」彼は理科室に連れていった。「?」だが、質問をする前に彼は奥へと進んだ。すると、机に手を置いた。「これは普通秘密なのだが…」

彼が手を動かすと机の表面がずれた。「!」こんなものは見たことがなかった。「あれはもう見ました」殺気から静かにしていたホノカがぼそりとつぶやいた。

理科の先生も驚いていた。「いったいどこで見た?」彼はホノカを厳しそうな優しそうな目で見た。だが、ホノカは引き下がらなかった。意外だ。「昼休み、お兄ちゃんが通りかかったときに先生が動かしているのを見ました」

やれやれとホノカを眺める目で見た。「隠していたのだがね、もう見つかっているとは…これは校長先生だけが知る秘密なのだよ」「それならなんで先生が知っているのですか?」とっさにホノカが訊いた。

「どういうことだ?」疑問のように聞いていたが、顔を見れば顔色が変わったのがわかった。「今、()()()()()()が知っていると言いましたよね。それならなぜ、先生が知っているのですか?」先生は少し目をそむけた。「それはただの言い間違いだ」だが、ホノカは攻め続けた。

「もしも間違いなのなら先生が間違えるはずありません。昔は国語の先生をしていましたよね」すると、先生は目を丸くした。「なぜそれを知っている」私は話についていくことができなかった。

私は2人を交互に見た。話についていくことができない。「え?理科の先生じゃなくて国語の先生?」そのあとに先生は白状した。

「ああ、確かに昔は国語を教えていた。だが理科に変えたのだよ、理由は…」すると、またホノカが口を出した。「理由は理科のほうが好きだったから、でしょ」

また彼の目は丸くなった。ホノカを見ると目が細くなっていた。だが、それより驚いたのは先生の口から出てきた一言だった。「おばあ…ちゃん?」私は首が漏れるかと思ったほど2人を交互に見た。

全く意味が分からない。「おばあちゃん…」すると、地面に崩れ落ちた。ホノカはすぐに駆け出して行った。「先生、先生!」私は慌てて駆け寄り呼び掛けたが返事がなかった。

首筋に手を当ててみるとまだ意識はあった。死んではいないということだけでも知っておけば楽になった気がした。だが、分からなかったのはなぜホノカが駆け出して行ったのかだ。


少しすると救急車の音がした。意味が分かった。彼女が読んだのだ。彼女は救急車の呼び方など知っているはずがない。119という救急車の電話番号なんて知っているはずがない。

だが、もしも前に考えた考えがあっているとすれば説明がつく。彼女は普通の人間と違う。普通の人間が過去の記憶を知らない人だといえば彼女は知っている。彼女の過去を。

魂の中に書いてあるのだろう。


結果、彼は突然のイベントに驚き気絶しただけだった。特に大きな出来事ではない。彼の意識が戻ると普通に元気だった。

彼はそのまま学校に戻り、ホノカのことは完全に忘れていた。私がヒカルだということも隠しているのか本当に忘れているのかわからないが全く話さなくなった。

それから数日が立った。私の体はまだ元に戻らない。最近では女子と話したり男子と腕相撲をしたりしていた。だが、男子よりも強いマリナには勝つことができなかった。

マリナの外面はあほに見えるが、実際は優秀だ。外面からはめちゃくちゃあほに見えるが。彼女はそのことを外に漏らさない。だが幼馴染の私は知っている。

彼女は運動面では普通に優秀だと皆が認める。だが、テストであこっそりと毎回100点をとっている。先生にも事情を話しているのか何かは知らないが先生もその優秀さを口にはしない。

だが、彼女が下手なのは一つだけある。音楽だ。彼女は普通に話す声のほうが歌声よりも聞こえ方がいい。彼女の歌声はまるで壊れたレコーダーのようだ。なので彼女は土曜日に個人レッスンを受けている。彼女は面倒だと唸っていたが、私たちクラスメイトからすればほっとする。

彼女は天才差では表現のできないことを身に着けている。有名さだ。このクラスでは一番有名といってもいい。明るいし活発的だ。このクラスで女子にも男子にも人気だ。

恋バナはいろいろと知っているし男子とは腕相撲や指相撲などで遊びまくっている。

全く活発的じゃない生徒にも話しかける。たいてい昼休みには屋上にいる。そこは昼休みのみ行くことが感応で安全のためフェンスが周りを囲んでいる。

そこに行くと彼女は一人の生徒と話っている。彼女の名は思い出すことができない。クラスメイトなのに。だが、少年だということは知っている。

私もヒカルだったころ、ついていったことがある。その少年は穏やかだった。私は友達になりたいと思ったほどだ。どうやら趣味は絵を描くことらしい。毎日屋上で景色の絵をかいていた。

絵を見せてもらうと鏡に移る景色のようだった。一瞬時間が止まったかのように思った。その絵はきれいだ。空も細かく塗ってある。色の選び方が創造にもつかない。空に飛んでいるかカラスだって書かれている。

他のも見せてもらった。すると、マリナの絵があった。それはほぼ写真のようだった。そしてそこにはホノカが書いてあった。だが、そのことはまだホノカを知らない。だからン全に忘れていた。

今考えてみればまたあの少年に会いたいと思った。いつも屋上に座っている。それは知っている。だが、今の状態で話しかけたら少し動揺されると思った。

だが、結果は試さないと分からない、なので私はホノカを連れて屋上に行った。いつものように少年は座っているはずだ。名前はまだ思い出せない。

1歩1歩前に進むと音が頭の中で鳴り響く。ホノカは少年を知らない。そう思う。僕は屋上へのドアを開けて外に出た。

思った通り少年は壁にもたれかかって絵をかいていた。そこにはマリナも座っている。最低な状況だ。だが、その時、予想外のことが凝った。

「お兄ちゃん…」ホノカが駆け出して行った。僕は驚いた。お兄ちゃん?兄?彼が?ほっとしたような悲しいような複雑な気持ちが心の中を横切る。

私は立ち止った。その時心の中で一つの予感が渦巻いていた。

ホノカとはここでお別れじゃないのかと。


「お兄ちゃん」彼も驚いていた。私は意味が分からない。「どういうこと…」固まっていると少年は紹介した。「僕の名前は…」すると、彼はほのかを見た。「やっぱり何でもないよ」

そして彼はほのかの方向へ向いた。「なんできた」その一言はとても冷たかった。うれしい再会という言葉ではなかった。「だって…」ホノカは黙り込んだ。「お前にはもう会わないかと思っていたよ」その言葉には耐えられなかった。「ちょっと!」まともに見てみると彼は男子だったころの私と似ていた。「ん?」彼は私を見てくる。「見たことない顔だねど…転校生か?いや、君、ヒカルだろ」彼は一瞬で当ててしまった。「なんでわかるの」彼はただ絵を描く静かな少年には思えなくなってしまった。だんだんこの世界では何が本当なのかわからなくなってきている。「君、ヒカルは僕と似ていた。僕は自分を何度も見たことがある。今までの人生子の顔を見続けた。君の今の顔と見比べるととても似ているからね。簡単なことさ」確かに簡単なことだった。確かに鏡で見た時、私がただ女子になっただけだと思った。だが、見てから一瞬で見つけることができるかは話が別だ。それから沈黙が少しの間続いた。

「君はなぜここにいる」彼の目つきは全く優しく思えなかった。とても鋭い目だ。「それは…」そのまま固まった。これには答えていいのかわからない。

「帆の話はいいとして、お前がここに来たということは知っていたのか?」そこまで聞くとどういう意味なのかは分かった。私は大きく首を振った。そこで彼は話をそらした。「それで、ホノカはいったい何の用があるんだ?」ホノカのほうを見る。彼女は口を開いたが声を出さなかった。ホノカと荘園は何かを話していたが聞き取れなかった。

最後にホノカが首を振るとこそこそ話は終わった。「わかった」彼は一言で終わらすとその場を去った。

それからはもうあの少年を見ることはなかった。

「いったい何を話してたの?」私はほのかに駆け寄った。彼女は何も言わずに飛び込んできた。その時、いったい何が起こったのかが分かった。なんでかはわからない。まるで記憶が流れてくるかのようだ。私は彼女の頭をやさしくなでた。「ごめんね」その一言しか出てこなかった。


教室に戻るとそのことを忘れようと思った。帰り途中にもあの少年は見なかった。もう教室に戻ったのかもしれない。

学校が終わると家に帰った。宿題はなかった。運がいい。今日は様々なことで頭が疲れた。ベッドに入ると寝てしまった。目を閉じる一瞬、何かが見えた気がした。だが、そんなことを考える前に寝込んでしまった。

夢の中では一人の女性を見た。だが、着物を着ていてとても昔の人に見える。その顔はほのかに似ている。原っぱに立っていた。髪の形が変わっていたがホノカで間違いないだろう。

その女性は空を見上げている。手を合わせ、何かを願っているように見える。すると、彼女は私のほうを見てきた。「ねえ」そこで記憶は途切れた。

起きると体に変化があった。長い髪は見当たらない。横にはホノカが寝込んでいた。ホノカに異変はない。今のままが一番だと私は思う。

鏡のところまで行くと変化が分かった。本当に、分かった。「あ」

私は男子に戻っていた。

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