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消えた幼馴染① 〜ブレイクside〜



「俺、将来必ずこの街に戻るから、その時お互い一人だったら結婚しよう」



別れる時、どんなに細い糸であったとしても繋がりを断ちたくなくて、俺は彼女にそう言った。


もの心ついた頃には既にいつも近くにいた女の子、それがアイシャだった。


これからもこの小さくもなければ大きくもない地方の街で、一緒に生きていくのだと思っていたのに。


俺が王都へ移り住む事により呆気なく離れ離れとなってしまった。


それでもこれで終わりにしたくなくて、そんな約束を彼女と結んだ。


今思えば、子ども同士の口約束。

でも俺にとっては彼女との繋がりを表す、大切な(よすが)だったんだ。


王都へ移り住んでからは只々、日々が目紛(めまぐる)しく過ぎてゆき、いつしか魔術学園へ通う年となった。


中量魔力保持者の俺が成績上位者の名簿に名を連ねる為には並々ならぬ努力が必要だった。


だがいずれは父のように王宮魔術師団ではなく、魔法省勤務を望んでいた俺はどうしても上位十名の中に入り、卒業しなくてはならない。


その為に形振り構わず必死で勉強した。


なぜ魔法省に拘るのかというと……アイシャが住む街に戻るには魔法省の職員となるのが一番理想的だったからだ。


あの街には魔法省の地方局がある。

別れる時にした約束はプロポーズだ。

街に戻るならばすぐにでもアイシャを養っていける給料と社会的にしっかりとした職に就いていたい。


ならば魔法省一択。

国家公務員で社会的信用もあり、尚且つ給料がいい。


そしてどうせなら高官となり、ある程度勤務地や希望する部署に配属され易い立場でいる方が都合がいいと思った。


せっかくアイシャのいる街に戻って、数年してすぐまた別の地方局に飛ばされては堪ったものではない。


だから新卒採用と同時に高官候補となれる魔術学園の成績上位者で居続けなければならなかったのだ。


だけどある時から、アイシャからの手紙の数が減った。

以前はお互い二週間に一度はやり取りをしていたのに、

三週間に一度となり、ひと月に一度となり、二ヶ月ぶりに手紙が来たと思ったら、その後ぷっつりと来なくなった。


届かなくなる前の手紙の内容も何だかおかしかった。

俺の勉強が忙しくて大変なのは分かるが体にだけは気をつけて欲しいだとか、

忙しいのに手紙を出して迷惑なのだろうかと心配していたり、とにかく俺に対する気遣いだけが目立つ内容になっていった。


そんな手紙が届く度に、アイシャからの手紙が活力になるから心配要らないだとか、なんなら手紙のやり取りは毎日でもいいくらいだとか、とにかく遠慮する必要はない事を書いて書いて書きまくって投函していた。


それなのにある日突然、アイシャからの手紙が届かなくなった。



…………これは……振られたのか……?


やはり物理的距離と心の距離は比例するのか……?


考えたくない、答えを出したくはなかった。


手紙が来なくなった事が如実に証明されているのに、

それでも俺はアイシャ自身の口から拒絶の言葉を聞くまでは諦めたくなかった。


とにかく卒業して魔法省に入省して、かならずあの街に戻ろう。


いやでもとりあえず勉強の合間にバイトして金を貯めて一度あの街に戻りアイシャに会おう。


と、決意した矢先に、



親父が死んだ。



第二王子の地方巡察に護衛として随行中に運悪く重量級の魔獣と出会(でくわ)した。

その戦闘中に負った怪我が原因だ。


任務中の殉職、という奴だった。



親父が遺してくれた蓄えはそれほど多くはなく、それと魔術師団から支払われた遺族給付金だけでは魔術学園を卒業する事は出来ないと判明した。


本来ならばアイシャに会いに行くために始めたバイトが、とにかく生活するため、学園を卒業するために働かなくてはならなくなった。


世に言う苦学生、というヤツになったわけだ。


それでも生来頑丈に生まれついたお陰で、

通常の授業プラス膨大な課題と、

それを終えた後のバイトの掛け持ちで一日の睡眠時間が三時間でも病気一つせずに頑張れた。


卒業試験も上位十名の中に入り、希望した通り高官候補として魔法省に入省する事も出来た。


よし、これからとにかく配属された法務局で実績を上げて勤務先を好きに選べる肩書きを手に入れてみせる。

そしてあの街に帰り、アイシャに会うんだ。


アイシャからの返信は来なくても、俺はずっとアイシャに手紙を出し続けていた。

迷惑になり過ぎないよう、二ヶ月に一度の頻度で。

手紙だけが唯一の繋がりだったから。

一方通行ではあったけど。


送り返されない事を思うと、手紙を受け取ってくれている筈だ。


とにかくアイシャに会いたい。

会って、アイシャの口から聞きたい、俺と生涯を共にする気があるのかどうか。


我ながら諦めが悪いとは思う。

だけど、どうしても彼女を諦める事なんて出来ない。

離れているからこそ余計に、アイシャへの想いは大きくなっていた。



そんな事を思っている時、俺の人生の中で二度目の青天の霹靂が起きた。


一度目は親父が死んだ時、


そして二度目は………



三歳年上の、異母姉が死にかけているから救って欲しいとの連絡を受けた時だった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




なんてこったい!その②に続くとなっ!?


Σ('◉⌓◉’)マジデ⁉︎ _:(´ཀ`」 ∠):ゴメンチャイ…


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― 新着の感想 ―
[一言] いたのか?!異母姉! 私が読み忘れたのかなぁ?
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