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あの約束を覚えていますか  作者: キムラましゅろう


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歓迎会



ブレイク=ワード情報部次長が目立ち過ぎて霞んでしまって気の毒だが、

他にも本省から赴任や出向して来ている職員がいる。


我が経理部にも新しく主任待遇で外部から計算魔道具の指導に出向して来た人が居るのだ。


経理部の隣にテリトリーを構える総務部にも新規採用で入省した人や本省から流れて来た人が数名いて、それならば合同で歓迎会をしようかという話になったらしい。

……双方の部長同士で。(この二人、じつは夫婦である)


その歓迎会に出席の可否を歓迎会の幹事の一人でもある情報通のアルマ先輩に確認された時に、同時に訊ねられた。



「アイシャちゃん。歓迎会に出席は良しとして、貴女当日は何を着るつもり?」


「え?適当に他所行きのワンピースを見繕う気でいましたが……?」


私がそう答えると、先輩はバン!と手に持っていた出欠表のボードで私のデスクを叩いた。


「何を言っているのっ!妙齢の若い子がっ!せっかく他部署とも交流が図れるんだから結婚相手を見つける為にオシャレしなくてどうするのっ!」


「いや私、まだ結婚する気ありませんし。第一先輩だってまだ独身じゃないですか」


「ワタシはいいのよっ!魔法省で女性初の定年退職者になるつもりなんだからっ!ワタシの伴侶は情報よっ!」


「じゃあ私もそれを目指そうかな……」


「何を言っているのパート2!

アイシャちゃんのその大きなおっぱいは何の為に付いてるのっ!素敵な旦那サマに揉まれて可愛い赤ちゃんをいっぱい育てる為に活かさなきゃ勿体ないでしょう!」


「いや先輩なに言ってるんですか。私のお胸は私のものですよ」


「宝の持ち腐れとはこの事ね!とにかく服を買いに行くわよ服を!その凶悪なボインの魅力を最大限に活かす服をっ!お姉さんに任せておきなさい!」


「え~……お任せしたくな~い……」


「拒否権はナシ!ぽやぽやアイシャを野放しにしたら、行き遅れになってしまうもの!」



先輩、いくら平民女性の結婚適齢期が高齢化しているとはいえ、わたしはすでに行き遅れに足を踏み入れてますよ?


と言っても聞き入れては貰えず……。



と、いうわけで私はその日の終業後にアルマ先輩に、彼女行きつけのブティックに連れて行かれた。


そして結局、先輩とブティックの店員さんたち総推しだったワンピースを一着購入した。


タートルタイプのホルターネックで露出は少ないはずなのに何故かお胸が存在を主張するアイボリーベージュのワンピース。


ふんわりとした長袖だけど、どういうわけか肩の部分が剥き出しでコンニチワしている。


店員さん曰く、胸と華奢で白い肩をアクセサリーにしましょう♡との事だった。

意味がわからない……。


仕方ない。

こんなキメッキメのワンピースを着るならフルメイクで髪もセットしないと……。


こう見えて義父(ちょっと色々と事情があって、敢えてこう呼んでやる!)関係の会食などではフォーマルな装いをする事も多いのだ。


アルマ先輩の為にも、ちゃんとして行こう……。




そして迎えた歓迎会当日。


「キミ、経理の子だよね?ワンピース、凄く似合ってるよ」


へ?


「え?お前同期のアイシャ=クレイルか?ウソマジ?」


うーん……?


ワンピースマジック恐るべし。

会場のレストランに入ってからやたらと声を掛けられる。


幹事として既に会場入りしていたアルマ先輩の方をチラリと見ると、

満足そうに頷いて、ガッツポーズまでしていた。



その時、会場の入り口の付近が俄に騒然となった。


どうやら思いがけない人達が訪れたようだけど、はて?


とりあえずアルマ先輩の元へと行くと、

先輩はとびっきりのドヤ顔で私に告げた。


「急遽情報部も歓迎会に参加となったからね。未婚の男が増員されるわ。アイシャ、必ずイイ男を捕まえるのよ~!そしてあわよくばお持ち帰りして貰いなさいっ♪あ、でも既婚者や婚約者持ちもいるけど、そんな奴に声を掛けられたら無視しなさいよ?」


「じょ、情報部っ?」


嘘でしょうっ?


私は慌てて入り口の方を見る。



やはりそこには情報部の職員の人達と、


今や絶対に会いたくない人間となってしまったブレイク=ワードの姿があった。

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