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ヤンバルクイナは〝鳥〟

注意:企画を考慮して、文より音によっています。


 ここは畜生な獣人暮らす「チクショォォォォォォォオ界」


 黒合羽にオレンジの長靴。ヤンバルクイナの女の子〝クイナ〟は氷山も火を吹かす特級厨子。

 特級厨子とは、何かすごいバトル感ある調理技法と、特殊能力を持った調理器具を駆使して審査委員をトリップさせる〝もののふ〟達のことである。とクイナは心得ている。


 今日も〝ししょー〟の御無理難題をドラの音〝ジャーン〟っと解決して、ウマウマな料理をたらふく作るのだ。


「なっ!?ししょー!!」


 〝じゃーん!〟


 と、黒いぶかぶか袖を両手いっぱいバンザイやっほい。オレンジくちばしフードから、キラキラ星の目がウルサイ。


「フガァー!ガッデムガッデン!!今日のお題は最終試験ッ!「八宝菜」でアグー!!!」


 エースなコックの〝ししょ―〟は豚足で地団駄ダンダン。


「じゃーんっ!?ハッポーサーイだってぇ!!そりゃてぇへんだー!!」


 クイナは万歳のまま、ぐるりぐるりと何度も回る。

 何度の次の一回、二回、三回……あともう一回。まんぞくすると地面にゴロリ大文字。


「ところで!?ハッポウサイって何なんじゃ!?」

「フガァー!そんなコレラだと思ったぜいッ!!」


 〝ししょー〟が丸い前足で器用にスクリーンを降ろす。


 〝ジャーン‼八宝菜とは!?~伝説の食材を求めて~〟


 そんな感じで、畜生ならみんな大好き「ズーチューブ」が始まった。


「ズンズン!チャオー!ズぅぅぅチューブ!!今日はね〝八宝菜〟の作り方をご紹介したいと思っちゃうっ!!イヱー!!!」


 大人気ズーチューバーにして伝説の海賊〝クラーケン・ゴールド〟がスクリーンにドアップで映ったかと思えば、タイトルコールで興奮して抑えられないイカスミの大噴射。

 冒頭の十秒にして何も見えなくなってしまうのが、彼のチャンネルの人気の秘密である。


「今日もジコッてるーっ!!カメラ追加十台持ってこいや~!」


 ゲラゲラとクイナが芝生を転がる。

 〝ししょー〟には若い畜生のツボが分からなかった。


「ズンズン!八宝菜は名前の如く、八つの秘宝を揃えねばならないッのだ!イヱー!!!」

「アヒャヒャヒャ!!続けるんかい~!」


「ズンズン!なんと今日は特別にィ!!海賊界のレジェンドである俺サマがァ!その秘宝の在処を地図に示してやったぜっ!イヱー!!」

「ブフゥ~!!見えねぇ~っつうのスルメ野郎っ!!!」


「ズンズン!チクショォォォォォォォオ界は大グルメ時代ブームッ!探せッ!!この世の半分くらいはくれてやるでゲソッ!!」

「ジャンプスクエニチャンピオン~!!!」


 〝フ、フ~フン、フ~フフ、フフ~フフフ~♪〟


 閉店チックな鼻歌が流れる。動画が終わったらしいが〝ししょー〟にはクイナが唱えた最後の呪文が良く分からなかった。



「じゃ~んっ!そんじゃあ行ってくるぜィ、ししょー!!」


 クビを洗って待ってなよ、とクイナが鈍く黒光りするハーレーに跨りブオンブオン。


「フガァー!無駄に排気ガスでオレを燻ってんじゃねェ!未来人が復讐しにタイムスリップしてくんぞォ!?」

「じゃ~んっ!パラドックス考えるのメンドそぉ!!そんじゃ、歩いてく!」


 クイナが百人乗っても大丈夫な車庫に単車を投げ入れる。


「フガァー!チクショォォォォォォォオ界はSDGsに取り組んでますっ!!」

「じゃ~ん!ぜってぇ持続しねぇ~!!」


 当然、ヤンバルクイナは鳥なので車庫の入り口は空を向いていた。


「フガァー!うっせーこういうのはアピールできりゃいいんだよ!!」

「じゃ~ん!今の発言は何千人の聴衆が証人となったぁっ!!」


 当然、ヤンバルクイナが飛べるんだか、飛べないんだかは知らないが、クイナは間違いなく飛べない。二足歩行だ。それでも、当然車庫の入り口は天を仰ぐ。当然である。


「フガァー!残念ながらそいつはァ儚いドリームだぜェ」


 クイナは自分の身長以上ある中華鍋を肩に担いで、撫で肩すべり台。〝ドーン〟と落ちて地面メリメリ。


「フガァー!心臓 括弧 ハツ 括弧閉 に悪いだろうがァ!!頭に被れェ頭にィ!」

「イヤだっ!髪がぺちゃんこなるっ!!ダセぇー!」


「フガァー!これだから熟してねェ鶏肉はァ!!だいたいよォ!行く当てあんのかァ!?」

「じゃーん!そんなの決まってるっ!お宝といえばアソコしか無いじゃ~んっ!!」


 こうして、クイナは第一の秘宝を求め、漆黒の鍋をズルズル引き摺りスタコラサッサ。


 向かう先は、泣く子も黙る〝夜朱叉やしゅさの殿堂〟首領鬼ドンキマウンテンだった。

                  バーンッ!


ありがとうございました。

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