表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お題シリーズ2

ハッピーバースデー 雨

作者: リィズ・ブランディシュカ



 お誕生日は家族と一緒にピクニックに出掛ける。

 そう約束していたのに、当日を迎えてみたら。

 あいにくの雨模様だ。


 朝からずっと雨がしとしと、天気予報も今日はずっと雨だって言ってる。

 せっかくの記念日なのに、私の気分もお空と同じでどんよりだ。


 しかも、家の中までしとしと。


 冷たい水が天井からしたたり落ちてくる。


 私が住んでいるこの家は、とっても古くて、老朽化が激しいんだって。

 だから、雨が降ると、雨漏りしちゃう。


 しとしと。

 しとしと。


 とっても憂鬱な気分。


 お天気は、お昼になっても変わる気配がない。

 きっと、夜になっても、しとしとなんだろう。


 暗い気分でいた私の元に、お母さんがやってきた。


「お誕生日おめでとう~」


 明るい声でそう言ってくれる。


「ありがとう。でもピクニック行きたかったな」


 期待してた分だけ、落ち込む気分は大きい。


 計画を立てた時は、晴れるって言ってたのに、お天気は気まぐれだ。


「そういうと思って、お父さんが頑張ってくれました。お庭いこ」

「うん」


 一体何を頑張ったんだろう。

 雨の中、外に出たって、意味がない。


 草っぱらにレジャーシートを広げてお弁当を食べたり、明るいお日様の下でボール遊びをしたりできないなら、他の事してたって楽しくない。


 特に今日は特別な日なのに。


 でも、お庭に行ったときに、憂鬱な気分が吹き飛んでしまった。


 なぜなら、お庭にテントが建てられていたから。


 それ建てるの、結構大変なのに。


 前お出かけした時、建て方が分からなくて一時間くらい悩んでたよね。


 工具箱に工具をしまっていたお父さんが振り返る。


「お空の下でピクニックはできないけど、これで我慢してくれ。ごめんな」


 相変わらず空からは雨がしとしと。

 テントから水の粒がしたたり落ちてる。


 これでは理想のピクニックとはとても言えない。


 けど、少なくとも私の心の中は晴れ渡っていた。


「ありがとう、お父さん。お母さん」


 現実のお天気は買えられないけど、心の中の晴れ模様はガラっと変わってしまったようだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ