迎撃
「ダンサーの発生を確認! 既に本体が応戦に出ております」
「なに!? 少しだが体重は減っていた筈だろう」
「抗戦していた肉と皮が屈した模様です」
「完全に身になったという事か……」
「パンパンに張った妊婦のような腹から、ふよふよ中年太り腹への移行を確認」
「これは長期戦になるな」
「しかし、七ヶ月から五ヶ月くらいに腹回りは減少したようです」
「出てるのには変わりないじゃないか」
「まあそうなんですが、印象的には結構違いますよ」
「そもそもその例えは周囲に妊婦がいないと分からんからな? まあいい。戦況はどうなっている」
「思わしくありません」
「腰を回しているだけじゃな」
「そうなんです。しかも『ポリネシアンダンサーだって、腹出てる人いるよね』と今一つ身が入っていないようです」
「何だと! やる事やってからほざけというんだ」
「あ、腹の重心が移動する事に気付いて、ちょっとテンション上がってます!」
「あいつは単純だからな。楽しけりゃ大体OKなんだ」
「ああっ。何故か移動が感じ取れなくなり、あっという間に飽きたようです」
「なにか違う餌を与えるんだ!」
「自分で餌を作り始めました」
「ホントの餌じゃない! これ以上栄養をとってどうする!!」
「しかし、栄養をとらないわけにもいきませんよ」
「ふん、身の内に溜め込んだものを消費すれば良いんだ」
「炭水化物を抜くようです。前日に購入していたのを忘れてまた買ったピーマンと、使いどころが分からず余っている豆苗、卵とウインナーを準備しました」
「ふむ。この取り合わせをどう使うつもりなのか」
「あ! 全部まとめて炒めはじめましたよ! 入れてから何も考えいなかった事に気付き、どうしたらよいのか分からず困惑しています」
「ノープランか!!」
「塩麹で誤魔化すようです」
「微妙な見た目だが、あの万能調味料が投入されたのなら何とかなるだろう。ちゃんと塩コショウもするよう伝えろ」
「了解。塩コショウ投入を確認しました」
「よし。まったく、朝ヨーグルトだけで済ますからこんな事になるんだ」
「やはり朝食は大事というわけですね。でももとからボンヤリしたとこありますよね」
「アホだからな」
或る日の脳内会議。




